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しゃぼん玉のことば【言葉にまつわる詩を二篇】

来週、ぱにゃにゃんだの国、ラオスへいってまいります。

ぱにゃにゃんだ。
ラオス語で「頑張って」という意味のこの愛らしい言葉を、以前こちらの記事でご紹介しました。


その後、旅先についていろいろ調べているなかで、こんな言葉にも出会いました。

すーすー。

「ぱにゃにゃんだ」より軽い調子で、「頑張って」というときに使う言葉だそうです。
むう。
可愛すぎます。

すーすー。
そして、ぱにゃにゃんだ。

こういう言葉を使う国の人たちは、いったいどんな空氣を纏っていらっしゃるのかしら……。
いまから、とても楽しみです。
そして、あちらにいったら、
「日本の人は、とてもやさしい空氣を纏っているね~」
そう感じてもらえる言動を、心掛けてまいります!

そんな氣持ちを込めて……出発前に、言葉にまつわる詩を二篇、投稿してからでかけようと思いたちました。
いま胸にある、ありのままの思い。
受けとってくだされば幸せです。

しゃぼん玉の ことば

うまれた しゃぼん玉は 風にのる。
ただ ただ 風にのる。

ねえ しってる?
風って、
ほんとは すごく
ゆらゆら ゆらゆら してるんだよ。
こっちから あっちへ
ただ吹き過ぎるだけではなくて、
ゆらぐの。
ゆらゆら
ゆらぐの。

しゃぼん玉は
そういう 風にのって、
ただ 風に のって、
その ゆらぎを
わたしたちに みせてくれるの。
ふるふる ふるえて。
くるくるっと まきあがって。


しゃぼん玉みたいな ことばを
つかえたらいいな。
ただ ふわりと 心にのって、
ただ 心によりそって、
その ゆらぎを、
ゆらゆらと 映しだす
しゃぼん玉の ことば。

かるくって
たよりなくて
よわよわしい
そんな ことばでいいの。

立派で 重たい ことばより、
ゆるがない ことばより、
心のままに
ゆらゆら ゆらぐ
ことばがいいの。
しゃぼん玉の ことばがいいの。

どこを とんでも
どこまで とんでも
ぱちんと はじける そのときまで、
なんにも 傷つけない。
なんにも こわさない。

そんな しゃぼん玉の ことばを
つかえるようになったらいいな。

心を映し
虹を映す。
夢みていれば
いつか きっと
つかえるようになるよね。

かるくて、
透明で、
なんにも 傷つけない
しゃぼん玉の ことば。



ラオスについては、実は別の記事でも少しだけ書いています。
タイやラオスの山岳地帯に住む少数民族ムラブリについて、こちらの記事で紹介しました。


ムラブリは、文字を持たない民族です。
その文化を安易に語ることはできませんが、文字を持たない分、話す言葉に敏感な人たちなのではないか……。
わたしはそんな思いを抱きながら、彼らを想像しています。

今回訪れるのは、ムラブリの暮らす地域ではありませんが、いずれにしても、日本語の全く通じない場所に向かいます。
ラオスは、言語体系が大変複雑な国のようで、今回の訪問先は、実はラオス語さえ通じない地域です。
やりとりに関しては、通訳さんが頼り。

でも、言葉が通じないからこそ……もしかしたら「みえる」ものもあるかもしれない。
なんだかそんな氣がします。

知らない言葉に耳を澄まし。
相手の心に目を澄まし。

やわらかに。透明に。
過ごしてこられたらいいなあ!


みえないものを、みる力。

言葉に色があったらな。
わたしにそれがみえたらな。

そうしたら、
もう少し、
言葉を上手に使えるだろか。

「おはよう」っていったら、
朝日のように言葉がきらきら光ったり、
「お大事に」っていったら、
あったかなオレンジ色が、
ぽうっと胸からしみでたり。

「楽しみ!」っていったときには、
ピンクの光が
ぴょこん、ぴょこんと飛び跳ねたり。
「さみしいよう」ってつぶやいたら、
スミレ色より青みがかった紫が、
心でくるくる渦をまいたり。

どす黒い煙を吐いてしまって、
(あ、いけない!)ってあわてたり。
その煙が
誰かのところにいかないように、
両手でばさばさ、かき消したり。
息でぷうぷう吹き飛ばしたり。

そうして、煙が消えたら
ほっと胸をなでおろし、
あたりの空氣に
「ごめん」と小さくつぶやいたり。

もし、
言葉がそんなふうに目にみえたら、
わたしはたぶん、もう少し
上手に言葉を使えるのに。

きれいな色の言葉を選び、
大事な人が
嫌な思いをしないよう、
ちゃんとわたしてあげられるのに。

ああ、でも、もしかしたら、
それでは簡単すぎちゃうのかな。
みえなくても、
言葉を上手に使えるように
想像力があるのかな。

神様が
目にみえないように。
天国が
目にみえないように。
心が
目にみえないように。

神様も、
天国も、
心も、
言葉も。
みえなくたって
わたしたちは、
それを大事にできるって──
きっと
そういうことなんだね。


10月には戻ってまいります。
みなさんも、どうぞよい秋をお過ごしくださいね!





こちらの記事に、数週に渡り、計4つのコングラボードが届きました。記事にご協力くださったみなさま、スキをくださったみなさま、本当にありがとうございました!

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