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#本

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気になった本をただただ読む。そのまとめ。
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2021年6月の記事一覧

私たちが生き延びている世界の中で 『地球星人』/村田沙耶香

私たちが生き延びている世界の中で 『地球星人』/村田沙耶香

「殺人出産」「コンビニ人間」の次に、『地球星人』を読了しました。

あらすじ:恋愛や生殖を強制する世間になじめず、ネットで見つけた夫と性行為なしの婚姻生活を送る34歳の奈月。夫とともに田舎の親戚の家を訪れた彼女は、いとこの由宇に再会する。小学生のころ、自らを魔法少女と宇宙人だと信じていた2人は秘密の恋人同士だった。だが大人になった由宇は「地球星人」の常識に洗脳されかけていて…。

私たちの周囲に存

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私はコンビニ店員が大嫌いだった 『コンビニ人間』/村田沙耶香

私はコンビニ店員が大嫌いだった 『コンビニ人間』/村田沙耶香

村田さんの小説にはまってしまい、すぐさま次の作品を読了。

本著を読みながらまず想起したのが、「過去のコンビニでのアルバイト」の出来事である。

恐らくそのころ、私自身は相当、まわりの店員(昼勤の既婚女性)に馬鹿にされていたと思う。その経験が、自分の思い込みであるという範疇からは、完全に抜け出せないかもしれないが、当時も、今も、そう思う。

何でなのか、今も分からない。仕事っぷりがくそだから?性格

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教師とは何か 教師とは誰か 『勉強の哲学』/千葉雅也

教師とは何か 教師とは誰か 『勉強の哲学』/千葉雅也

最近、勉強の哲学という本を読んで、考えさせられることがあった。

それは、「教師」について。

義務教育期間のころ、当時仲の良かった先生のことを思いだすたびに、教師とは一体なんだったのか、と考えることがある。

その疑問はかなりポジティブなものだ。
教師というか、先生というか、◯◯さんというか、その個人というか、おそらく思い出される教師というのは、教師の枠を超えた、個人的なキャラクターに裏打ちされ

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何かを産み落とすということ 『殺人出産』/村田沙耶香

何かを産み落とすということ 『殺人出産』/村田沙耶香

殺人/出産、という相対する(ようにみえる)題目に惹かれて、数か月前に買った本。(ようやっと読めた。)

概要:今から百年前、殺人は悪だった。10人産んだら、1人殺せる。命を奪うものが保つ日本。会社員の育子(主人公)には十代で「産み人」となった姉がいた。蝉の声が響く夏、姉の10人目の出産が迫る。未来に命を繋ぐのは、彼女の殺意。昨日の常識は、ある日、突然変異する。

まず、「殺人」「出産」、生を消去す

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