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荷花
2024年4月30日 17:40
水を飲む。 飲み口に少し残されたなまぬるい温度が、少し天国だった。名前に果てはないように、わたしに命がよりかかる。たわんで、すべてがおじゃんになる。 ふるい雨が降っている。腕の内側にすっかり細い蛍光灯のような骨がある。それをきゅっと引き寄せるみたいに雨を見あげる。傘は忘れてしまった。白いひかりがわたしから駆け上がって空へ飛びついていった。それは涙ともいえるものだった。 わたしの黒いトート
2024年4月5日 18:45
たとえばわたしが鳥だったとしてあの顔ができるだろうか。愛され方しかわかっていないあの鳥の、くるりと一周まわった水鏡のような瞳。水浴びをする白文鳥をじっと見つめる。春の午後。 わたしが100%わたしであった時代を思い返す。それはフライ返しみたいにへにゃんとしていて、輪郭がやわらかくひしゃげている。わからない、とは言えないが、スフレにフォークを押し付けるみたいに少し痛む。結局全て忘れてしまうから