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空の匂い

幸せは遠いふるさとの空にあると
わたり風が申すもので
ぼくは空を見上げた
いつもと変わらない空が広がっていた

この空のどこかにふるさとの匂いがする
その匂いの中に幸せが隠れている
この空はかの空
この匂いはかの匂い

かすかに届く匂いの向こうに
昔 過ごした時間にさかのぼる場所がある
戻れない時間が生きている
連なる時間の端に今のぼくがいる

一方の端はまだ見えない空の下
たどり着く時間は測れない
ふるさとの空が続くとしたら
そこには幸せの匂いを感じる時間がある

幸せは遠いふるさとの風にあると
まぶしい空が申すもので
ぼくは風に聴き耳を立て
その言葉を信じることにした


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