皐月川納涼床

またいつか来てください いつでも待ってるから さよならなんて言わないできっと またいつ…

皐月川納涼床

またいつか来てください いつでも待ってるから さよならなんて言わないできっと またいつか会いましょう

記事一覧

旅の折り返し: 『KINGDOM HEARTS HD 1.5+2.5 ReMix』

 去年、後輩から布教されて始めた『キングダム ハーツ』シリーズ。ナンバリング作品は未だ3まで(4が開発中)ながらシリーズ作品は非常に多く、かつそのすべてがストーリ…

皐月川納涼床
2週間前

『KINGDOM HEARTS Re:CHAIN OF MEMORIES』を投げる前に

 『KINGDOM HEARTS Re:CHAIN OF MEMORIES』というゲームがある。『キングダム ハーツ』シリーズに属し、初代であるKHFMの続編だが、見てわかるようにナンバリングタイトル…

皐月川納涼床
1か月前

『KINGDOM HEARTS Re:Chain of Memories』は苦痛か?

「キングダムハーツの話通じる人、いないんですよねー」 「なんか長くて複雑なイメージがあるけど」 「しかも非ナンバリング作品も飛ばすとストーリーがわからなくなるんで…

皐月川納涼床
2か月前
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『爆心地の余焔』の話

 昨年の大晦日、ぼくのサークル「皐月川納涼床」はC103に出展し、無事に新刊を売り切りました。とはいえ、これはどうみても原作と原作者の先生のお力です。  まったくの…

皐月川納涼床
3か月前
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ニディガ展2(ツー)に行ってきたよレポ

 始まりましたねぇ、二ディガ展2(ツー)! 1/19にあった原作『NEEDY GIRL OVERDOSE』150万本突破&2周年記念生放送の興奮も冷めやらぬ中での開場でした。  争奪戦開戦を…

皐月川納涼床
4か月前
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3年目、かき氷のない冬が来る

 最初の読者様へ  これはあなたがメッセージを発信したという仮定に基づいたお返事です。そもそも仮定が間違っている、もしくは以下の内容がお気に召さない場合、読むの…

皐月川納涼床
5か月前

爆心地の余焔 冒頭部

 あまり中身がわからないのもどうかと思ったので、弊サークル「皐月川納涼床」でC103の2日目に頒布する『爆心地の余焔』の序盤を置いておきます。『シロナガス島への帰還…

皐月川納涼床
5か月前
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#12 敗走アンタゴイズム

 最後の音が消える。最後の光が消える。そして束の間の静寂と暗闇の後、灯りが点く。人の声がする。衣擦れの音がする。わたしは現実に戻ってくる。  と言えば聞こえはい…

皐月川納涼床
5か月前
1

ライターズ・ロー

 ちょっと身内から褒められただけで図に乗って、おまえは何をしているんだ。だいたい卒論はどうした。先にそっちを書け。  書けないだろう?少なくともいつもの日記みた…

皐月川納涼床
6か月前

ライターズ・ハイ

 ぼくが初期に書いていたのはマンスリー日記である生存報告だけだった。しかし、今では本当に僅かながらフィクションも書くようになっている。  生存報告の方は物好きな…

皐月川納涼床
6か月前

陽炎エンドロール

 景色がぐらりと揺れて、地面が迫ってくる。惰性で動かしていた体が瞬時に再起動する。どうにか踏みとどまって転ばずにはすんだけど、振動で目眩がした。刹那の暗転から光…

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#05 黄昏リマインド

 それはなんてこともないある日。いかにも春らしい気候で、どこかに出かけるにはちょうどいい日。私は誘った。彼女は応じた。ただそれだけ。後から思えば確かに楽しい日で…

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旅の折り返し: 『KINGDOM HEARTS HD 1.5+2.5 ReMix』

 去年、後輩から布教されて始めた『キングダム ハーツ』シリーズ。ナンバリング作品は未だ3まで(4が開発中)ながらシリーズ作品は非常に多く、かつそのすべてがストーリーに深くかかわっているから全部やれ、とのことだった。
 現代でそのすべてをプレイすることは難しい。歴史が長い分ハードもひとつでは済まないし、サービス終了作品もある。そのため、今からシリーズを追うならPlaystationやEpic、Swi

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『KINGDOM HEARTS Re:CHAIN OF MEMORIES』を投げる前に

『KINGDOM HEARTS Re:CHAIN OF MEMORIES』を投げる前に

 『KINGDOM HEARTS Re:CHAIN OF MEMORIES』というゲームがある。『キングダム ハーツ』シリーズに属し、初代であるKHFMの続編だが、見てわかるようにナンバリングタイトルではない。ところが、ReCOMを飛ばして次作でありナンバリングタイトルにあたる2をプレイしようとすると、ストーリーがかなり飛んでいることがわかる。
 まったくわからないではないのだが、2で重要な存在と

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『KINGDOM HEARTS Re:Chain of Memories』は苦痛か?

『KINGDOM HEARTS Re:Chain of Memories』は苦痛か?

「キングダムハーツの話通じる人、いないんですよねー」
「なんか長くて複雑なイメージがあるけど」
「しかも非ナンバリング作品も飛ばすとストーリーがわからなくなるんで、飛ばしていい作品がないんです」
「だいぶ昔から続いてたよね」
「今はリメイク版が移植されてて、それでだいたいカバーできます」
「⋯⋯全部で2万円するんだ」

 この嘆きに応えられずして何が先輩だろうか。
 調べたところ、この移植版は『K

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『爆心地の余焔』の話

 昨年の大晦日、ぼくのサークル「皐月川納涼床」はC103に出展し、無事に新刊を売り切りました。とはいえ、これはどうみても原作と原作者の先生のお力です。
 まったくの新人は1部や2部売れただけでもいい方という話を聞いていましたから、持ち帰って自分たちや身内のものにするつもりで11部作っていったのですが、12時過ぎには10部すべて売り切れるという結果に終わりました(規定により1部は運営に提出しなければ

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ニディガ展2(ツー)に行ってきたよレポ

ニディガ展2(ツー)に行ってきたよレポ

 始まりましたねぇ、二ディガ展2(ツー)! 1/19にあった原作『NEEDY GIRL OVERDOSE』150万本突破&2周年記念生放送の興奮も冷めやらぬ中での開場でした。
 争奪戦開戦を知らずにいて、買うのが少し遅れたので昼過ぎのチケットではありましたが、初日のチケットをどうにか取れましたから、その会場内の様子をレポートします。ネタバレしかありませんから、気にする方はただちにインターネットをや

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3年目、かき氷のない冬が来る

3年目、かき氷のない冬が来る

 最初の読者様へ

 これはあなたがメッセージを発信したという仮定に基づいたお返事です。そもそも仮定が間違っている、もしくは以下の内容がお気に召さない場合、読むのをおやめください。

 あなたと訣別してそろそろ1年になります。いかがお過ごしですか?
 経緯ゆえ、あなたは相当憎悪か敵意を抱いていることでしょう。それか、まったくの無関心か。少なくともあなたがしたような振る舞いを、私はそういう相手にしか

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爆心地の余焔 冒頭部

 あまり中身がわからないのもどうかと思ったので、弊サークル「皐月川納涼床」でC103の2日目に頒布する『爆心地の余焔』の序盤を置いておきます。『シロナガス島への帰還』の二次創作です。
 もっとも、残っていた昔の下書きをコピーしてきただけなので参考になるかはわかりませんが⋯⋯(なので当日頒布するものとは若干の違いがあります)。

 気の滅入るような曇天の下、どこまでも藍色の海が続いている。時折、絶え

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#12 敗走アンタゴイズム

 最後の音が消える。最後の光が消える。そして束の間の静寂と暗闇の後、灯りが点く。人の声がする。衣擦れの音がする。わたしは現実に戻ってくる。
 と言えば聞こえはいいけれど、実際にそんな静謐な経験をしたことはほとんどない。まあ、敬意の示し方は人それぞれだし、示さなくてはならない訳でもない。
 この有様に心を痛めつつも、こんなこと思うなんてただ気取ってる嫌な奴ってだけか、とそんなことを思う。そして、理由

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ライターズ・ロー

ライターズ・ロー

 ちょっと身内から褒められただけで図に乗って、おまえは何をしているんだ。だいたい卒論はどうした。先にそっちを書け。
 書けないだろう?少なくともいつもの日記みたいには。何も不思議なことはない、おまえの書いてきた経験は現実世界で役立つものではないのだから。おまえが内心苦手意識を持っている意識高い系の考察記事を書ける方が、よっぽど世をうまく渡っていけるんだよ。世間からすれば、おまえはそいつらよりずっと

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ライターズ・ハイ

ライターズ・ハイ

 ぼくが初期に書いていたのはマンスリー日記である生存報告だけだった。しかし、今では本当に僅かながらフィクションも書くようになっている。
 生存報告の方は物好きな知り合いが読んでくれている一方、フィクションはまだあまり数もないしたぶん誰にも読まれていない。まああんまり自信があるでもなし、それはそれでいいとして。
 それが、今度はコミケにサークル参加することになった。一次創作はちょっと敷居が高いので二

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陽炎エンドロール

 景色がぐらりと揺れて、地面が迫ってくる。惰性で動かしていた体が瞬時に再起動する。どうにか踏みとどまって転ばずにはすんだけど、振動で目眩がした。刹那の暗転から光を取り戻した僕の視界に、額から汗が滴って地面に吸い込まれるのが映った。

 地面を見つめること数秒、ゆっくりと体を起こす。背中、というよりうなじのあたりに覆いかぶさっていた重さが次第に後ろへずれていき、元のように僕の肩へとしがみつく姿勢にな

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#05 黄昏リマインド

 それはなんてこともないある日。いかにも春らしい気候で、どこかに出かけるにはちょうどいい日。私は誘った。彼女は応じた。ただそれだけ。後から思えば確かに楽しい日ではあったけれど、別に日付まで覚えているような訳じゃない、その程度のお出かけ。
 美術館からの帰り道。案外空いていた電車の座席にふたり並んで腰掛けて、ちょっと眠気を感じつつ電車に揺られる私に、彼女は次会えるのっていつだっけと聞いてきたのだった

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