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長歌未発表作品

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30行50行の長編あるいは10行の未発表作品を挙げます。
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記事一覧

飛ぶために屈む

 新しい30行長歌ができて、
 うぉーってなっている!

 前のものに比べると言葉数は増えたかもしれない。
 しかし、本来使いたい言葉数より減らしているし、
 ここ最近の個人的なライト・ヴァースブームで
 調べがタイトになっている。

 前のものより
 モチーフが、多層になったという印象を持っている。
 この作品ができてから前の作品を見ると
 ただ削ればいいというものでもないのが分かる。
 モチー

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歌観は変わるもの

 ある長歌が、ほとんど推敲を終えた。
 何度か書き直そうと言葉を変えてみたりしたが、
 今の形が一番いいように思う。
 言葉は短い。
 その分、暗喩やイメージあるいはモチーフを入れている。
 ただ、それではただ「重たくなる」から
 ところどころ無駄な余計な言葉を入れている。
 ここを削ろうとすると「固くなる」という
 ライトバースの難しさを感じる。
 完璧より少し「抜けている」方が
 「ゆとり」が

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過去作が、過去になった

 ライトバース、かなり難しい。
 そして、それを至高として過去作を見ると
 どれだけ説明過剰で
 どれだけ言葉が固いか。
 あれだけ大好きだった作品が
 固すぎる、ごちゃごちゃしている
 メッセージが交錯している。

 私の中で、「山」と「親子」は繋がる。
 私の中で、「生贄」と「贖罪」は繋がる。
 私の中で、「命」と「胤」に、途方もなく影響される。

 いつか、この作品を誰かに批評されたい。
 

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門外漢にも届ける

 長歌は、さぁやるぞ。でないとなかなか作れない。
 そして、発句が出てくるまでなかなか進まない。
 さらに、そこから行が進むかも定かではない。
 と、いうように、長歌に挑戦されれば、
 この詩形がなかなか難しいのが分かってもらえるだろう。

 私たちは、自分でもできそうという安易な動機で
 短歌や詩を始めるらしいが、
 実は、そこには、魂込めて作っている者たちの
 戦場であって、理念や技術が過剰で

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「旧」最新作

 私たち歌人は、最新作が一番愛おしい。
 毎分毎時間、その歌の推敲(思いを致す)をしている。
 それが、どうだろう。
 あの時、あんなに愛おしく接していた
 「旧」最新作は、みすぼらしい姿に見える。
 否、主張が強すぎる。
 私たちの価値観は常に成長している。
 しかし、それが、新人賞と関りがあるかといえば
 分からない。
 意味を詰め込めば、難解になり
 洗練を追求すれば、軽すぎるとなる。

 

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何をサンプリングしているか?

 私たちは、何かしらをサンプリングしている。
 日本語的に言えば、「本歌取り」している。
 それは、後者のよく言う
 「歌」から「歌」ではなく、
 「出来事」から「歌」もあるし、
 「輸入した思想」からの「歌」もありえる。
 私たちは、本歌取りを無自覚に意図的に行う。
 パウンドやエリオットやジョイスのように
 「本歌取り」するのが、
 ある種、技法として認められている。

 短歌で短歌を「本歌取

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アニミズムをどこまで許すか?

 アニミズムを短く定義すれば
 「自然界のあらゆる事物に霊魂が宿ると信じる考え方」とある。
 今日、最もアニミズムを象徴するのが、
 シリであり、アレクサだ。
 私たちは、彼らがまるで生きているかのように接している。
 無言ですらなく多弁なアレクサに霊魂を認められても仕方がないように思う。

 では、なぜ、今回、私が
 アニミズムを取り上げるかというと
 私が未来5月号の原稿で、
 このアニミズム

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重たい軽さ

 最近の私の作風は、「都会的」であろうという気風がある。
 言葉は短く、隠喩的で、ライトで、なのに直喩(強制)だ。

 「都会的」というのは、やはり「ライトバース」
 という感じがする。
 今、私がやっている長歌は、
 「ライトバース」的であり、「都会的」なのだ。

 長歌それ自体の形式上のあれこれが定まっていないから
 私は、私の長歌形式のアイデアを出し続けている。
 たぶん、長歌を語ではなく行

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尖りすぎていないか?

 私は歌人である。
 歌を「短歌のみ」を指すとは思っていない。
 だから、長歌を試みているのだ。

 しかし、最近の私の作風は、尖りすぎている
 とも、冷静になると思えてくる。

 単純に、五七五七五七・・・七七
      反歌
     五七五七七
 ならば、いいのだが、
 ある詩的装置を二つも加え、(3月号の未来で明らかになる)
 一見したら、これは歌なのか?
 という疑問を持たれるかもしれ

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劇詩を試みる・3

A  議論は、同じ前提を持って深まる、妥協しよう
C  王は、窒息する。君が青春を殺そうが殺さなかろうが
A  水掛け論だよ。――妥協しよう

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劇詩を試みる・2

B  薔薇を生かすために水が改良されるのだよ
C  君の論には、息苦しさがある「美」はもっと風だよ

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劇詩を試みる・1

第一幕第一場

A   青春を殺さなければ運命を勝ち取ることができない
B   薔薇が赤いってのは薔薇の問題ではなく私の問題だ
C   風に救われ、風を捨てろ。王が窒息する前に

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虚都ポンペイからの帰還・夕

預言者 「イチジクの実が落ちている」
王   「嗚呼、偉大なる預言者よ。言葉をおくれ」
預言者 「熟れすぎた実を啄んだ鴉(あ)の夕べ風葬 夜の杜(もり)の喧騒」

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