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【6月24日限定】kindle日替わりセール!『朝日新聞ウェブ記者のスマホで「読まれる」「つながる」文章術』試し読み

2023年6月24日限定で『朝日新聞ウェブ記者のスマホで「読まれる」「つながる」文章術』がkindleで日替わりセールを実施します。
通常価格1,650円→キャンペーン価格499円の超お得なセールです!
本記事では対象書籍の「はじめに」を試し読みいただけます。

はじめに

まず、「読まれないと意味がない」。

それは、私がウェブメディア「withnews(ウィズニュース)」の編集長を8年間務めるなかで痛感してきたことです。
クリックされないと、そもそも次のステップに進めない。
デジタル空間では、何はともあれ、たくさんの人に「読まれる」ことが必要です。
この本を手にとったあなたも、なんらかの形でデジタル空間での発信に携わっているなら、実感するところではないでしょうか。

でも、もう一つ、大事なことがあります。

それが、読者と「つながる」ことです。
例えば、withnewsの記事で「100万PV(ページビュー/クリックされた数)読まれた記事」が二つあったとします。

一つは、一度読んだらそれっきりという読まれ方。
もう一つは、SNSでどんどんシェアされ、フォロワーが増え、書き手がイベントに呼ばれる、といった広がりやつながりが生まれる読まれ方。

どちらがいいかといえば、もちろん後者です。

読まれたい。でも、読まれるだけでなく、読まれた後の変化まで期待したい。

極端な話をすると、「読まれる」だけなら、ある程度まではいけます。
数字を伸ばすテクニックを駆使すれば、多くの人の目に触れることはできなくはない。
でも、一方的に知ってほしいことだけを押しつけても、意味ないと思いませんか?
だからこの本は、ユーザーに「読まれる」だけでなく「つながる」ことまで考えた文章術を伝える本になります

ご紹介が遅れましたが、withnewsとは、朝日新聞社が2014年、「新聞を読まない世代に届く」「スマホで情報を得る世代に届く」ために立ち上げたウェブメディアです。
私は、そのwithnewsで立ち上げから8年間編集長をしてきました。

スタートから5年で月間1億5千万PVを達成、マネタイズにも成功しています。
しかしwithnewsでは、数字には貪欲に向き合いつつも、「バズらせてのしあがる」みたいなのはちょっと違うな、と思ってやってきました。
それよりも、子育てとか、恋愛とか、普段の生活の中で起きるちょっとした出来事を通じてユーザーと「つながる」ことを大事にしたい。
「PV数」「読まれる」の先には、そんな関係が生まれることを大切にしてきました。

「つながる」を、もっと具体的に言うと、
・「いいね!」や「シェア」をしてくれる
・自分のSNSやブログで話題にしてくれる
・会員登録をしてくれる
・商品を購入してくれる
・購入したうえで、商品をおすすめしてくれる
・メディアから取材がくる
・他社からビジネスの提案がくる
などです。

要は、「読み手の気持ちがちょっと変化して、それが何か行動として表れる」
そういうことだと思うのです。

そのためには、「読まれる」文章とセットで「つながる」文章が必要です。

そんな「読まれる」「つながる」文章の書き方から、そのためのネタの見つけ方、言葉の選び方、書き方のポイント、ユーザーとの付き合い方などをこの本にまとめています。

この本は、次に挙げるような、いろんな人に読んでもらいたいと思って書きました。
・広報やPR、宣伝を仕事にしていてデジタル空間での発信を担っている人
・自営業やフリーランスで自分の商品やサービス、作品を発信していきたい人
・趣味や好きなことを発信して、できればビジネス化も考えている人
・突然会社から、「noteを書いてみない?」と振られて困っている人
・会社のSNSやオウンドメディアでの発信に関心がある人

では、早速、本編に……と言いたいところですが、その前に、少し私自身のこれまでをお話しさせてください。

2000年朝日新聞社に入社した私は、佐賀、山口で記者として働きました。その後、2005年に福岡で紙面のレイアウトや見出しを考える編集センターの仕事に異動になります。

編集センターとは、記者が書いた原稿に、どんな見出しをつけ、どのくらいの大きさでレイアウトするかを考える部署です。新聞全体を見わたす仕事で、新聞紙面という「紙」に向き合う部署ともいえます。

そこでの仕事で私は、「新聞を作る側」と「読者」との間に距離ができてしまっていると感じます。

例えば選挙報道。新聞社は、新聞紙面の最終版に、どれだけ最新の議席数や当選者の名前を載せられるかにこだわります。そのために、とてつもないお金や人を注ぎ込んでがんばります。

でも、新聞が届く朝には、テレビやネットでほとんどの当選者の名前はわかります。

それなのに、なぜ新聞社は"速報"をがんばるのか。

今は、選挙報道もデジタルに軸足が移っていますが、15年前、私が編集センターにいたときは、「他紙との紙面競争に勝つこと」が大事なことだとされていたのです。

そこに「読者のため」という視点がどれだけあるのか。

なんか違う方向に目線が向いているんじゃないか。

そんな残念な気持ちを抱きながら、仕事をしていました。

読者のニーズからはずれた情報に大きなリソースを注ぎ込むことに対して、「読者に背を向けている」と感じる自分がいました。

読者に向き合っていないのではないかと思うようになったのです。

2007年にデジタル部門に希望して異動しました。asahi.comの編集に携わり、「朝日新聞デジタル」の立ち上げ、動画、データジャーナリズム、SNS連動企画などを担当します。

そして、2014年、withnewsをスタートさせることになります。

私はこのとき、「読まれる」だけでなく、読者のニーズに応えることを大事にしたいと思いました。

メディアの名前に「with(ウィズ)」をつけたのもそのためです。

そこには、ユーザーと一緒にコンテンツを作るという思いと、ユーザーにとって身近な存在でいたいという、二つの意味が込められています。

withnewsは、新聞社の中では先駆けてSNSで話題になった出来事を記者が取材するスタイルを確立しました。

また、取材リクエストにも力を入れました。ニュースを決めるのはメディアだけではない。ユーザーが知りたいと思うこと、ネットで話題になっていることもニュースであり、記者が取材するべきテーマになると考えたからです。

withnewsがこだわったのは、ユーザーと一緒にニュースを作ること。

それを大事にした結果、これまでの新聞記事では生まれなかった読者とのつながりが、瞬く間に広がっていきました。
とはいえ、そんなユーザーとの関係を築けたのも、ちゃんと多くの人に読まれたからです。そのため、数字にも真剣に向き合いました

結果、スタートから約5年、ゼロから始めたメディアは、2020年5月には1億5300万PV(830万UU)にまで成長しました。

少数精鋭のメンバーで運営してきたwithnewsの編集部員は、この時、わずか8人程度。そんなメディアが、当時約2千人の記者で運営していた朝日新聞デジタルのPVの半分に匹敵する規模まで大きくなったのです。

一方で、潮目の変化を感じ始めたのもこの頃でした。

当初から大事にしてきた「つながる」ことを忘れないようにしないと、数字狙いの落とし穴にはまってしまう。

コンテンツが飽和する環境の中、「読まれる」だけで勝負することの難しさを、ひしひしと感じるようになったのです。

そこで、思いきって方針転換をしました。

もっと「つながる」に舵を切ったのです。

結果、PVは落ちました。編集長を離れるときには、半分以下にまで減っていました。

ところが、メディアとしての知名度は下がるどころか、どんどんと上がっていき、企業からコラボの相談が増え、広告収入を増やすことができました。

マネタイズに成功し、ビジネス的にも上昇気流に乗れたのです。

withnewsでは、たくさんのクライアント企業とコラボしてきました。

広告を作る前の段階から関わり、一緒に議論をし、どうしたら商品の魅力が伝わるか、ファンとなってもらえる人を増やせるか、そんなことを考えながら文章を書いてきました。

また、文章だけではなく、企業の特設サイトの立ち上げやイベントも形にしてきました。

だから、この本で書かれている文章術は、報道や編集にとどまらない、広報やPR、宣伝などの仕事をされている方にも役に立つものです。

もっといえば、「読まれる」と「つながる」を大事にしてきたwithnewsの文章の書き方や表現方法、ユーザーとの付き合い方などは、デジタル空間での発信に関わるすべての人にとって、参考になるものだと思っています。

1章は、「スマホという読まれる『場所』を意識する」です。今、デジタル空間で文章を読む場所は、パソコンではなく、スマホがほとんどです。スマホでユーザーに読んでもらうにはどんな工夫や配慮が必要かということを書きました。
2章の「『身近感』『自分ごと化』で読まれる」では、「きちんと読まれてユーザーの心に響く文章」を書くためのコツやネタのヒントについて書いています。
3章は、「つながる文章には、まず『自分を出す』」です。人と仲良くなりたいなら、まず自己紹介から始めますよね。文章も同じです。文章で人とつながりたいなら、まず、文章の中に「自分を出す」ことが大切です。この章では、自分の思いや悩み、趣味や好きなことを書くなど「文章の中に自分を出す」ことについて書きました。
4章は、「読まれた先でユーザーを動かすには?」です。「読まれた先」で、ユーザーが動く文章について書いています。ついシェアしたくなる、話題にしたくなる、商品を買ってしまう、ファンになってしまう伝え方について、私なりに考えたポイントになります。
5章は、「炎上やアンチともうまくやっていく」です。できれば避けたい炎上やアンチですが、発信に携わる以上、知っておきたいことについて書きました。
最後の6章は、「マンガ、動画……文章以外でつながる」です。文章術の本書ですが、文章以外にも伝え方のツールはたくさんあります。マンガ、動画など、そんな伝え方について書いています。

今、発信する人は増え、発信する場所もどんどん広がっています。

例えば、企業自らがメディアを運営するオウンドメディアが生まれ、そこからは良質なコンテンツが次々と発信されています。ブログの代名詞となった「note」ですが、2022年4月には会員数は500万人を超えています。その魅力は「穏やかにコミュニケーションできる場」「〝荒れない〟ネット空間」にあります。

「炎上」「荒れる」を気にせず、つながりたい、というユーザーが多いのだと思います。

"最安値"が重視されがちなネット通販でも変化が起きています。

ネット通販のサイトを手軽に作れる「BASE」のような新しいサービスでは、店主がブログを使って自分の思いをコンテンツ化しています。

その発信が商品の売り上げを左右し、ファンの結びつきを強化する。そんな動きがどんどん生まれています。

「読まれる」そして「つながる」ための書く力が今ほど求められている時代はありません。

そんな変化のタイミングに、本書が、あなたにとって少しでもお役に立てたら、これに勝る喜びはありません。

2023年1月

奥山晶二郎

続きが気になる方は

kindleにて6/23限定で499円セール実施中です。

目次

1章 スマホという読まれる『場所』を意識する
2章 『身近感』『自分ごと化』で読まれる
3章 つながる文章には、まず『自分を出す』
4章 読まれた先でユーザーを動かすには?
5章 炎上やアンチともうまくやっていく
6章 マンガ、動画……文章以外でつながる

著者について

奥山晶二郎(おくやま・しょうじろう)
サムライト取締役CCO(Chief Content Officer)
withnews創刊編集長
1977年北海道生まれ。立命館大学産業社会学部卒業後、 2000年朝日新聞社入社。
佐賀、山口、福岡と勤務し、2007年、社内公募をきっかけにデジタル部門へ異動。「asahi.com」の編集に携わり、「朝日新聞デジタル」の立ち上げ、動画、データジャーナリズム、SNS連動企画などを担当。2014年にwithnews」をスタートさせる。2020年5月に月間1 億5千万PV達成。2021年2月、見出し上にあった数字(UB)表示をやめ、数字獲得競争から距離を置く。PV数は減少するも、読者とのつながりが評価されて知名度は上昇、企業からのコラボ案件が増え、広告収入を増やす。2022年5月編集長交代、現在に至る。withnewsコラム「マスニッチの時代」連載中。朝日新聞朝刊オピニオン面コラム「メディア空間考」担当。共著に『フェイクニュースに震撼する民主主義』(大学教育出版)、『Web編集の教科書』(朝日新聞出版)。 --このテキストは、tankobon_softcover版に関連付けられています。


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