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猫大好き・猫の日本の歴史


平安中期、藤原道隆・道長兄弟のもとで藤原氏が権勢を極め、また宮廷では清少納言、紫式部・和泉式部らによって平安女流文学が花開いた頃、一人の猫スキーがいました。

その人とは

第66代天皇・一条天皇

一条天皇は、自分の飼っていた猫に「命婦のおもと」と名をつけて可愛がっていたのですが、その溺愛っぷりは尋常じゃなく

なんと

その猫に冠五位の位(内裏の殿上の間に登れる地位)を与え、乳母もつけたほどでした。

そして、宮廷では「産養い」という、生まれたベイビーの将来の多幸を祈念するために誕生してから3、5、7、9日に催される祝宴があるのですが、「命婦のおもと」が子供を産んだ時に、その「産養い」をやっちゃったのでした。

それも、東三条院詮子(=一条天皇の母)・左大臣藤原道長・右大臣藤原顕光といった人物の手によってw

その時の事は、当時の貴族である藤原実資の日記『小右記』に次のように書かれました。

 内裏の御猫、子を生む。女院・左大臣・右大臣の産養ひの事有り。

…猫の乳母、馬の命婦なり。時の人これを咲ふ云々。奇怪の事なり。

…未だ禽獣に人乳を用うこと聞かざるなり。嗚呼。
(『小右記』長保元年9月19日条)

簡単に訳すと、内裏の猫が子供を産んで、左大臣・右大臣が人間の儀式をねこに対して執り行ったり、人間の乳母をつけるとか聞いたことないわー

という感じです。
現代では、そうでもないかもしれませんが、当時としては、かなりおかしな事だったのでしょうね。

また、部屋の端っこで寝ていた「命婦のおもと」に中に入るよう注意をしていもいう事を聞かなかったので、乳母が少し脅かそうとして、犬をけしかけたら猫が怯えて逃げ去ったところを偶然、目撃した一条天皇が

「犬は島送りにして、乳母はクビにしろと!」

と激怒したことが清少納言のエッセイ集「枕草子」に書かれています。

猫好きもここまでくるとヤバいですね。

さて、多くの人を魅了し現在でもペットとして犬と人気を二分にしている猫。

猫の語源はどこからきているかというと、実は色々な説がありはっきりしていません。

以下が語源の説です。

ネズミを好む⇒鼠(ね)を好む⇒鼠好⇒ねこ 日本釈名説

薬草の和名として「禰古末(ねこま)」という表現から 本草和名説

「虎に似ている」を意味する「如虎」(にょこ/虎の如し)が転じてねこになった。 言海(明治時代に編纂された国語辞典)説

一日中良く寝ていることから「寝子む」⇒寝子ま⇒ねこ 和名抄説

鼠子待ち⇒ねこまち⇒ねこ  円珠庵雑記説

睡り獣⇒ねむりけもの⇒ねけ⇒ねこ 賀茂真淵説 

その他

「ねうねう」というネコの鳴き声から「ねうねうこ」⇒ねこ

「猫」という漢字の「苗」(なえ)から「なへけもの」⇒ねこ

鼠を見ると軽やかに動くことから「鼠軽」(ねかろ)⇒ねこ

猫の頭が「鵺」(ぬえ)という鳥の頭に似ていることから「ぬえこ」⇒ねこ

そんな、ねこ、日本でいうイエネコは一般にインドの砂漠ネコが起源といわれており、シルクロード経由で中国から仏教の経典を守るために奈良時代に日本に連れてこられました。

当時の紙は100%植物だからネズミの食べ物でもあったんですね。

三蔵法師も天竺から経典を持ち帰る時にネズミ番として猫を一緒に連れて帰ったともいわれています。

このようにして日本にやってきた猫は本来の役目から離れ、愛玩動物として室町時代まで、上流階級など一部の人の間で飼われていましたが、戦国時代から江戸時代にかけて一般の間でも飼われるようになりました。

猫といえば、近年は室内外が定着しましたが、少し前までは放し飼いをしている人が多かったと思います。

実は、この頃の猫は、紐で縛られ室内で飼われていたのでした。

そりが江戸幕府開府の前年にあたる慶長7年に京都でだされた

一、洛中猫の綱を解き、放し飼いにすべき事。
一、同猫売買停止の事

の御触れや

徳川綱吉の「生類憐みの令」で猫に対して

「今より後つなぎをく事あるべからず」

の御触れによって、放し飼いが定着していったのでした。

そして、鎖国し島国だった日本で猫は独自に進化し「日本猫」といわれる種ができたのでした。

浮世絵などにも描かれていることからも、可愛がられていた事が分かる猫は、養蚕が盛んな地では蚕をネズミから守る大事な働き手であり

元禄十五.年(1702年)に津軽藩茶道役であった野本道玄という茶人が書いた『蚕飼養法記』という書物に「家々にかならず能猫を飼い置くべし」と書かれるほどでした。

また、農家の人たちは柱に“猫の絵札”を張りつけたり、掛軸にも猫の絵を掲げる家もあったそうです。

そして養蚕農家は、神社などに参拝して、蚕神に祈り、「蚕病、鼠除けのお札」や「猫絵」「猫石」などを頂いたりして、豊蚕と養蚕守護を願い、猫は猫が、蚕の起源神、保食命(神)などの蚕神の神使とされたのでした。

現代のペットの二大双璧は犬と猫ですが、働き手でもあり祀られたりした猫の人間とのつながりは犬よりも深いものかもしれないですね(´∀`)


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参考資料・サイト

猫 ~ ネ コ  養蚕、蚕神、保食命(ウケモチノミコト)の猫
http://www9.plala.or.jp/sinsi/07sinsi/fukuda/neko/neko-1.html

日本における猫
http://www.konekono-heya.com/history/japanese_cat.html#1

『歴史としての猫』
http://www.kashiwashobo.co.jp/new_web/column/rensai/r05-07.html

猫は神か悪魔か? 歴史に翻弄される猫たち
http://mau.pqpq2.com/2008/08/post-10.html

今日のことあれこれと・・・
http://blog.goo.ne.jp/yousan02/m/200509

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