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小林秀雄を読む日々

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『小林秀雄全作品』全32巻を、あきれるほど丁寧に読んでいきます。まず「『私の人生観』にたゆたう」を完結。新連載を準備中です。
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#宮本武蔵

全体を読み返してこそ熟読玩味できる

およそ5か月にわたって読んできた小林秀雄『私の人生観』を、いま一度全体を読み返してみて気…

既視の海
1年前
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描いたのは「俺流の肖像画」ではなく、小林秀雄の自画像

およそ5か月にわたって読んできた小林秀雄の講演文学である『私の人生観』を、あらためて通読…

既視の海
1年前
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『葉隠』、宮本武蔵、そしてスティーブ・ジョブズへたゆたう

戦争中に、従軍記者をしたり、兵士相手に講演をした小林秀雄は戦後、軍国主義プロパガンダに加…

既視の海
1年前
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生きた人生そのものがロジックであり、思想である

宮本武蔵は兵法を極める方法論をもって自らの思想をつくり、「器用」を極めたものが国の指導者…

既視の海
1年前
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指導者こそ、人生観を持つ事に勝たねばならない

小林秀雄は、宮本武蔵が兵法の方法論をもって様々な芸事をも極めたことについて、「器用」を追…

既視の海
1年前
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その人そのものを生きることが批評だ

小林秀雄の批評における起点は、論壇に登場した1929(昭和4)年の『様々なる意匠』における「…

既視の海
1年前
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批評の手法で俺流の肖像画を描く

小林秀雄は、宮本武蔵が兵法だけでなく、その方法論をもって水墨画、茶の湯、連歌をも極めたことも合わせて「器用」を追究したと見ている。さらに宮本武蔵にとっては「思想」をも極める対象の一つだったと考えた。その思想とは一つの行為であり、勝つ行為である。そして一人に勝つということは、千人万人に勝つということであり、つまりは己に勝つことだという。 これは経験を重んじる、小林秀雄の批評の極め方ともいえるのではないか。 先に、宮本武蔵は実用主義を徹底的に思索した日本で最初の人物であると、

「器用」を極めたから、師匠はいない

宮本武蔵が著わした『五輪書』の「地の巻」にある、兵法の道を学ぶ心がけ九箇条のなかで、小林…

既視の海
1年前
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心のあり方よりも、「器用」を極めよ

13歳から真剣勝負を初め、20代の終わりまでに60数回の勝負をしたという宮本武蔵は、兵法の道を…

既視の海
1年前
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伝統に頼らず、自らの言葉で思想を語る

宮本武蔵が著わした『五輪書』は、『私の人生観』の当時はまだ評価が定まっていなかった。それ…

既視の海
1年前
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ふたたび宮本武蔵から学ぶ

四六判の「小林秀雄全作品」第17集でも61ページにわたる『私の人生観』において、最後のおよそ…

既視の海
1年前
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歴史を「観の目」で見る

小林秀雄は、宮本武蔵が記した覚書『兵法三十五箇条』において「観の目強く、見の目弱く見るべ…

既視の海
1年前
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心の眼で観よ

江戸時代の剣豪・宮本武蔵が死を迎える1週間前に述べたといわれている『独行道』のなかの一つ…

既視の海
1年前
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後悔で自分をごまかさないと決心してみろ

「僕は無智だから反省なぞしない。利巧な奴はたんと反省してみるがいいじゃないか」(『コメディ・リテレール 小林秀雄を囲んで(座談)』)という放言が思わぬ舌禍となり、太平洋戦争後における一億総懺悔の空気のなかで、小林秀雄は「戦犯文学者」のレッテルを貼られてしまった。 そんな舌禍の元となった座談会から約3年、『私の人生観』において、小林秀雄は剣豪・宮本武蔵が死を迎える1週間前に述べたといわれている『独行道』のなかの一つ、「我事に於て後悔せず」という言葉を引いて、その解釈を述べる。