何をサンプリングしているか?

 私たちは、何かしらをサンプリングしている。
 日本語的に言えば、「本歌取り」している。
 それは、後者のよく言う
 「歌」から「歌」ではなく、
 「出来事」から「歌」もあるし、
 「輸入した思想」からの「歌」もありえる。
 私たちは、本歌取りを無自覚に意図的に行う。
 パウンドやエリオットやジョイスのように
 「本歌取り」するのが、
 ある種、技法として認められている。

 短歌で短歌を「本歌取り」するのは、
 実は難しい。
 イメージに走るか、大事な五音七音を捧げなければならない。
 長歌は、その点、両方ができる。
 五音七音を犠牲にして、一首のイメージを「本歌取り」しつつ
 全体の調和を図れる。

 実は、私は、また、30行長歌を一篇紡いだ。
 毎回思うが、最新作こそ一番、愛おしい。
 愛おしいからこそ何回も繰り返し読むし、
 嫌いな点も見つけていくだろう。
 しかし、愛おしいからそれを優しく訂正できる。

 長く愛おしんでいた30行長歌と
 新しく愛おしむ30行長歌とを
 この一月間、比較してみなければならない。
 悲しいが、それが現実だ。

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