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「トロッコ問題」を深く考える「テロ」

<文学(81歩目)>
倫理学上の問題である「トロッコ問題」を深く考えてみる。

テロ
フェルディナント・フォン・シーラッハ (著), 酒寄 進一 (翻訳)
東京創元社

「81歩目」はドイツの短篇の名手のフェルディナント・フォン・シーラッハさんによる戯曲形式による斬新な試み。

表題に惹かれて読んだが、これは「テロ」対策において、テロリストを利さないために取りうる選択の結果を法廷劇により読者に考えさせる。

何時ものように無駄を徹底的に省くことにより本質的な問題点が浮かび上がる。
極めて短い作品ながら、考えさせられることが多い作品です。

また、作者が提示した世界観の中での作者の考えによる展開で作者の意図を伝えること(文学)が、これからの時代に沢山の「if」をAIが処理していくとシミュレーションゲームの様になる。

その際の文学が取りうる表現方法はこの様な戯曲形式によるものではないか?とも考えた。

幾つかの「if」で分岐した世界の中での最適解を作者が選んで創造していくことが間近なのではないか?とも感じました。
色々な意味で、とても斬新な試みで一読の価値あり。

この場合、「愛(love)」はパラメータ(外部から与えられる変数)になるのか?あるいはコンディション(条件)になるのか?ここも重要で、これからの小説で踏まえないといけないこと痛烈に突いている作品と感じました。

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