組織とメンタルヘルス
【権力の構造と連鎖、そしてメンタル疾患】
D・M・Wの臨床心理士、つねちゃんです。
職場で働きすぎてしまって、メンタル疾患になってしまう方々がたくさんいます。その方々の相談を受けていると、よく出くわす「現象」があります。
それは「権力構造」という人間関係の現象です。
今回はそれについて、お伝えしようと思います😄
「メンタル疾患は、本人の心の問題ではありません」
「メンタル疾患は、本人の性格の問題ではありません」
「メンタル疾患は、本人の心の問題ではありません」
と、我々は考えます。
なぜ、そう考えるかというと、
そう考えた方が回復する人が多いからです。
逆に「本人の(心の)問題」と捉えると回復が遅くなるからです。
生理反応(自律神経反応)があるだけでも辛いのに
「自分が問題である」と捉えると
「問題である自分のこころを変える」ことへのエネルギーを割いてしまい
より疲れ果ててしまうのです。
その辛い「生理反応」は、
例えば、動悸がする、汗が止まらない、手足が震える、力が入る、呼吸が浅くて息がしにくい、眠れない、周囲に過敏になる、と言った反応から
からだがだるい、重い、眠たい、めまいがする、胃腸が不調、食欲がない、頭が回らない、涙が止まらない、のような反応もあります。
では、なぜ「自分が問題である」と
メンタル疾患を抱えた当事者は考えるのでしょう。
それは
「あなたが問題である」と言う人たちがいるからです。
「できないあなたは問題だ」と言い続ける人たちがいるからです。
「あなたが変わる努力をしないのが問題だ」と
言い続ける人たちがいるからです。
そこには【上下関係、権力関係】が存在します。
チカラが強い(と評価されている)人が、
チカラが弱い(と評価されている)人に、
「あなたは問題である」と言い続けている「構図」です。
権力を持つ(役割の)人が
権力に従う(役割の)人に
「できていないあなたは問題である」といい続けている「構図」です。
ここでいう「チカラが強い人」とは
実際の腕力や筋力が強いという意味ではないです(もちろん笑)。
決定権を持っている、
お金を持っている、
知識を持っている、
専門性を持っている、
そういった役割でいる人(人々)です。
何をしても、どんな努力をしても、頑張っても
チカラのある人(権力者)からそう言われ続けると、
あるいは、
複数の人からそう言われ続けると、
言われている人は
「私はその部分が問題だ」「あのやり方はまずかった」という
「部分的」な認識から
「私は全てが問題(だらけ)だ」「私のやり方は全部ダメだ」という
「全体的」な認識にいつの間にかなってしまいます。
その後は、エネルギーがなくなり逃げられなくなり、
「動かないことで命を守る副交感神経」が発令します。
・身体をだるくする
・認知機能を緩めて活動しないようにする
・記憶力や学習能力が落ちて、新たなことをしないようにする
といった「冬眠モード(省エネ)」に切り替えます。
これが、メンタル疾患の状態です。
メンタル疾患とは「からだが超省エネモード」なのです。
組織の中にある身近な「権力構造」
さて、
会社、学校、家庭の中に、この「権力構造」があります。
その「組織の中」には
チカラの強い(権力)者がいます。
「権力を行使する役割の人」と
「権力に従う役割の人」が存在します。
本来はこの役割はチームのための役割でした。
ある目標に向かって進んでいくための「ただの役割」でした。
そうそう、オリンピックがありましたね。
特に球技のスポーツは「勝つ」ために
チームメンバーでそれぞれの「役割を遂行し合う」ことを共有し
その役割を実行して、勝利を目指しています。
ただいつの間にか、役割だったチームワークメンバーが
ギクシャクし始めます。
チカラの強い役割の人が
権力に従う役割の人たちに
「お前は(何も)できていない問題の人だ」と
言い続ける「構造」が次第にできてくるのです。
目標に到達できないと
「原因を探し始める」という心理が働くのです。
「原因は人ではない」はずなのに
「原因は仕組みである」はずなのに
「原因は役割の配置ミスである」はずなのに
「原因はシステムの機能不全である」はずなのに
「ある人(のみ)が問題」となります。
そうなると「問題とされた人」は
「組織の問題の原因となっている人」という
【役割】を背負わされてしまいます。
この【役割】を遂行していると
その人の心身のバランスが崩れてしまいます。
「こころ」と「からだ」に【権力関係】が生まれます。
その人の中にある「こころとからだ」の関係性です。
「こころ(意識・世間)」が権力を持ち
「からだ」を従わせ続ける、酷使し続ける、と言う「構図」です。
あるいは、以下のような「連鎖」も起こります。
職場、あるいは家庭外で
「権力構図」の中に入り続けてしまったとします。
その「従うべき役割でいる人」が
家庭という組織に戻ったときに
「権力を持った人」になる場合もあります。
そうすると「家庭内での権力に従う役割の人」に影響が及びます。
ある組織で「権力構造」が継続していると
その構成メンバーが別の組織に移ったときに
「権力構造」が連鎖してしまうのです。
そして、権力あるいは力を与えられていない役割の人に
もっとも影響力が及んでしまうことが多いです。
それが「子どもたち」であることも多いです。
我々D・M・Wの臨床経験から
話は「臨床現場」のことに移ります。
我々のところには、
小学生、中学生、高校生の子どもたちが
不登校になったり、ゲーム依存状態になったり、
元気がなくなってしまったり、そういうお困りで
受診する親子がいらっしゃいます。
いろいろお話を聞いていると
上記の「権力構図による疲労」と
「私(我々)は、問題である」という思い込みが多々見受けられます。
例えば、子どもたちにおいては、
・クラス内で勉強についていけなくて「問題児」扱いされた中学生
・「好きなメイクの話」をすると「学級の輪を乱す迷惑なやつ」扱いされた女子高校生
・「親の金を盗むとは異常や」と精神科入院を一方的に学校から勧められた小学生
親御さんにおいては
・育て方が悪い
・甘やかしすぎ
・子どものことへ真剣に向き合っていない
・本当に愛しているなら精神科に入院すべき
などと学校、児童相談所、市役所職員、保健師という役割の人、
つまり親御さんからしたら、
「専門家と呼ばれるチカラの強い人」から
言われ続けていることも多いです。
あるいは職場で働いている親御さんで
職場の中で
「どうして会社のために尽くせないのか」
「職員としての自覚が足りない」
「プライベートよりもお客さんだろ」
などと力の強い役割の人(上司など)から
言われ続けていることも少なくありません。
家族のために、子どもたちのために
頑張って働いていてお父さん、お母さんたち。
頑張ってやっていたことが「逆効果」だったのか。
10年、20年近くかけて子どもたちのために行っていたことは
「全て」間違いだったのか。
そのような強烈な不安と恐怖が襲いかかってきます。
・・・というのも
「権力というチカラのある人」から言われ続けているからです。
そんなことはありません。
子どもたちが生まれた時から今までの間、
一番近くから見ているご両親が、
「子どもたちにとっての一番の専門家」です。
これは間違いないです(と我々心療内科では考えます)。
原因は子育てではないです。
お子さんの人格・性格は関係ないです。
全ての病気と性格は関係ありません。
病気はある意味「事故」みたいなものです。
もちろん防ぐことができる「予防」もあります。
とはいっても、完璧な予防もできません。
一生懸命、体のために心掛けていても
さまざまな要因で、体調が崩れることはあります。
大切なことは「不必要な原因探しや悪者探しを減らす」こと。
そして
「あなたが原因だ」というストーリーを
言い続ける権力者から距離を取ること。
「権力構図(構造)」に気づくこと。
「権力を持つ役割の人」から離れて
「権力に従う役割」から離れること。
「我にかえること」などが大切だと思います。
ふー、一気に描いてみた😄
何度も似たようなケースに遭遇するから
吐き出したかったのかな🤣
さいごに
「組織」って「ただの『役割』の集合体」だと思います。
「権力構造」がよくない方向に行っているときには
その『役割』を一時的に交代してみたらいいと思います。
内野手が外野手をしてみたり
キーパーがフォワードをしてみたり
監督が選手になってみたり
選手が監督になってみたり
上司が部下の席に座ってみたり
部下が社長室に座ってみたり
ママが子ども部屋で過ごしてみたり
子どもが父親の席でご飯を食べてみたり
カウンセラーがクライエントの椅子に座ってみたり
医療者が待合室で座ってみたり
シャッフルしてみたらいろんな発見があるのでは?
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