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視点の自由研究No.033「視点_映像制作で学んだ人間関係処世術」

以前、「プロジェクトは必ず一度はトラブる。」でも少し書かせて頂いた対処法。今回は自分が仕事していく中で学んだ人間関係処世術のコツみたいなものを書いてみたいと思います。一種の極論でもあるので、すべてこれで対処可能なものでは決してありません。心得としていつも自分が意識していることを書いてみたいと思います。

「クラス全員が友達?」

以前書かせて頂いたコラムでもわかる通り、映像制作には多くのスタッフが関わります。特に100人規模になれば、その場に一緒にいてもお互いに認識できる許容人数を超えるため、撮影部や照明部、美術部などお互いへの配慮がしきれず、自分達の仕事で手一杯になりがちです。仲良く撮影できるのがもちろん良いわけですが、そうも言っていられないというのが大型案件の実情とも言えます。

ですが、これは当然で、学校のクラスを思い浮かべれば理解しやすいかと思います。クラス全員と友達になったという方は、それほどいないのではないでしょうか。しかも映像制作はある日突然、一つの仕事に集まった人間達です。お互いの人間性を知り合う時間もなく作業に入り、一つの作品を仕上げていく。私のような内向的な人間ですと、もはや地獄のようなコミュニケーションの連続が若い頃には数多くありました。

「すべての悩みは人間関係」

大きな仕事になれば、関わる人間の数も増えるのは当然。苦手な人間が現れるのも必然になります。そんな中で学んだ処世術、それは「仲良くなる必要はない。お互いに尊重して作業を分割して行うように最低限のコミュニケーションをとる。」ということ。その中でどうしても自分を敵視してくる相手とは無理にコミュニケーションをとることもしません。そうした相手は相手側も嫌だと感じていることが普通で、必然的に離れていくことが多いです。

映像制作をしている中でも理不尽なことに遭い、悩むことになることもしばしば。しかし考えを深めていくとそこには全て人間関係が起因していることを数多くの経験が導き出してきたと思います。嫌われる勇気の中に出てくる「すべての悩みは人間関係」という言葉は本当に私を救ってくれた言葉でした。

「仕事のミスは仕事のミス、自分という人間が悪いわけではない。」

そうした経験で学んだコツですが、仕事上のミスを自分の人間性で考えないようにしておくテクニックがあります。仕事をしていればどんな人間でもミスは起こります。そうした時に、自分という人間性を責める傾向があった私はそのこと自体で思い悩むこともありました。数多くの映像制作を経て、そうした自分への責めは結果としてあまりいい作用を得なかったという感覚があります。グジグジと思い悩み自分をいじめるだけの時間は、仕事だけで考えるといい結果に結びつきませんでした。

そこで思い切った切り分けを行うことをしています。40年も生きてきた性格をそうやすやすと変えることなど出来ません。起こったミスに対してすぐにそれをどうリカバーするかを最優先で考え、一旦自分の人間性は置いておく。そうした一種の機械的な思考というコツをこれまでの仕事から学んだのです。

これは本当に極論なので、全ての人間にいいかと言えばそうでもないと思います。自分のような責めを他者ではなく自分に向けるようなタイプの方には使えるかもしれません。

「コミュニケーションは足りているか?」

もう一つのコツ。それは一緒に仕事をするスタッフに対して必要な情報が足りているかということ。業界で20年近く働いていると最近は自分より年下のクライアントやスタッフも増えてきました。そうした若手の方には少数ですがコミュニケーションが足りていないなと感じる方もいます。別に若手だけとも限りません。映像制作に関わるスタッフを業者としてみているクライアントにもいたりしますが、こちらへの情報が著しく足りていないことがあります。

プロデュースという仕事は、各スタッフへのリレーであり、バトン渡しです。先ほど書いた通り、全てのスタッフと仲良くできれば一番ですが、それも全てでは出来ません。ですが、そのバトンには確実に相手に必要な情報を込めることがとても大切です。裏を返せば、その情報が足りてさえいれば自分が持って走る距離を短くして相手のベストの走りを引き出すことができます。デザイナーや編集マンのような仕事のフィニッシャーの方たちとは心持ちが違うと思いますが、きた仕事は自分のところでためないのが理想です。素早く情報を的確に相手にバトンパスすること。スタッフたちは自分以上のスキルを持ったプロ達です。必要な情報がきていれば、自分が行うより遥かにクオリティーの高い仕事を絶対にしてくれます。そのために過不足のないコミュニケーションをとっておくこと。それがプロデュースという仕事をする上での人間関係処世術のコツです。

映像制作に限らず、会社など全ての仕事はコミュニケーションの連続。いかに自分へのストレスをかけずに仕事をしていくのか?少しばかり自分なりの心持ちを書かせて頂きました。何かのヒントになっていれば嬉しいですね。


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