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ナイトブラについて本気出して考えてみた

私は生まれた時から体が大きかった。

だから幼稚園でも小学校でも
クラスの女子の中で、身長はいつも一番か二番目に高かった。

それに伴い、第二次性徴が他の友達より早かった。

少しずつ乳房は膨らみ
陰毛は生えていった。
体が大人へと変化していった。

 
私は親に言われるがままに、スポブラをつけた。
やがてホック付きのブラジャーをつけ
上下セットのお洒落な下着を買った。

 
成長と共にブラジャーは変わっていった。

 
大学の頃は補整下着をつける友達もいたし
アラサーになると、高くても品質の良い下着を買う友達が増えた。

 
10代の頃はかわいらしい下着が主流で
20代の頃は彼氏好みの下着をつけたが
アラサーになると
自分の未来の美ボディへの投資に変わっていった。

 
 
そんな中、私は30歳になった。

私はある日友達から、夜にブラジャーをつけている話を聞いた。
衝撃だった。

何故衝撃かというと
ブラジャーは夜外すものとして私は親から教えられ
実践してきたからだ。
ブラジャーデビューしてから20年、それは変わらない。

 
ブラジャーとは外出時につけるもので
学校や仕事や外出から帰り次第、サッサと外し
部屋着に着替えて解放感を得ていた。
締めつけが苦しいのだ。

夜寝る時も
休日自宅にいる時も
私はブラジャーをつけなかった。

だから急に宅配の人が来た時は
慌ててジャンパーか何かを羽織って誤魔化す手間が派生した。

 
私だけじゃない。
他の友達だってそうだった。
一緒にお泊まりした時にブラジャーは外していた。

夜はブラジャーを外すもの。

これは私だけの常識ではなく
女子の常識だ。

 
 
だが、その友達は夜にブラジャーをつけているという。
最近胸が垂れだしたのが気になったという話だ。

私はピンと来た。
そうか、彼女がグラマラスだからか!と。

 
彼女の胸はブラジャー特注サイズだ。

その辺の下着屋ではA~Cカップが主戦力商品で、Dカップが準レギュラー、Eカップ以上の商品はお店を厳選しないと売っていない。
Eカップ以上の巨乳の方は、特注で下着を作るのが当たり前だった。

 
重力に負けるほどの巨乳かぁ……
いいなぁ…私は垂れるほど胸はないしなぁ………
確かに特注レベルだと、夜さえブラジャーが必要なのかもしれない。
 
人には人の
人の胸には人の胸の事情があるのだろう。

 
私は最初、その話を他人ごとのように聞いていた。

 
 
だが、それからしばらくして
スレンダーな別の友達と胸の話になった。

最近胸が垂れた気がする。
あばらが浮いてきた、と。

私はドキリとした。
私もそうだったからだ。

 
あばらが浮き出したのは体重の変動のせいだと思っていたが
上半身の肉が全体的に垂れ下がり
あばらが浮き
その分胸が下がったのではないかという仮説に
私は心底ゾクッとした。

 
巨乳な子は垂れても重力と言い訳がきくが
貧乳で胸が垂れるなんてみっともない。
小さいくせに垂れている、って恥ずかしい。 

結婚しているならまだしも
まだ結婚できていないのだから
外見や容姿はある程度の基準をキープしなければあかん。あかんよ。

 
私はスレンダーな友達と、どこのブラがいいかとか、どんなブラがいいだとかを
二人でゴニョゴニョ話していた。
私は真剣だった。

体重は彼女の方が痩せていたが
身長や胸のサイズは似ていたからだ。
年齢も同じ。
色々と彼女の話は参考になるはずだ。

 
 
やがて、ナイトブラという名称で夜用ブラジャーは大々的に発売になった。
友達が言っていたのはこの先駆けだったのだろう。

ネットサーフィンをすれば
やたらとナイトブラの広告が視界に入る。

 
ナイトブラか…
買うべきか……
でもどこのを?どこのブラがいいんだ?
夜の締めつけは大丈夫なのかな?
うーむ…………

 
私は悩んだ。
まだ周りにナイトブラ愛用者はろくにいなかった。
こっそり愛用していたのかもしれないが
話題には上がらなかった。

「ナイトブラ気になっているんだけど、どうなんだろうね??

試したら教えて!」

周りは大抵そんな反応だった。
私も同じ気持ちだった。
試したら教えてほしかった。

 
 
年々ナイトブラの認知度が上がっていく中
2020年春に私は仕事を辞めた。

仕事を辞めた私はいつも通り
出掛ける時だけブラジャーをして
出掛けない時はブラジャーを外して生活していた。

仕事を辞めてから明らかに
ブラジャーをつける時間は減った。

 
「あれ………?」

 
私はある日、鏡を見て青ざめた。
明らかに、胸の位置が下がっている。
放乳しすぎた。

こ、これはまずい。
これはまずいぞ。

 
 
内心焦っていた中、何回も一緒にお風呂に入っている人にさえ、私は指摘されてしまった。

「あれ?なんかともか、胸、垂れた?」

決定打だった。
何年も何回も私の体を見知っている人から指摘されてしまった。
これはまずい。
明らかにまずい。

これでは結婚がさらに遠のいてしまう。

 
私の落胆は凄まじかった。

大きさは足りないが、形や色は自信があったし
元彼から褒められてもいた。
その胸の魅力が自他共に下がっている。
これは由々しき事態だ。

結婚しているならまだしも
これでは結婚前提のお付き合いの方が
結婚を前提としなくなってしまうかもしれない。
新たな恋が始まった時に障害となるかもしれない。
若いナイスバディな子に
意中な人をとられてしまうかもしれない。

 
まずい…
加齢や重力を言い訳にはできない。
見た目が大事なのだ。
新しい出会いの際、見た目が非常に大事なのだ。

明るい未来計画の為
私は生活を見直さなければいけない。

 
 
私は断捨離を始めた。

下着をいくつか捨て、代わりに新たな下着を買った。
休日だろうが自宅にいようが
入浴以外でブラジャーを外すことはやめた。

365日ブラジャー計画だ。

 
転職活動中(つまり無職)で彼氏がいない(つまり結婚の予定がない)ステイホーム中に
容姿が劣ったらみっともない。
冗談じゃない。

私は燃えた。
いい女を目指したかったのだ。

 
毎日の散歩や縄跳びの他に室内運動を加え
パックやヘアオイル
スキンケア用品を見直し、試し
ブラジャーを見直し、つける時間を増やし
自分磨きの時間を増やした。

 
ブラジャーを見直したせいもあるだろうが
常につけていても
夜つけていても
苦しさは感じなかった。
むしろ、毎日つけるようになると
つけない状態がソワソワして落ち着かなくなった。

人間はこうも変わるとは。

 
休日部屋で過ごす時、【コンビニに行ける位の格好をする】というポリシーがあったが
ブラジャーを常につけることで
【いつ倒れて医療従事者にお世話になっても、恥ずかしくない格好】にまで進化した。
倒れないならそれが一番安心だが
万が一倒れても、みっともなくはない格好だ。

 
仕事を辞めた私に不安はあるが、自由は広がり
ストレスから解放された。
肌艶はよくなり、体重は減ってスッキリし、ボディラインは変わりつつあった。

私は美に向けて頑張る自分が好きだった。
頑張った結果が
分かりやすく形になることが楽しかった。

 
「ナイトブラ、そんなにいいんだ。私もやってみようかな…。」

 
私は夜ブラジャーデビューをしたことを友達に話した。
まだ未体験の友達は私の体験談に興味を示した。


そして、ナイトブラをしている友達とはナイトブラトークで盛り上がった。
体や健康や美についてどんなことをやったらいいか
盛り上がった。

 
ナイトブラを既にとっくに試していた友達が私に言った。

「最近私、断食にハマってるの♡月に三日間だけやるの♡最初はめちゃくちゃしんどいけど、これがいいんだよ~。

ともかちゃんもやってみない?ともかちゃんはドMだし、こういうストイックなの、向いていると思うよ~。」

 
今のところ断食はやるつもりはないが
ナイトブラもなんやかんやでデビューしているし
絶対に断食デビューしないとは今は言えない。

いつか断食体験もしたら、noteでご報告したい。

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