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タクシー配車システム新機能、開発に携わった3人の想い

様々な業界で急速なIT化が進む中、タクシー業界はIT化が遅れています。紙と電話で日々の業務を管理する会社、十数年同じシステムを利用し続ける会社。バブル期をピークにタクシー利用者が減少する中、システムの高額な保守費用等が負担になる事業者が多く存在します。

日本全国のタクシー事業者における業務効率化・経営改善を支援する電脳交通が、今回配車システムの新しい機能「自動配車機能」と「データ解析機能」をリリースしました。

「自動配車機能」は、通院や習い事への送迎等、定期的に配車が必要な状況において自動で処理する機能です。特に、配車件数の多いタクシー事業者様の配車業務の負荷を低減します。

「データ解析機能」は、過去の配車データを記録し日々の配車向等を分析できるようにする機能です。日々の配車状況を可視化することで、空車状態で流す時間を短縮する等、より効率的な配車業務を可能にします。両機能の導入により、タクシー事業者の高度化が進み、より生産性の高い事業が可能となります。

タクシー事業者から寄せられた「現場の声」に応え、新機能の開発に携わったCTO(最高技術責任者)の坂東、プロジェクトマネージャーの塩江、マーケティング&セールスチームリーダーの西野に話を聞きました。


〈インタビュー相手〉

坂東 勇気|電脳交通 CTO(最高技術責任者)
クラウド型タクシー配車システムを開発し、近藤と共に電脳交通を創業。電脳交通の配車システムの開発責任者を務める。配車システムの新機能の開発全般を担う。

塩江 隆昌|電脳交通 プロジェクトマネージャー
配車システムの新機能開発のプロジェクトマネージャー。タクシー事業者と電脳交通の開発チームの間に立ち、両者のニーズのすり合わせを担う。

西野 史記|電脳交通 マーケティング&セールスチーム リーダー
タクシー事業者へ電脳交通の配車システムの営業を行うチームのリーダー。全国各地のタクシー事業者とのコミュニケーションを図り、事業者との関係構築を担う。


電脳交通が大規模な事業者の課題解決にも貢献できることを模索していた(西野)

―営業の立場から、新機能開発に至った背景を教えてください

西野:規模の大きい事業者向けのソリューションがなく、そもそもコンタクトさえできていない状態でした。初めて本格的な商談をさせて頂いたのは京都府に本社のある、国内でも有数のタクシー会社エムケイ様だったのですが、ビジョンに共感してもらえた一方で、自動配車機能とデータ解析機能が必須であることを知りました。

これまでどおり、その地域の交通を支える小規模な事業者にサービスを導入して頂くことを推進しながらも、もっと電脳交通が大規模な事業者の課題解決にも貢献できることを模索していたんです。

―新しい機能はタクシー業界にどのような影響を生みますか

西野:大手に対応したシステムは機能が多く、開発の工数が大きいことで、良い機能、新しく開発した機能はどうしても高価になりがちです。電脳交通のシステムは、各社が共通で必要とする機能を、コストを抑えて提供することで、より多くの事業者様で導入が可能になりました。

大規模な事業者はもちろんのこと、小規模な事業者にも導入することで、業界全体の経営の高度化につなげたいと考えています。

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“すべての”タクシー事業者にとって便利なシステムに(坂東)

―新機能開発において特に大切にしたことは何ですか

坂東:これから契約いただくお客様にとって便利なだと思える機能追加をしていくのは当然ですが、一方では既存のお客様も同じ基盤上のシステムをご利用いただくクラウドサービスなので、既存のお客様の使い勝手も大切にしました。

そして、利用する事業者の裾野を広げるためには「安価で提供できるシステム」であることが重要です。そのため自動配車もデータ解析も、開発コスト・運用コストを可能な限り抑えることを意識しました。

―コストを抑えるために開発面で工夫したことは何ですか

坂東:各事業者の個別の要望を、全ての事業者にとって便利なもの、汎用性のあるものに仕立てることですね。単一のクラウドサービスなので、全ての事業者様が使いやすいことを大事にしたい。

あと、お客様がどう使うかを設計陣がよく考えること。電脳交通は社内に配車センターを持っているので、そこに新機能のβ版を渡して、実際の使用感等を確認して、改修して、リリースするという手順を踏んでいます。現場目線を大切にすることですね。

―エンジニア視点で見た開発の要点、システムの強みは何ですか

坂東:1つ目はコストが安いこと。100%充実した機能よりも利用する各社が必要な最小限の機能を低コストで提供しています。

2つ目はアップデート。今の機能が確定ではなく、週単位で機能の追加を行っています。

3つ目は拡張性。アプリやその他のシステムとのつなぎ込みを行いやすいようにつくっています。

画像1(坂東)

タクシー事業者の本音を理解すること(塩江)

―まず、新機能開発のきっかけとなったタクシー事業者の課題やニーズは何でしたか

塩江:まず従来のシステムは更新費用の負担が大きいという声を事業者にヒアリングをする中で多く聞きました。電脳交通の配車システムは更新費用が不要なので、そこは魅力的だと思います。

もうひとつは事業者がより良い配車システムを求めながら、ベンダーがそのニーズに応え切れていないところでしょうか。システムがどんどん改良されるアップデートのスピード感への期待は大きかったと思います。

抽象的ですが、電脳交通がもたらすポジティブな変化や未来に期待してくれていると感じましたね。

―今回提供する新機能で、タクシー業界にどんな変化を生むことができると思いますか

塩江:個人的には大きく4つの変化を想定しています。

1つ目は、時代の変化に合わせて、タクシー事業者の配車ルールが大きく変わると考えています。その変化に対応するため、タクシー事業者で自動配車のルールを細かく変えられる仕様にしました。

2つ目は、データ解析の面で、分析するべき数字がこの先時代に合わせて変化すると考えています。それに対応するため、拡張性を持たせ、事業者で細かく解析できる仕様にしました。この先もっと細かい解析をできるようにします。すべての事業者が数字を元に運用できる未来がくると考えています。

3つ目は、リモートワークの普及です。
主に大規模タクシー事業者かと思いますが、エムケイ様が今後挑戦していきますし、配車業務の効率化は必ず進みます。一箇所に集まる必要性も小さくなるでしょうし、自宅で配車業務が行えることは採用強化にもつながります。

ただ、現状ではまだ運用面や雇用関係面の不安は大きいはずです。電脳交通は配車センターで実際にリモートの配車業務を行っています。この領域には第一交通様も注目しているそうです。

パッケージとして安心できるものができれば、提供してほしい事業者はたくさんいるはずです。これからの新しい配車スタイルを提供できると考えています。

4つ目は、電脳交通の配車センターのさらなる効率化です。電脳交通の配車センターがさらに効率化・自動化を進めることができれば、委託料を下げてより多くの事業者が配車業務を委託することが可能になります。

より多くの事業者が電脳交通の配車センターに安心して配車業務を委託できる体制をつくり、乗務員の雇用や車両の管理やその他サービス向上に注力できるようになればと考えています。

―プロジェクトマネージャーとして苦労したこと、またそれを突破するためにした工夫を教えてください

塩江:タクシー事業者の本音を理解することですね。

事業者とのMTGで要望を明らかにし、出てきた課題群に優先順位をつけます。事業者の要望と開発の状況とのバランス感覚が肝で、実装の順番はかなり慎重に検討しました。

PMの仕事と言えば、正しく仕様に起こして正しく開発に渡すことだと思っていましたが、ボリュームや工数が大きすぎるので、できる限り絞ることと全部やるというスタンスを両立する必要がありました。すべてを言われた通りに実装すれば、リリースに時間もかかれば、低廉な価格で提供できなくなってしまうので。

塩江さん(塩江)

これから電脳交通として実現したいこと

ー電脳交通の仕事を通じて、タクシー業界において今後何を実現していきたいか

西野:大規模事業者と小規模事業者の格差を小さくしていきたいですね。電脳交通のシステムによって、会社の規模に関わらず同じ機能を使えるようになれば近隣の事業者同士で連携が取りやすくなったり、事業のノウハウ共有がしやすくなり、結果的に業界全体で経営の合理化を実現できると考えています。

坂東:システムをオープンにして、競合他社や、タクシーに様々なサービスを提供しているシステム会社と連携して、よりタクシー事業者の経営に寄与できる状態にしたいと考えています。

例えば、業務システムは得意ではないので、連携することでより効率化できれば。それによって、全国の交通を支えられればと思います。

塩江:先にお話しした4つの実現と、時代に合った配車システムをつくることです。電脳交通が目指すべきであり、自分が目指すことだと思います。



記事をお読みいただきありがとうございました。

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