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極めてテクニカルなシーラッハさんの作品「禁忌」

<文学(82歩目)>
緑、赤、青が一つになると白になる。光の三原色を章に使い、人間の本質をテクニカルに描いた作品に耽溺する。

禁忌
フェルディナント・フォン・シーラッハ (著), 酒寄 進一 (翻訳)
東京創元社

「82歩目」はドイツの短篇の名手のフェルディナント・フォン・シーラッハさんによるこれもまた斬新な試み。

連続して一気読みしているのですが、ハズシが無い。そして、色々な手法がとても刺激的。

一気に極東の島国の一ファンになってしまいました。

「犯罪」もの。「法廷」もの。多くの小説を読んできましたが、シーラッハさんの「法」にかかわる経験と類まれな人間を見つめる視点が融合して素晴らしい作品になっている。

短いながら、無駄のない書体の中から読者に突き付けるものはとても多い。

日本の18世紀の良寛さんの「うらを見せおもてを見せて散るもみぢ」を引用して、深みを高めた手法に2度読みを思わずしてしまいました。
単なる「犯罪」小説ではなく、法廷の場を使っての人間とは何なのか?を読者に突き付けた作品です。

微妙なところで、人生の問題が起こりえると考えさせられるすごい作品です。

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