斯賓@DMSS

ただのミステリ好き。特に翻訳ミステリが好きです。

斯賓@DMSS

ただのミステリ好き。特に翻訳ミステリが好きです。

マガジン

  • ミステリの話

    • 35本

    Dミス部員によるミステリ関係の記事が載ってるマガジンです。※各記事の内容は執筆者個人の意見に基づくものであり、弊会の総意とは異なる可能性があります。

  • 新刊レビュー

    • 2本

    Dミス部員たちによる新刊レビューです。個人レビューやクロスレビューが読めます。※各記事の内容は執筆者個人の意見に基づくものであり、弊会の総意とは異なる可能性があります。

  • Dミス部員の話

    • 10本

    Dミス部員たちの個人的なコラムや自分語りが読めるマガジンです。※各記事の内容は執筆者個人の意見に基づくものであり、弊会の総意とは異なる可能性があります。

  • イベント系

    • 3本

    Dミス研で開催したイベントに関する記事が読めるマガジンです。※各記事の内容は執筆者個人の意見に基づくものであり、弊会の総意とは異なる可能性があります。

最近の記事

アニメ『ようこそ実力至上主義の教室へ 2nd Season』10話の(本当に)小ネタ~海外ミステリパロディ

・はじめに  先日本稿タイトルのアニメを見ていて、椎名ひよりと綾小路が図書館で出会う際、後ろの本棚の小説が実在の海外ミステリのパロディになっていることに気がつきました。  これが8割方わかる方はかなりのミステリ好きだと思いますが、そのパロディ元の作品をあげていきたいと思います。画面のスクリーンショットを載せるのははばかられますので、作中パロディタイトルと元ネタタイトル・作者名の掲載のみとさせていただきます。  わかりにくいかと思いますがご容赦ください。ご確認していただけると、

    • 陰陽座「相剋」と『犬神家の一族』~ひとつの個人的な考え

      ※本記事では、横溝正史『犬神家の一族』について主要部分のネタばらしを行っています。ネタばらしを避けたい方はブラウザバックをおすすめします。また、『犬神家の一族』は読んだことがないけれど、陰陽座「相剋」の内容とどう関係しているのかな、と気になる方は読まれてもいいのかもしれません。ネタばらしなんてまったく気にならないよ、という方はこのままお読みください。多少なりとも気になる方は、慎重に考えてからのほうがよいでしょう。『犬神家の一族』は読んだし、「相剋」も好きという方は、自分の考え

      • 上半期読んでよかった作品10作

        ・はじめに  今年の上半期に読んでよかったなぁ、と思った作品を10作あげます。順不同です。 1:千街晶之『水面の星座 水底の宝石』  ミステリ評論です。多くの作品のネタばらしがあるので、読む人を選ぶかもしれませんが、ミステリに関する博識で学びがある評論となっています。今のミステリ評論をおさえておきたい人は読んだ方がいいかもしれません。 2:パトリシア・ハイスミス『11の物語』  ハイスミス、短篇が(も)うますぎます。切れ味がとても鋭く、人の心の奥底を震えさせる短篇を読みた

        • 積んでいる作品・読みたい作品・読み返したい作品

          ・はじめに  私事で恐縮ですが、うちにある小説の多くは未読で(読んだ作品は、よほど手元に置いておきたいと思わないかぎり整理してしまいます)、その中から特に読みたい作品やシリーズをあげていきたいと思います。 ・スティーヴン・グリーンリーフ ジョン・タナー・シリーズ  一作目を読んだ限りだと、「ネオ・ハードボイルド」の中でも、正統派に近い作風です。これからさらに面白くなっていくそうなので楽しみです。 ・カーター・ブラウン作品  ポケミスで昔たくさん出ていた軽ハードボイルド。何

        アニメ『ようこそ実力至上主義の教室へ 2nd Season』10話の(本当に)小ネタ~海外ミステリパロディ

        マガジン

        • ミステリの話
          35本
        • 新刊レビュー
          2本
        • Dミス部員の話
          10本
        • イベント系
          3本

        記事

          「ハードボイルド小説」にまつわるあれこれ

          ・はじめに  みなさんは、「ハードボイルド」と言われたときに、何をイメージするでしょうか。  例えば、「渋いおじさんがバーで煙草をくゆらせながらバーボンを飲んでいる」というシーンを思い浮かべる方もいらっしゃるでしょうし、「やせがまん」や「男の美学」などといった言葉を思い浮かべる方もいらっしゃるかもしれません。また、『カウボーイ・ビバップ』や『スペースコブラ』などの作品を思い浮かべる方もおられるでしょう。  しかし、ハードボイルド小説とはどんなものなのでしょうか?   実際のと

          「ハードボイルド小説」にまつわるあれこれ

          最近ミステリについてふと思ったこと

          ・はじめに  まとまった記事にするには分量が足りないけれど、ふとミステリについてなんとなく思ったことを書き連ねたいと思います。  私事ですが、最近ミステリに造詣の深い方とお話しする機会があり、その中で色々と考えることがありました(大したことではありませんが)。 ・横溝正史について  横溝正史の有名作は、現代の謎解きミステリ読者が読めば、おそらく中盤程度で犯人を察してしまえると思っています。  その中で、横溝が今後も読み継がれていくとしたら、それはフーダニットやハウダニットの

          最近ミステリについてふと思ったこと

          『ホワイト・ジャズ』覚え書き その2

          ・はじめに  読書会用のレジュメにまとめたジェイムズ・エルロイ『ホワイト・ジャズ』についての簡単な内容をこちらにも載せます。『ホワイト・ジャズ』について私が触れるのは二度目ですが、何卒ご寛容な目で見ていただければ幸いです。  何かの参考になれば嬉しいです。  また、こちらの内容を含め、ジェイムズ・エルロイ作品についてはいずれ私が同人誌にまとめる予定ですので、記述が被る可能性があります。その点ご容赦ください。 1.文体  /、=、––––、体言止め、現在形の多用、単語の羅列、

          『ホワイト・ジャズ』覚え書き その2

          ドラマ『犬神家の一族』についての雑感(※ネタばらしあり)

          ※この記事にはドラマ『犬神家の一族』のネタばらしが含まれます。 ※この記事はあくまで個人の見解であり、DMSSの見解ではありませんのでご注意ください。 ・はじめに  先々週・先週と、ドラマ版『犬神家の一族』が二夜にわけて放映されました。  大前提として、今回のドラマ版はよくできていると思います。斬新な解釈と、現代的な物語となっており、絶賛されるのも頷ける出来です。  そのうえで、ちょっと感じたことを書こうかと思います。以下の文章にはネタばらしが含まれていますので、未見・未読

          ドラマ『犬神家の一族』についての雑感(※ネタばらしあり)

          『日本ハードボイルド全集5 結城昌治 幻の殺意/夜が暗いように』

           『日本ハードボイルド全集』とは、日本におけるハードボイルド小説の開拓者たちの作品を集めた叢書です。1は生島治郎、2は大藪春彦、3は河野典生、4は仁木悦子、5は結城昌治、6は都筑道夫となっています(傑作集という名の短篇アンソロジーも出る予定になっていますが、まだその音沙汰はありません)。  結城昌治の巻を読んだので、軽く感想を書こうと思います。ただ、本作には非常に優れた霜月蒼氏による解説が収録されていますので、そちらの方がもちろんためになると思います。  解説を引きますが

          『日本ハードボイルド全集5 結城昌治 幻の殺意/夜が暗いように』

          「ハードボイルド小説」へのはじめの一歩

          ・はじめに  「ハードボイルド小説に興味があるけれど、何から読んだらいいんだろう?」と思っていらっしゃる方も、もしかしたらいらっしゃるかもしれません。  ここで、私なりの「はじめの一歩」となるような作品をあげてみたいと思います。まぁ、かなり偏っているので、「ふーん」と思いながら目を通していただければ幸いです。 ・おすすめ ・「まず原点が知りたい」 →ダシール・ハメット『赤い収穫』(『血の収穫』)  1929年に出版された、ハードボイルド小説の素晴らしい古典にして偉大なるジャ

          「ハードボイルド小説」へのはじめの一歩

          架空のアンソロジーを編む その2

          ・はじめに  前回の記事が、「アンソロジーを編む」と言いつつ評論を集めるという、いわば「得意分野に引き寄せる」感じになってしまったので、今回は短篇小説で編んでみたいと思います。 ・テーマ「音楽(家)」  小説で音楽を描くのって難しそうですよね。というわけで、音楽(家)をモチーフとした、あるいは登場する短篇小説を十篇集めてみました。 ・作品 「ババ・ホ・テップ」ジョー・R・ランズデール 「デュオ」飛浩隆 「ダンス教師の音楽」ウィリアム・トレヴァー 「バッグ・レディの死」ロー

          架空のアンソロジーを編む その2

          架空のアンソロジーを編む

          ・はじめに  タイトル通り、架空のアンソロジーを編む、という本は、実は商業出版されています。サムネイルにもなっている小鷹信光『〈新パパイラスの舟〉と21の短篇』などはその好例ですし、長篇についても、架空の世界文学全集を編む、という本が出版されています。  また、ミステリ評論についても、小森収編『ベスト・ミステリ論18』(宝島社新書)というものが出版されています。  ここでは、個人の趣味で架空のアンソロジーを選んでみたいと思います。 ・テーマは「ハードボイルド評論」  独自の

          架空のアンソロジーを編む

          刑事コロンボおすすめ10選

          ・はじめに  刑事コロンボシリーズは、プロトタイプの初期作品、70年代に放送された45話まで、80年代~00年代に制作された「新・刑事コロンボ」(~69話)に分けられます。  ここでは、主に70年代に放送された「刑事コロンボ」シリーズについて、個人的なおすすめ作品をあげていきたいと思います。  「新・刑事コロンボ」についてはすみません、まだ見ていないものが多いです。ご容赦ください。 ・作品のパターン  「刑事コロンボ」は、物語の作りが概ねふたパターンにわけられる、と思ってい

          刑事コロンボおすすめ10選

          ジェフリー・ディーヴァーのこと、『ウォッチメイカー』のこと

          ・はじめに  はじめに断っておきますが、この記事は読書感想文とは言いがたいものになると思います。そこはご了承ください。  記録によると、私がこの作品を読むのは四度目らしいです(実はもっと読んでいるかもしれません)。私はリンカーン・ライム・シリーズはすべて既読ですが、たまに何かしら読み返したくなります。  最近その気分だったので、シリーズ代表作と名高い『ウォッチメイカー』を再び手に取りました。 ・「どんでん返しの魔術師」ディーヴァー  リンカーン・ライム・シリーズに対して、「

          ジェフリー・ディーヴァーのこと、『ウォッチメイカー』のこと

          ためにならないミステリ雑学

          ・はじめに  ミステリ作品それ自体ではなく、その周辺情報として雑学的なものがあります。以下箇条書きに、ためになるかどうかわからない雑学を思いつくままに書いていきたいと思います。有名かどうかは気にしないことにします。 ・雑学(?) ・ハードボイルド小説御三家のひとり、ロス・マクドナルドの妻はサスペンスミステリで有名なマーガレット・ミラー(ロス・マクドナルドの本名はケネス・ミラー) ・ブッカー賞作家のジュリアン・バーンズがミステリを書くときの筆名はダン・キャヴァナーで、ハヤカ

          ためにならないミステリ雑学

          ミステリ研時代の話その二 私は何を課題作に選んだか

          ・はじめに  以前下記のように私のミステリ研時代の話を少し書きましたが、今回は「私が読書会で具体的にどの作品を課題作に選んだか」を思い出しつつ書いていきたいと思います。過去記事は以下です。 ・横溝正史『悪魔が来りて笛を吹く』  確か夏合宿でまとめて三作くらい行ったときの作品の一つだったと記憶しています。この作品は私の金田一耕助シリーズ最偏愛作品で(一番良いと思うのは何か、だったら『獄門島』です)、人の感想を聞きたかったので選んだ覚えがあります。評判はおおむね良かったですが、

          ミステリ研時代の話その二 私は何を課題作に選んだか