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~断熱レポ~ Z世代とパッシブファーストを学んで見えてきた「これからの家」の姿【断熱先生のダンネツノートvol.16】

2022年9月15日(木)〜16日(金)の2日間、仙台で建築学生とビルダーのみなさんが協働で行う、「Z世代向け コンセプト住宅づくりワークショップ」がLIXIL主催で開催されました。テーマは、「Z世代が求めるパッシブファーストの家」。はたして1990年代後半〜2010年生まれの「Z世代」のみなさんが住まいに何をもとめ、どんなデザインを完成させたか。私もワクワクしながら見学させてもらいましたので、今回はその様子をレポートしていきます!

Z世代とビルダーが、これからの住まいをともに学び、設計する

9月15日(木)〜16日(金)の2日間に、実は仙台に行ってきました。その理由はLIXILと仙台建築都市学生会議(建築学科大学生のサークル)、東北のビルダー9社が協働で実施した、「Z世代向け コンセプト住宅づくりワークショップ」を見学させていただくためです。

今回は、「住まいStudio」や「パッシブデザイン」といった、ワークショップの基礎になる情報を事前にオンラインで勉強してもらい、それを基に皆がリアルに集まり行うというハイブリッド形式。(学生さんたちにとってはそれが当たり前のようで、『今どきだ・・・!』と驚きました笑)

当日は、インテリアデザインセミナーを受講したのちに、5グループ(ビルダー2名、学生2名ずつ)にわかれ、実施設計ならびに発表を行いました。

ワークショップの様子。Z世代のみなさんの真剣なまなざしに刺激を受けました

読者のみなさんはダンネツノートvol.14で「パッシブファースト」についてご紹介したのを覚えていらっしゃいますか?

そこで解説しましたが、脱炭素社会の実現(カーボンニュートラル)や地球の未来のために省エネ性能が高い家づくりのための法整備が進んだりと、これからは住まいに対して断熱性や気密性がすぐれているかどうかが、当たり前のこととして求められるようになります。だからこそ、これからの建築を担う学生のみなさんに、「パッシブデザインへの理解を深めて欲しい」とこのワークショップは企画されたのです。

会場となった仙台がある東北エリアは、日本の中でも特に厳しい寒さになる地域です。そのため、住まいの断熱への関心が高いといわれています。そんな東北エリアで実際に住宅設計をしているプロの皆さまにも参加いただくことで、学生の皆さんにとっても刺激的なワークショップになればと私たちLIXILは考えました。

また、住宅設計のプロのみなさまにとっても、『今どきの若い世代の人たちがこれからの住まいに何を求めているのか』、『どのように感じているのか』という点でも、とても刺激的だったようです。

これから住まいの未来をつくる学生の皆さんと、プロとして前線で引っ張るビルダーの皆さん



自然の力をどのように住まいに取り入れるか、窓ひとつでも大きな違いに

住まいの設計といっても、すべて白紙の状態から行うものではありません。LIXILがまず、モデル家族と敷地を想定し、たたき台となるベースプラン3案(MOUNTEN、RIVER、SEA)を設定しています。ですからグルーブごとにベースプランを選び、パッシブデザインを取り入れた間取りを考える、という流れですすめていきます。

今回、参加してくれた学生のみなさんは、インターネットが広まっている時代に生まれたいわゆる「Z世代」です。そのため、授業で使うCAD(設計支援ツール)を使いこなしています。しかし今回は、建築会社の建築士と一緒にプランを作るために、手書きで設計図書を作成してもらいます。いわば『アナログに挑戦!』というわけです。

普段デジタルで作業している学生の皆さんからすると、設計図書を作成するというのも新鮮な体験になったのかもしれません
徐々にチームの雰囲気も和やかになり、会話が弾む中で作業しているのが印象的でした

建築会社のみなさんは、設計の手順やサイズ感を教えたり、アイデアを実現させる方法をアドバイスしたりと、見守る立場で参加していただきました。

さすがプロというべきでしょうか。いざ、設計がはじまると、玄関や窓のおよそのサイズがすぐにでてきますし、ベビーカー置き場の必要性、扉の向きによるデッドスペース、階段の踏面サイズ、トイレを配置する際の配慮など、細部に至るまで的確なアドバイスが次々と飛び出します。思わず私も『なるほど~』となってしまう場面もありました(笑)

学生のみなさんは、プロの経験値、すごさを目の当たりにしたことで、とても貴重な体験になったようでした。ワークショップの合間に、ビルダーさんに対して実際の仕事で大変なことや、建築を志した理由などの質問をしたりと、話に花が咲いていました。インターンとまではいきませんが、お互いにリアルの声が聞けるのってとても大事ですよね。
(『私もあんな風に、色んな人に話を聞いたなぁ』なんて思いだしました)

個人的には、グルーブごとに進め方がまったく異なるのがとても印象に残っています。1日目にある程度できた図面をプロ建築会社の方が2Dで製図し、PCで3Dにして、2日目に議論を進めているところもあれば、学生2名が図面を書くグループ、4名それぞれが図面を書いてそれぞれの良いところを取り入れていくグループもありました。

どれが正解というわけではなく、「みんな違ってみんないい」ですよね。


Z世代が求める家とは?緑と水、風を感じる家やニューノーマルに対応した住まいのアイデアも

ワークショップ2日目には、グルーブごとにできあがったプランの発表がありました。敷地の図面だけでなく、1〜2階の間取り図、立体図面を見せながら、プランを紹介していきます。

南面に大きな窓を設けながら高さの違う位置に窓を設け、自然対流により換気を促す「重力換気」を取り入れているグループが多かったように思います。

 Z世代はより【自然志向】というか、緑や水を取り入れ、「自然と共に過ごす住まい」を理想としているのだなと感じました。コロナ禍を経験してなのか、自宅で学ぶ/働くが当たり前となっていて、家でも気分転換ができるよう配慮されていたり、土間、見せる収納、隠す収納を取り入れたりといった声もよく聞きました。「家でのリラックス」や「インテリア」など、住まいの時間をより大切にするための興味関心が高まっているようです。

最後に今回、ワークショップに参加した感想を聞いてみました。

まずは学生さんから。
『パッシブデザインというのは知識として知っていましたが、実際に設計となると手強かったです。プロの方には非常にフラットというか対等に接していただき、愉しい2日間でした。将来は、お客さまの要望を聞きつつも、聞いたうえでさらに上をいくような、いい提案できるようになりたいなと思います。』

次に、ビルダーさんにも聞いてみました。
仕事の仲間として学生たちは接することがない年代なので、大変おもしろかったです。特に印象に残っているのは土間ですね。35坪の住まいで土間アリは収まるかなと思ったのですが、チャレンジングな経験でよかったなと思いました。あと、現実的すぎる話をしてしまって申し訳なかったかなあと。学生だからこそできるプラン、チャレンジってぜったいあるんですよね。今しかできないこと、後悔しないように、とにかくがんばっていただき、将来の糧にしてほしいなと思います。

 今回のワークショップ、学生さんにとってもプロのビルダーのみなさんにとっても、有意義なひとときになったようです。個人的にはLIXILの試みが、建築を学ぶ学生のみなさんとビルダーのみなさんの橋渡しになれば、こんなにうれしいことはありません。

ご参加いただいたみなさん、運営にご協力いただいたみなさん、ありがとうございました!

学生のみなさん、ビルダーさん、LIXILのメンバーと

<参加学生の皆さん>
東北工業大学 秋葉 美緒さん、東北大学 阿久津 麟太郎さん、東北工業大学 海道 遥佳さん、東北工業大学 加茂 賢登さん、宮城学院女子大学 鴻巣 陽菜さん、宮城大学 佐藤 彩乃さん、東北工業大学 佐藤 朋香さん、宮城学院女子大学 橋本 明日香さん、東北大学 山田 竜誠さん

<参加企業さま>
株式会社 菊池技建、株式会社 グリーンハウザー 住宅事業部、株式会社 D・LIFE、株式会社 徳田工務店、ホウトクHOUSE 株式会社、株式会社 むつみワールド、株式会社 森のめぐみ工房、株式会社 Roots


これからも、様々な断熱に関わる現場を取材して皆さまにお届けしたいと思っています!次回はもし良かったらフォローしてお待ちいただけたら嬉しいです。

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