【徒然】カラータイツの魅力ってなんだろう?【カラータイツ写真集】
『破れた日常』
私は友人たちとカラータイツ写真集を作り上げた。
そして、その流れで映像学科の友達にドキュメンタリーを撮ってもらうことになった。
そのインタビューを受けていて、私はいろんな理由でカラータイツが好きなんだ、と改めて思った。
でも、しゃべることが得意ではなかったからちゃんとしたことを、想いを伝えれているか不安が残った。きっとうまく作ってくれるとは思う。だけど、私のこの思いの断片たちを活字として残しておきたい。
写真集のコンセプト
まず初めに、今回の本のコンセプトについて。
この本は、「カラータイツのある風景」「顔のないポートレート」という二つのテーマがある。
カラータイツのある風景
Twitterでタイツと調べると、足だけの写真が多い。踏もうとしているようなアングルのパンツが見えるような写真ばかり。もしくは、お尻が丸見えになるようなものばかりがいいね数を稼いでいて、人気がある。
これはフェチズムで、エロで、性的なものとしてのタイツが人気なだけなんだろう。
ATSUGIの広告が性的な要素の強い絵を出して、炎上した。
あれは、「女性のためのタイツ会社がフェチズム的な要素でタイツを見ている」と言う事実が恐ろしかった。
もちろん、フェチズムとしてのタイツが悪いのではなく、そう言う要素もあっていい。コスプレだってタイツは重要なポイントになっているだろうし、かわいいし、えっちだし、それはそれでいいんだ。
だけど、私はそういうものとしてではなく、
もっと、当たり前の日常的なものとしてカラータイツを捉えて欲しかった。
捉えて行きたかった。
だから、風景写真として存在させたかった。
日常の中で、それでも違和感があって、美しくて、奇妙で、そこにある。
そんなものを作り出したかったんだ。
顔のないポートレート
でも、私はメイクや髪の毛を整えると言うことが苦手だった。
化粧は出来ない。アトピーがあって、簡単じゃなくて、嫌悪感すらあった。
校則を破ってまで化粧をする女子は私に嫌がらせをするから嫌いだった。嫌いで嫌いで仕方なくて、自分がそう言うことをすることが嫌だったんだ。
だけど、世の中、大学生にもなったら化粧をしなければならないと言う。そう言うふうに見ているんじゃないかって思ってしまう。
きっとそれは、私がそう思っているからなんだろう。
写真にモデルとして写っている女性が可愛くないように思えたら、なんでモデルをやるんだろう、なんて思ってしまう。私はルッキズムの中にいるんだ。どうしてもそれが外れなくて、その嫌悪感は自分にも向かう。
なら、顔を写真の中に入れなくて済む方法をとればいいんじゃないか。
写真に顔を出すのは美しい人しか許されないなんていう私の中のルッキズムを、世の中のルッキズムを回避することができるんじゃないか。
顔がそもそも写っていなければ、顔の良し悪しで文句を言われなくていい。
そう言うルッキズムに対する反抗なのだろう。
きっと、こう言うふうに思うのはTwitterで溢れているポートレートが顔をメインとしてるからだろう。そう言うポートレートじゃないものにしたかった。写真の良し悪しが、写真の良さではなく顔面の良さに左右されている気がしたんだ。
だから、顔の写ってないポートレート、でも、私と言う存在で共通した写真にしてもらった。
カラータイツの魅力
カラータイツにハマったのはいつだっただろう。
高校生の終わりの頃にはワインレッドのカラータイツを当たり前に履いていたと思う。
そして、大学の入学式にはスーツに紫かオレンジのカラータイツを合わせようと意気込んでいた。
でも、その願いはついに叶わなかった。2020年には、そもそも入学式が開催されなかったから。
色の力
大阪の芸術大学に入って気づいたことは、みんな「模範的な服装」をしていると言うことだ。流行を着ている人が多い。もしくは、量産型や地雷系といった「型」の中にある服装の人が少なくない。
それらが悪いとかではなく、芸大なんだし、もっと個性的な服装な人が多いんだと思っていんたんだ。
でも、日本の多くは白と黒を基調とした服装が圧倒的大多数を占めている。
芸大が個性的よりむしろロッカーなカッコイイ系の人が多く、モノクロ好きな可能性もあるけれど
大学に気合いの入ったかわいい服装、個性的な服装を着てったって意味ないし、と言う考えもあるはずだ。その場合多分、合わせるのが楽だからだと思う。間違えることのない服装だからだろう。
だけど、本当に色が少ない。
没個性な世界で、カラータイツは色として強く存在してくれた。
ふと、足元を見たときに赤、黄、青、みたいな明るい色だと気持ちが上がる。
あ、なんか最強の気分。
私この場所で一番強いんじゃない?
そんな気持ちになるために、カラータイツが必要だった。
色とは強さなんだ。
よくある言葉で言えば、私にとっての鎧だ。
私の心の奥の悲しみと喜びを表現するためのものだったんだ。
アホになる
それは、私にとってアホになることに繋がる。
道化のように、アホはある意味世界で最も最強な存在なのだ。
今の日本において、原色はあまり見かけないという話は先にしたが、「原色=アホっぽい」という考えがあるのではないか。
現状、モノトーンコーデやくすみカラーは「大人っぽい」とされている。
それは事実だろうと私も思うのだけど、私たちは本当に「大人」になれているだろうか?
私は大人のふりをしたくない。
私はアホでいたい。気取るのではなく、アホをやる。ふざける。
誰にも迷惑をかけないアホになることは可能ではないだろうか?
もっと、気軽に生きていこうよ。
背伸びしてると辛くて、楽々生きてる人に腹が立ってしまいその人を潰そうとしてしまう。私もそうだ。人気のある人が憎いと思ってしまう。
だけど、アホならそうはならないのではないか?
私は多分アホに憧れている。考え過ぎてしまうから。他者に嫌われているのが当たり前だと思い込んでいるから。
だからこそ、アホになりたい。原色に頼ってアホになろうとしているのだと気づいた。
こだわりポイント
今回の撮影は全て我が学舎である大阪芸術大学で行われた。
この写真集を作るにあたって、撮影は二日間、編集会議も二日といった短期間であるが濃い制作スタイルをとった。
1日目は軽いノリだった。私はいろんなカメラマン(兄や母を含めて)に撮ってもらって、色々集めた写真集にしようと思っていた。
だけど、初めて撮ってもらった時、「あ、この人全てを理解してくれている」と確信し心が躍った。この人と一から作り上げる方がいいと感じたんだ。
この人となら面白いことができると。
りかちゃんは、写真学科の同期である。
彼女は花を専門的に撮っており、ポートレートを撮る人間ではなかった。
りかちゃんとは、今年の4月にサークル勧誘の日に出会った。写真サークルの部長で、私は新入部員。だけど、Twitterではフォローしあっていた。その程度の繋がりだった。
あの時、作風のことも何もわかっていなかったけれど、真面目でとてもいい人だと感じたんだろう。
違和感こそ貴重
この写真集は先に述べた通り、風景写真として作りたかった。脚フェチのためのものではなく、人がいる風景程度にしたかった。その点において、りかちゃんがポートレートをメインとしていないカメラマンだったことは最高だった。
人間のための場所ではないところに入り込んでしまう異物である人間。
その面白さに気づいたのは1日目の撮影をしてからだった。
撮影をした場所である大阪芸術大学は、新しい校舎と古い校舎そして山がさまざまに入り乱れている。
その中でも初日は学校の裏の人の入らない場所で撮った。
苔むしていて、手入れも何もされていなくて、
自然の中に侵食されて、人間に必要とされてなくて、人間を必要ともしてなくて、
止まっている場所。
それは、違和感の面白さだろう。
変って面白い。
カラータイツというものは既に世の中では違和感なものだ。
そして、芸大のカラフルすぎる壁や自然に侵食された廃墟は一般的には違和感だろう。
そして、そんな場所にいる人間、そんなものを履いている人間も違和感な存在だ。
それらがかけ合わさることで、意外と「日常の延長線上にある違和感」に繋がるのだ。この面白さは、りかちゃんとでなければ作り出すことはできなかっただろう。
違和感とは貴重である。
日常をぼーっと過ごしていると違和感を覚えることは滅多にないだろう。
でも、違和感を覚えることは普通の日々の異世界への入り口になると思うんだ。
気づいたとき、そしてそれを面白がったとき、きっと新しい別の道が見えてくる。
日常は常に変化しているはずなのだ。
そんなことを面白がってくれたらいいな、と思って制作した。
やっぱりアホになる
違和感との繋がりで、最も私らしいと思うこの写真集のポイントは、ポーズがアホなことだ。
ポートレートの写真でよくあるすましたポーズではなく、
はしゃいで、飛んで、ふざけて、普通の日々の中ではしないような
いや、するけど写真には撮らないような瞬間を切り取ってもらった。
私は、公園で楽しそうに遊ぶ天才である。
公園があるとテンションが上がる。
アホになる。
多分私は、まだ子供なんだ。ふざけていたいんだ。
アホである自分を隠したくないし、もっとアホしてたい。
気取らないポートレート写真もいいじゃないか。
真面目に撮られるということに慣れていなくて、ふざけてしまう。
と捉えることも可能だけど、
それよりもヘンテコになることが楽しいんだ。
だから、この写真集は2部構成になっている。
初めは普通のポートレート写真集みたいにカラータイツをメインに風景写真にしている。
だけど、ある一点で急激にアホになる。
ふざけている。
編集会議の時に「もうちょっとまともに撮られておけよ」と笑ったぐらいに圧倒的にふざけた写真が多い中で選抜されたバランスの取れたアホさ。
この愉快さはきっとクスッと笑えるだろう。
こんなアホが一生懸命生きてるんだしって、
少しの心の余裕につながればいいと思う。
タイトルの意味
『破れた日常』というタイトルは、タイツには絶対に付き纏う「破れる」ということだけを表しているのではない。
しかし、まずはそこに触れよう。
二日目の撮影の日は、スーツに真っ赤なタイツというコーディネートで始まった。
しかし、「撮るぞ」となるその前に私がタイツを破ってしまった。
左足に大きく縦に破れたタイツは、切なくて悲しくて、勿体無くて、泣けてしまいそうなものだ。
だけど、そのまま撮影をすることにした。
タイツにとって伝線は切っても切れないものだったから、
破れていないタイツだけで撮影するのは整い過ぎている気がした。
スーツで写真を撮っていると、自分が就活生として頑張っていかなければいけないことを実感していく。
型に嵌った就職活動、黒いスーツで、常識的なメイク。
だけど、それでも個性を忘れたくなくて真っ赤なカラータイツを履く。
そんな彼女が、頑張ったり全部嫌になったり、吹っ切れて元気になったり、
そういう心の浮き沈みを表現していたいと思った。
彼女は、上手に生きれる人じゃなくて、タイツが破れてしまうような注意力の散漫さもあって、でも楽しく生きたくて。
きっとみんなこういう部分がある。
この子が特別なんじゃなくて、みんな、どんな人でも気を張って頑張ったり、自暴自棄になったり、破れかぶれになったりする。
タイツはこの子にとっても鎧で、でも、破れることで自分の本体が見える。
隠し切りたいわけじゃないし、タイツを履いてる自分も自分で、
という日常のことを描けたと思う。
今後の展望
今回は自分のやりたい範囲で作った。それがりかちゃんの手によって自分の想像以上に良いものにしてもらった。
インタビューの時にりかちゃんが
「これからもずっと、何十年後でもとかげちゃんの野望が叶うまで一緒にやり続ける」
と言ってくれて、私は感動した。
そんなふうに思ってくれる人がいたなんて。
私は孤独に戦うつもりでいた。だけど、りかちゃんは一緒にやってくれるという。
ああ、恵まれているな。
だからこそ、りかちゃんに私と共にやった甲斐があったと思わせれるように頑張らなければならない。現時点で11冊しか売れていない。
もっと、もっと売ってりかちゃんにとって成果を作り出したい。
あと240冊売る。
たくさんの人に届ける。
こんなにいいものだから、もっとたくさんの人に知ってほしい。
次は、いろんな場所でいろんなカラータイツで写真を撮って物語性のある、そして、社会的にも流行りそうな写真集を作ろうと思う。
流行に一回ちゃんと乗ってみようと思うんだ。
斜に構えて、馬鹿にするのではなく、今一番人気のある系統をちゃんとやり切って、その上で私たちのやりたいことを多くの人に届けたい。
そして、いつか、カラータイツのオリジナルブランドを作りたい。
綺麗な明るい色をたくさん作って、素敵な名前をつける。
そして、一つ一つに短いお話をつける。
そんなことをしたい。
そのためにはカラータイツの第一人者にならなければならない。
今回の本を売り切って、資金を作り、「次」を作る。
インタビューを受けて、たくさんのことを考えた。
私でドキュメンタリーを作ってくれるという友達がいる。
私に価値を見出してくれた人がここにはたくさんいるんだ。
きっと、これからもっと増えていく。
増やしていく。
私という存在を消さないために。
私という存在を破り捨てないように。
販売場所
今、この本を買ってくれた人に「小柳のこと初版から知ってるんだぜ」「同人時代から応援してきたんだよ」って自慢してもらえるような存在になる。
私は自己肯定がしたくて生きている。
私は、売ることを前提に頑張っている。
BOOTH
BOOTH限定特典で、未収録の写真も見ることができます。
文学フリマ大阪
noteで告知をまだ出していませんが、文フリ大阪にもちろん、出店いたします。
【2022/9/25(日)開催/第十回文学フリマ大阪】
出店名: 小柳とかげ
ブース: J-42 (2F B・Cホール)
詩歌・散文詩
こちらでは『怪短歌』のコピー本を出そうと思っています。カラータイツ写真集の特典にしようかな。
文学フリマ東京
そしてそして、ノリと勢いで東京にも出店することにしました。
【2022/11/20(日)開催/第35回文学フリマ東京】
12:00〜17:00
出店名: 小柳とかげ
ブース: 詩歌・写真
ここまでにショートショート集か歌集を出す予定です。
どちらかの会場でお会いできたら心の底から嬉しく思います。
そして、カラータイツ写真集をどうか手に取っていただけたら、と願っています。
Twitterで沢山呟いているので、良かったら今後も見守ってください。
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