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【究極のエコ住宅】自然の力を住まいの味方につける暮らし方「パッシブファースト」の魅力【断熱先生のダンネツノートvol.15】

今回は自然の力を利用して、快適に暮らす家づくりの考え方「パッシブファースト」についてご紹介したいと思います。「パッシブファースト」、皆さんはご存じでしょうか。

『またカタカナ?』、『聞いたことがないけど…』なんて声も聞こえてきそうですが(笑)前回、「ZEH(ゼッチ)」のときもお話しましたが、家づくり、住まいづくりって普段とはまったく違う言葉が出てきますよね。家を建てたいとぼんやりと思い描いていたのに、「省エネ基準」「ZEH」「HEAT20 G1/G2」と次々と知らない言葉が出てくると、びっくりしてしまう気持ち、わかる気がします。

ですが、省エネでしかも快適、健康な「住まい探し&づくり」をのぞむなら、知っておいて損はありません!なので、できるだけわかりやすくご紹介したいと思います!

自然の力を有効利用した設計手法「パッシブデザイン」って知ってますか?

「パッシブデザイン」とは、風・太陽の熱・光などのさまざまな自然エネルギーを上手に利用できるように設計する家づくりの考え方です。
その「パッシブデザイン」を優先的に取り入れた、快適な住まいの家づくりの考え方をLIXILでは「パッシブファースト」と言っております。
 
寒い冬は温もりのある日差しを取り入れ、暑い夏は爽やかな風がそよぐ、といったように、自然の力を利用して室内にいながら自然の心地よさが感じられる住まいづくりなんです。
 
電気やガスなどのエネルギーを使うにしても最小限ですむため、環境にもやさしい。そんなイメージを持っていただけたらと思います。

「パッシブファースト」のメリットやデメリットは?など気になる点はいくつもあるはずです。次からは、そんな気になる点を取り上げたいと思います。


住む土地にあわせた、自分たちだけの暮らし方ができる「パッシブファースト」の魅力 

では順番にメリットから見ていきましょう。

自然エネルギーを最大限利用しながら、同時に高気密・高断熱なども取り入れた造りにすることで、使うエネルギーが少量になり、電気代やガス代などを抑えられます。また、夏は涼しく、冬は温かいため、住まいの快適性の向上や健康寿命(※)を伸ばすことにもつながります。
※出典:国土交通省 住宅宅地分科会 資料より引用

デメリットとしてはこのようになっています。

日本でも増えつつある「パッシブファースト」の家づくりですが、注意点としては誰でも、どんな会社でも建てられるわけではなく、知見のある建築家や工務店探しをする必要があるという点です。そのような建築家や工務店に巡り合えても、土地の状況に合わせた工夫が、場合によって建築費アップに繋がったり、日当たりや風通しの悪い土地では、思うようにメリットが出ないこともあります。

ですが、ひとつ言えるのは「住む土地にあわせた、自分たちだけの暮らし方」に出会えるということです。南北に細長い日本は特に、地域によって気候や地域の特性が全然違いますよね。雪が降る地域と降らない地域では、寒さはもちろん、昼間の太陽の光の入り方も違います。
 
「パッシブファースト」は、そんな地域ごとの環境の違いを考慮しながら、日当たりや通風、蓄熱や気密を総合的に考え、その土地にあった家づくりを考えるということなんですね。私は「パッシブファースト」のこの考え方が特に好きです。


自然を活かす住まいが「パッシブファーストの家」、システムを積極的・効率的に活かす住まいが「ZEH」

では、これまでご紹介してきた高気密・高断熱の住まいや、ZEHとはどう違うの?というところを解説してきたいと思います。

「高気密・高断熱住宅」には厳密な定義はありません。ですので、「パッシブファーストの家」も「高気密高断熱」の一種ということになります。ただ、「パッシブファーストの家」は、冷暖房エネルギーに頼りすぎない家づくりになっています。

「パッシブファーストの家」は、積極的に冷暖房を使い快適にするのではなく、自然の力を借りて快適な住まいにするという哲学のもと設計されています。パッシブ(受け身)ファーストという名前も実はココからきています。

一方で、ZEHは太陽光発電などのシステムを積極的に取り入れながら、実際に使う電気エネルギーも少なくなるよう工夫し、トータルでゼロ以下にするという考え方に基づいています。『省エネと快適性の実現をそれぞれ異なるアプローチで叶えている』と考えるのがよいと思います。

また、実際にはパッシブデザインを採用して使うエネルギーを減らしたうえで、省エネ設備を使用した結果、ZEHの基準も満たしているという物件も少なくありません。つまり、どちらかが良い悪い、ではなく、寄り添いあった考え方ということなんです。


庇も大きな窓。日本の伝統的な住まいの造りは「パッシブファースト」にも通じる

実は日本の伝統的な住まいにも、「パッシブファースト」と共通するものがあるんです。

日本家屋には、(1)南側に大きな窓があり、(2)大きな庇で夏の日差しや風雨に耐える、(3)大きく開放的な間取りで風通しをよくする、という特徴があります。また、地域の大工さんが地域の木材などの素材を使った地産地消の家づくりをしていたりもします。

「パッシブファースト」の根幹にある“自然を活かす”という考え方は、私たち日本人が伝統的に受け継いできた暮らし方に相通じるものがあると思いませんか?先人の知恵と現代の科学的な知見が、対立するものではなく、実は相通じるものがあるんだと思うと、なんだか胸がいっぱいになりますし、「パッシブファースト」もぐっと身近に感じていただけるんじゃないかなと私は思います。

次回は、そんな「パッシブファースト」について、建築を学んでいる学生さんと実際に建築に携わるプロのみなさん、そして私たちLIXILが一緒に考えるというワークショップの取り組みをご紹介いたします。断熱先生が実際に潜入したレポートをお届けしますので、もし良かったらフォローしてお待ちいただけたら嬉しいです!

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