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第3章『原発危機と「東大話法」書評』へのコメント

安冨歩『原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―』(明石書店)に対する吉成学人さんの書評へのコメントです。

前置き

 野口です。ご感想を拝見しました。以前、東北に旅行したことがあり、東北は九州よりいくぶん気候が穏やかでは、という気がしておりましたが、うだるような厳しい暑さなのですね・・・。ご自愛ください。

『原発危機と「東大話法」―傍観者の論理・欺瞞の言語―』

 この本で安冨先生は、現職の東大教授だけでなく、香山リカ氏池田信夫氏の言説を取りあげています。この両名は、現職の東大教授よりも人々に名前が知られている方々です。事実、吉成さまも両名をご存知とのこと(私もかねてから多少知っています)ですので、おそらく読者にとって、現職東大教授の言動のみを話題にした内容の本では固すぎるでしょうから、ある程度、人々がイメージを浮かべられやすい人物として挙げた気がします。

 しかし、そうすると、両名の支持者の一定数からは、相応の反発を受けるはずです。そして、それを見た身の回りの人たちの一部が去る事態に、安冨先生は直面されたことでしょう。そこへ本格的に踏み出す勇気を示した、『経済学の船出』に続く著作が、本書籍なのだ、と言えるかもしれません。

 『原発危機と「東大話法」』の第5章から安倍昭恵夫人を想起されたということ、私は安倍明恵さんのことを知ってはいますが、結び付きませんでした。化学ネタの場合は、ある論文で示された結果が、以前の別の論文の考察に新たな光を当てるものであると気付くことが、ある程度はできるのですが・・・。

合理的な神秘主義

 なお、安冨先生の著書『合理的な神秘主義 生きるための思想史』(青灯社)では、古今東西の思想家や哲学者の系譜が語られています。

 吉成さまのご感想は、この『合理的な神秘主義』の内容に通じるものがある、と感じます。『後藤和智さんが指摘している「逆張り」』と東大話法が瓜二つとの指摘、確かに言われてみると、そう思えてきますね。

 なお、安冨先生の著書と出会われたnoteクリエイターのKAIさんの書評においても、安冨先生や他の方々の本でお感じになられたことを、率直にご紹介されておられます。興味深く思われますので、ぜひ、ご一読いただければ、と思います。

ところで...

 私は理系大学出身で、現在までの数年来は工学部に籍を置く身ですので、該当書籍の東大原子力工学の教授らの言動の数々を、学生時代および今の自分の実体験に重ねながら読みました。自分が籍を置くあるいは置いた大学は東大でこそありませんが、安冨先生の味わわれたひとつひとつが身につまされる思いです。安冨先生の著書と振る舞いを目にするまでは、私は、よくいる人々と同様、学校や親などの影響で、しっかりと東大ブランドで目が曇っていた、と今は思えます。そして、私は、降りかかる目の前の課題への対処に汲々としているばかりで、安冨先生がされたような勇気ある行動を取れてはいなかったし、今もそうだと思います。私は、該当書籍で開陳されている安冨先生の聡明さと勇気に注目します。

東京大学東洋文化研究所の安冨歩教授は、近年「女性装の東大教授」としてテレビで注目されるようになりました。安冨先生は「東大話法」の概念を打ち出すなど、東大や日本社会に対する分析を積極的に行っています。今回は、普段学生と関わる機会が少ない安冨先生が東大生をどのように見ているのか、そして東大生が自分らしく生きるためにはどうすればよいのか、お話を伺いました。 東大な人:安冨歩さん(編集:東京大学UTLife)

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