ヨーロッパのお酒文化 ~おいしかったお酒7選
今回はヨーロッパのお酒について。ドイツで生活していたときに飲んでおいしかったお酒を7種類ご紹介。
なお、これを読むと僕がすごい酒豪のように見えるかも知れないけど、それほどお酒に強くないので、量はそんなにたくさん飲めません。涙。
あと言わずもがなだけど、これらは僕の個人的な経験に基づいた好みなので、みなさんのお口に合うかは分からないです。
(1) ドイツビール
まずはやっぱり、ドイツビールを一番たくさん飲んだ。ドイツで酒屋さんに行くと数えきれないほどの種類のビールが売られていて、これまで150~200種類は飲んだはず。
一番気に入っている銘柄は、「アウグスティナー」という名前のドイツ南部で一番飲まれているオーソドックスなビール。日本のラガービールと似た、へレスという種類。あとは、ヴァイスビールという種類の白ビールも全般におすすめ。どれも一本500ccで100~150円くらい。
↓ アルゴイという地域の有名なビール。ラベルに1リットルジョッキを持った子どもが登場。
(2) グルジアワイン
グルジアはワイン発祥の地の一つ。現地を旅行した時にも、レストランではみなさんよくワインを飲んでらっしゃった。特に3~4年以上寝かせたものは、後味に独特の土のような風味があって味わい深く、個人的には好み。
白ワインがおすすめ。ブドウの品種は「MTSVANE(ムツバネ)」がイチ押し。グルジア人に言わせると特に高級というわけではないらしいけど、僕は好きです。もしくは「Tsinandali(ツィナンダリ)」とか。
なお、グルジアワインは土壺を地面に埋めて醸造する「クヴェヴリ(Qvevri)」という製法が有名。8000年続く製法らしい。ただ、この製法だとワインらしい味ではなくなってしまうので、僕個人的にはちょっと苦手。
因みに、コソボやモルドバのワインも現地で飲んだけど、きっちり作っているものはグルジアワインとどこか似た風味がする。同じようなぶどうの品種を使っているのかなあ。
ただ、グルジアワインも含めてこれらの地域のワインをドイツで買おうとしても、なかなか売られていなかった。だからドイツ在住のグルジア人の個人商店で、グルジアワインのネット販売をしていた人から買っていた。
(3) ベルギービール
ベルギービールは種類が多くて、当たり外れが大きい。そしてドイツのように純粋なビールではなく、ハーブやスパイスがたくさん入っているのが特徴で、日本人が想像するビールの味とはかなり違う。だから好みが分かれるところ。
他にも特徴として、アルコール度数が高いものが多い。例えば8%とか、中には12%とかもある。自分としてはアルコール度数が高い系統のものの方が合っている。
おいしくて記憶に残っているのは、Deus、Delirium、Orval、Duvel、Tripel Karmelier、Saison Dupontなど
(4) イタリアで飲むイタリアワイン
イタリア国内で出されたイタリアワインは、安くてもとても質が高く、ハズレにあたったことがない。
ちなみに、そもそもイタリアでは小規模な所帯でワインを醸造している人たちが多いらしい。職人気質の人が多いイタリア人は、大量生産して目が行き届かない製品を世界中へ出荷して金儲けするよりも、小規模でもよいから自分が納得できる質の良い自慢のワインをつくって地元へ卸すことを好む傾向があると言われている。
そういった丹精を込めて作られた安くて質の良いワインは、生産本数が少ない。だから輸出されずにイタリア国内だけで消費されるので、現地でしか飲めない。
ちなみに、ハンガリー人からも似たような話をよく聞いた。
「ハンガリーのワイナリーは、小規模な家族経営で丁寧に良いワインを作っているところが多いんだ。年間で数千本とか、多くてもせいぜい数万本しか醸造しない。で、ヨーロッパで広く展開しているスーパーのバイヤーの目に留まって、供給してくれないかと声がかかるとするだろ。でも、ひとことめには『年間で数十万本を安定して供給できますか』って言われる。とてもそんな数はつくれないから、せっかくの申し出だけど断って、広く輸出することをあきらめる。だからハンガリーのワインは質がよいけれども、なかなかハンガリー以外で飲むことができないんだ」
(5) エストニアのビール
たまたまだったのかも知れないけど、ビールとパンはどれも圧巻だった。
(6) ベラルーシで飲んだウオッカ
ウオッカって飲んだことなかったけど、ベラルーシを旅行した時に売店で売ってたウオッカを飲んだら、予想外に味わい深くて、かっぱえびせんのように飲んでも飲んでも止まらない。そりゃあ皆さんウオッカにハマって「呑んだくれ」になるのも分かるわ。
(7) アルバニアのラキア(果実の蒸留酒)
バルカン半島のアルバニアで飲んだ、10年くらい寝かせたぶどうのラキアが、それはそれはおいしかった。あとはブルガリアのラキアもドイツで売っていて、これも素晴らしい。
ヨーロッパお酒概要
最後に、ヨーロッパのお酒の種類について憶えるちょっとしたコツを。
*これは僕が経験的に感じたことなので、正しいかどうかは自信ないです。
まず、お酒を大きく分けると、主要な2つ種類がある。
1つ目が醸造酒。発酵したものをそのまま飲むアルコール度数の低いお酒。ビール、ワイン、日本酒など。
2つ目が蒸留酒。加熱して蒸留したアルコール度数の高いお酒。ブランデー、ウイスキー、焼酎など。
そしてこれらお酒の材料は、気候によって大きく2種類に分かれている。気候別に何がつくられるか見てみると・・・。
温暖なラテン系ヨーロッパ
「南部・西部の国」は、ラテン系の人たちが住むイタリア、スペイン、フランス。これらの国は地中海性気候といったヨーロッパの中で温暖な気候。ヨーロッパの中では比較的小柄な人たちが住む。
このエリアは温暖なので、くだものの果実がよく採れる。そのため、果実がベースのお酒がメインになる。
醸造酒の代表格は、果実であるぶどうをベースに醸造するワイン。ヨーロッパで飲まれるワインの9割くらいは、これらラテン系3ヶ国でつくられているのではないだろうか。
先ほどの7選の中では、②グルジアワイン、④イタリアワインが該当。
そしてラテンの国の蒸留酒といえば、例えば果実で作られるフランスのブランデー・コニャックや、イタリアのグラッパなど。
先ほどの7選の中では、⑦アルバニアのラキアが該当。
寒冷な中部・北部・東部ヨーロッパ
いわゆるゲルマン系などの血が入った人たちが多く住む、ドイツ・イギリス・北欧や、他にも東欧・ロシアなど。これらの国は緯度が高かったり、内陸の東部に位置していて、寒冷な気候。
ヨーロッパの中では比較的大柄な人たちが住む。ちなみに生物は、体が大きいほど、寒さに強くなる傾向がある。
寒冷な地方では果実は育ちにくく、代わりに穀物(麦、芋など)が主要な作物になる。そのため、穀物ベースのお酒がメインになる。
まず醸造酒でいえば、穀物である麦を原料にしたビールが代表格。
先ほどの7選の中では、①ドイツビール、③ベルギービール、⑤エストニアのビールが該当。
蒸留酒では、同じく穀物の麦を原料にしたイギリスのウイスキー。ロシアや東欧では麦や芋を原料にしたウオッカもよく飲まれる。
先ほどの7選の中では、⑤東欧ベラルーシのウオッカが該当。
はい、ということで、ヨーロッパのお酒文化でした。
物語(ナラティブ)としてのお酒
ヨーロッパにはいろいろなお酒があって分かりにくいけど、上記のように整理すれば覚えやすいのでは。興味ある人は、色々と試してみてはいかがでしょう。
ただ本当は、現地の気候の中で現地の生活習慣の一環として、そのお酒を飲むのが一番合っていると思う。
例えばドイツビールは、夏の昼間のカラッとした気持ち良い気候の中で、気の置けない家族や友人たちと木陰のビアガーデンで飲むのが一番おいしい。イタリアワインは、チカラ強い太陽がようやく傾いた頃、夕方や宵の口に飲み始めると、「さあ今から家族で晩ごはんを楽しむぞ」という気持ちになる。寒くて夜は真っ暗になるベラルーシで体が温まるウオッカを飲むと、楽しい気分になる。
お酒とは、そうやって「自分の経験」として総合的に楽しむことによって、人生を豊かに彩ってくれるものだと思う。
by 世界の人に聞いてみた
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