携帯小説 僕が料理人になった理由

祇園の某日本料理屋で料理人の サイドストーリー 前作 全24話 僕が料理人になった理…

携帯小説 僕が料理人になった理由

祇園の某日本料理屋で料理人の サイドストーリー 前作 全24話 僕が料理人になった理由 新シリーズは週末配信 料理を軸に  自分を支えた趣味、 自分に深みを与えた病気、 影響を与えてくれた周りの人達と共に 話は展開します。 皆さまの人生の何かヒントになればと思います。

最近の記事

🆕第12話  Ginsyari

「ナマでっかいピンいきまーす」 「麦ロック差し替えです」 「カクレイ リャンお願いします」 聞き慣れない言葉がバークヤードを飛び交う その都度 翻訳してくれる先輩 『生ビール 10杯に麦のロックおかわり、 日本酒のカクレイが2杯だ』 『焦っちゃいい事ないからよ、でも急げよ』 こんなに速く動いたのは 小学校の時の50メータ走以来かもしれない 音にすると ズドドドドっ 目の前の事をこなすのに追われた。 そしてカウンターを見ると 全ての席が埋め尽くされ お待ちの

    • 第11話  Passport

      「お待ち10名様です」 開店直前 先輩が店先で待つお客様を確認しに行った。 . . . うちの店はカウンター13席 この時期はお花見シーズン お店が所在する中目黒は 桜の名所であり 東京と言えばココと言うような場所であった。 その影響もあり オープン前にほぼ満席状態となった。 同じ寮に住むの他店舗の先輩からも ナカメのこの時期は覚悟した方が 良いよと釘を刺された。 お店のドアが開く 先輩が1組ずつ 無駄なくカウンターに 配置していく。 まるでテトリスを操るか

      • 第10話  Ikusa

        シュポッ 煙草に火を灯す音で目が覚めた。 うちの店はほぼ全員喫煙者だった。 薄暗いの中、 煙草に火を灯す先輩の姿は男心をくすぐった。 先輩からは16時から動き出すと 聞いていたが、時刻はちょうど15時半 煙草をふかす人 携帯を眺める人 ギリギリまで寝ている人 それぞれがそれぞれのカタチで 夜の営業にむけて準備をしていた。 その昔、戦国時代 いくさに向かう武将達は こんな気持ちで気持ちを整えてたのかなと 想像したり 16時ジャスト 店内に電気が灯り一気に明るく

        • 第9話 Senzen

          扉を開けた。 そこにはカウンターの中に 職人達が5人ほど居て まな板を所狭しと並べて 仕込みに励んでいた。 「本日からお世話になります。加納です! 宜しくお願いします!」 僕は深々とお辞儀をした。 顔を上げた。 少し自分が思い描いてたイメージとは違った。 僕の思い描いてた仕込みのイメージ ◎全員坊主 ◎無音 ◎割烹着 要は修行僧のあの感じ まず坊主は僕しか居なかった。 修行前に見た焼鳥屋のドキュメンタリーがそういうお店だったので、勝手に決めつけてしまって

          第8話  Wow War Morning

          修行というのは人生初経験 サラリーマンの時は同期が沢山居た。 なので不安な気持ちも多少は共有出来た。 今回は同期はいるのかな? 小さいお店だから1人居たら ラッキーくらいかな? 鳥よしは噂で かなり厳しい修行先と聞いていたので それなりの覚悟はしていた。 不安な気持ちに押しつぶされそうになった時 僕は、モノを買って自分用のお守りを作る。 ちょうど誕生日だったので 自分に二つの贈り物をした。 一つは僕が一番大好きな曲である ダウンタウン浜ちゃんのwow war

          第7話 My tokyo

          東京に上陸した。 カッコよく言うと上京 サラリーマンの頃も合わすと 2回目の上京になる。 関西ローカルで成功した芸人が 東京進出する時は こんな感じかなと毎回思っちゃう。 ワクワクとヒヤヒヤが混ざりあうなんとも 言えないモロい感情 僕の住む場所は、 墨田区の八広って場所で 東京スカイツリーから 自転車で15分くらいにある町だった。 THE 江戸の下町の ベットタウン的なところで 洒落たお店は全く無かった。 コンビニも駅から寮の間に セブイレが一つある程度 やた

          第6話 Good bye Kyoto days

          東京行きを1週間後に控え、 残された時間を地元で過ごした。 何事もカタチから入りがちな僕は 頭を丸める事にした。 坊主は高校の時に罰ゲームでした以来だった。 馴染みのあるお店で、 厳しい職場に行くので 気合を入れてくださいと伝えた。 「それでは行きまーっす♪ よいしょ!」 店主は真ん中から バリカンを大胆に直進させた。 逆落武者ですやん! 「もう戻れないよ、これでいく?」 「いや、揃えてください、これではいじめられます」 イビツなカタチの僕の頭を 丁寧に計算

          第5話 good distance

          今度は僕の修行に関する物語だ。 前菜の酢締めを嗜んでると 1串目の砂肝が焼き上がった。 いつのまに そもそもこの鳥よしというお店は 煙が店の中に無く どこで焼鳥が焼かれているか分からなかった。 特に僕が着席した場所は焼き台の 死角となる場所で見えなかった。 クリーンな店内なのに いきなり本気の焼鳥が出てくる不思議な感覚 僕は砂肝を口にした。 あの時のあの食感だ。 そうニューヨークの鳥心 鳥心がこのお店から 影響を受けている事を理解した。 外がパリっと 中ジ

          第4話 Mysterious

          今度は僕の修行に関する物語だ。 僕はお通しのおしんこを口にした。 胡瓜とカブと胡瓜を細かく刻んだもの 自家製と思われるぬか漬け おばあちゃんの家で食べた以来だろうか どこか懐かしく  幼少期の記憶にタイムスリップした 感覚になった。 そして職人さんから オーダーの説明を受けた。 鳥よしには価格の記載された メニューというものが存在せず 木の札に書かれた部位の表記が 壁に貼り付けてあるのみ 職人はこう口にした。 『お任せ頂いていいですか?    お腹がいっぱい

          第3話 First Impression

          今度は僕の修行に関する物語だ。 僕はI Phoneを片手に 中目黒鳥よしに向かった。 そして焼鳥特有の煙の匂いを頼りに向かった。 デジタルとアナログの合わせ技で いこうと思った。 、、、、、? 店を通り過ぎてしまってた。 これは後からわかる事になるのだが 鳥よしのダクトは独自のものを使っていて 店内には煙の匂いがしない  それ故に、外には煙の匂いが漏れる事がないのである。 Googleマップである程度の当たりをつけて あとは嗅覚を頼りにしていた僕は 普通に通り過

          第2話 Warming Up Tokyo Life

          今度は僕の修行に関する物語だ。 僕の新たなステージである  修行先へと視察に行く事にした。 と言うのも 名店と呼ばれる鳥よしのサービスを お客さんの視点で体感したかった。 お店の人には素性を明かさず あくまでもお客さんとして 合法的スパイ行為を企んだ。 せっかく東京に行くのだから楽しみたいなと思い直近のイベントを検索してたら ブレイクダンスのcrewである ファンドネーションの アニバーサリーパーティーがあった。 前から気になってたイベントであったのと 恩師であるコ

          第1話 A Change of Direction

          今度は僕の修行に関する物語だ ドドンパ食堂のクローズパーティーは盛大に終わった。 130人ものお客さんが来場し、 クラブのビール樽は全て無くなった。 来てくれたお客さんは 僕の次のステージへ 最高のカタチで送り出してくれた。 僕はそのイベントで得た収益で 焼鳥修行の必須道具である 骨すき包丁を手に入れた。 ニューヨーク行きを控えた 僕は移住のため チャンスを与えてくれたATSさんと 頻繁に連絡を取り合っていた。 住む場所、 ニューヨークで生きていく上での心構え 様

          最終話 "Thanx everyone"

          これは僕の料理に関する物語だ。 クローズパーティーが終わり、 僕は上京した。 ニューヨーク行きはビザの関係で見送った。 当時、トランプ大統領に替わり移民に対する 規制が厳しくなった時だった。 僕はニューヨークのお店 "鳥心"のベースとなった 日本焼鳥界の名門、東京の中目黒にある 鳥よしを紹介して貰い 修行に励んだ。 2021年 謎の未確認 ウィルスが世界に上陸した。 それはコロナウィルスと呼ばれる 未だ人類が経験した事の 無い未知のウィルスだった。 コロナウィル

          第23話 理想のカタチ

          これは僕の料理に関する物語だ。 僕はニューヨークに旅立つ前 ドドンパ食堂で稼いだお金を 全て注ぎ込み閉店感謝祭を 開催する事にした。 お客さんに対する恩返しであり 僕がその時出来る事をを全て 落とし込みたかった。 僕はドドンパ食堂に携わった一年間 色んなパーティーに足を運んだ。 ケータリングでも呼ばれる事も多々あった。 奈良の友人が主催したパーティーは ドープな事をしているのに 来てるお客さんは皆んな笑顔だった。 大阪の敏腕プロデューサーが していたパーティーは

          第22話 ストリート的マーケティング戦略

          これは僕の料理に関する物語だ。 僕はドドンパ食堂というお店を 料理歴3ヶ月で手にした。 まさかこんな最速でお店を持つことが出来るとは思いもしなかった。 僕はドドンパ食堂を始める前に モデルとするお店があった。 それは東京の八王子にある クジラ商店という 居酒屋ダイニングバーである。 そのお店はクジラ君という 八王子を代表するブレイクダンスチームの メンバーが  店長を勤めるお店だ。 八王子という街は、 8north gateが手掛けるお店やダンススタジオが何店舗か

          第22話 ストリート的マーケティング戦略

          第21話 ドドンパ食堂誕生

          こられは僕の料理に関する物語だ。 例のBARに向かう前、 僕は高校の同級生の家に遊びに行っていた。 僕は学校で出汁巻きを教わったとこで 友達の家で出汁巻きを披露した。 なので、出汁巻き用のフライパンを リュックに持参して遊びに行っていた。 友達の家の帰り道、例のBARに寄った。 そこのBARはα君という子が お好み相談室αという屋号でやっていた。 京都の先斗町の端でやっており、 レンタルサイクル屋の2階にあった。 僕は着くや否やハートランドを注文した。 そのBA