旅の折り返し: 『KINGDOM HEARTS HD 1.5+2.5 ReMix』

 去年、後輩から布教されて始めた『キングダム ハーツ』シリーズ。ナンバリング作品は未だ3まで(4が開発中)ながらシリーズ作品は非常に多く、かつそのすべてがストーリーに深くかかわっているから全部やれ、とのことだった。
 現代でそのすべてをプレイすることは難しい。歴史が長い分ハードもひとつでは済まないし、サービス終了作品もある。そのため、今からシリーズを追うならPlaystationやEpic、Switchで提供されている統合リメイク版をプレイするのがいいらしい。ちなみについ最近、Steam版も発売された。
 その際、最初に手を付けることになるのが『KINGDOM HEARTS HD 1.5+2.5 ReMIX』。収録作品は6本だが、うち2本は移植ではなくゲーム中のムービーをメインに作成された映像作品となっている。
 なお、このソフト自体はランチャーのような構造になっていて、起動後にさらにどの作品を遊ぶか選ぶ仕組みになっているが、これは時系列順に並んでいる。その中で『358/2Days』→『Ⅱ Final Mix』と並んでいる箇所があるが、発売順では逆なので前者には後者のネタバレが含まれているという(後輩談)。
 そのため、『KINGDOM HEARTS FINAL MIX』→『KINGDOM HEARTS Re:Chain of Memories』→『KINGDOM HEARTS II Final Mix』の順で3作品を今までにプレイしている。今回は、6作中3作という折り返し地点に到達した(シリーズ全体からすればまだまだなのだが)ところで、各作品の感想や疑問点を書いていく。


『KINGDOM HEARTS FINAL MIX』

ゲームシステム: スタンダードでプレイ。リメイク元が2002年発売なこともあって、プレイしていて不便な点は結構多い。特にカメラワークはキツいものがあり、ロックオンしているのに敵を追ってくれないことがある。ボス戦だととてもつらい。
 マップは複雑なものも多く、特にモンストロとホロウバスティオンはかなり迷った。アトランティカはあまり迷わなかった。ボス戦やキノコ系ハートレスもそうだが、インフォメーションが少ないように感じるのは現代のゲームに慣れ過ぎたからかもしれない。
 ボス戦ではかなり苦戦した。特に強かったのはリク(アンセム入り)戦で、狭い円形フィールドにカメラは引っかかるし猛攻に隙はないしでアンセム戦より苦労した気がする。MPケチりがちな性格なので、ここではじめてリミット技を使った。
 グミシップは、コストやスペースにはちょっと物足りなさを感じるものの、それなりにデザイン性を意識してもクリアはできたのでまぁ満足。以降の作品にもあるらしいので、もっと表現の幅が広がることに期待。
ストーリー: 心を核にしたストーリーはとても楽しめた。『ターザン』のみ未履修だったが、他の作品は無理なく登場していたように感じる。
 『ナイトメア』が大好きなのでハロウィンタウン登場は大歓喜! ジャック・スケリントンとの共闘は、このゲームだからこそできることという感じがする。あまり武闘派って感じしないけど。できればゼロを召喚したかったなー。


『KINGDOM HEARTS Re:Chain of Memories』

ゲームシステム: よくも悪くもカードバトルの存在感がデカすぎる。慣れてカードが集まれば、敵の技の発動すら許さないゲームプレイができるものの、つまりそうなるまでがつらい。
 プレミアカードやストック技をはじめとしたわかりにくさには辟易するものの、でも終わってみれば楽しい。今では相手の技を避けないといけないのがつらくなっている。
 攻撃方法や回数に上限があるという性質上、無条件で攻撃を回避できるシャドウ系や物理無効のラージボディ、魔法無効のウィザードが猛威を振るう。また、ラクシーヌなどハメ技でごっそり削ってくるタイプにはカードブレイクもできないので、ここらへんはちょっと不公平な戦いだった。
ストーリー: 各ワールドはほぼ焼き直しなものの、本物と偽物を描いたストーリーはやっぱり面白い。「それ偽物だよw」→「でも今は確かに存在してるんだ!」って感じに、ただ偽物を捨てて本物を選び取るだけではなく、それが偽物だとしても現在を尊重するのがよかった。
 Ⅱをプレイした時にやっててよかったーとなったものの、それまではわからないものが多かった。トワイライトタウンってなんなのか、思わせぶりだけど入らない屋敷はなんなのか、そもそも機関ってなんなのかと不明点だらけなまま今作は終わる。


『KINGDOM HEARTS II Final Mix』

ゲームプレイ: シークレットムービーなるものの存在をここに来て初めて知ったので、解除条件が(は)緩そうなクリティカルでプレイ。被ダメ2倍、与ダメ1.25倍、レベルが上がりにくいうえにステ上昇幅も控えめなので、ちょっとしたことですぐ死ぬ。コンティニューが微妙に前からで、ボスが強い→でもあの構成にすればいいかもしれない→やられるの流れだと、毎回装備を付け替えないといけないのが面倒だった。
 そこらへんのハートレスやノーバディでさえめちゃくちゃ強く、仕様変更されたケアルで回復しながらゆっくり戦っていた。ボス戦ももちろんそうで、対処法がわかるまではいっぱい死ぬ。わかっても死ぬ。
 でも、一方でリアクションコマンドと連携技がとても楽しい。連打ゲーって呼ばれる所以でもあるらしいけど、鍔迫り合いとかカウンターみたいなアクションを戦闘中に楽しめる(戦闘後のムービーで眺めるだけとかではなく)のがよかった。
 連携技はいつでも出せるし無敵だしでかなり便利。しかもかっこいい。強敵相手の場合、ひたすら逃げ回ってMP回復待ちと連携技でごり押しを繰り返してようやく勝てた。なのだけど、「オートれんけい」による事故は後を絶たない。特に、「一定時間以内にリアクションコマンドを決めないと不利になる」系のボスでは、うっかり連携を発動してしまい、早く止めないといけないボスがのびのび行動している様を眺めているしかなかった。
 今作の特徴であるフォームチェンジも楽しい一方、召喚の方が便利なのはちょっと惜しい。今度こそゼロを召喚したかった。あとこれ、個別にレベルの概念があって、その育成具合によってフォームの性能が向上したり通常状態でも使えるアビリティの性能が向上したりする。
 だけどそれを上げるには雑魚を倒したり攻撃を当てたりする(=日頃から使う)必要があるので、またまたゲージをケチってボス戦くらいでしか使わないスタイルだと苦労した。あと、ゲージの回復手段が敵をしばくか闘技場出場(&即リタイア)くらいなので、これもHPやMPと同様にセーブポイントで回復させて欲しかった気もする。
 グミシップは、これまでのものとはもはや別物になっていた。ただし、依然としてコストがかなりしょっぱいうえにデザイン重視の設計がますますやりにくい(敵の狙いは機体中央に集中するため、空洞グミと呼ばれる平べったい□みたいな形の船がもっとも効率的とされ、ほぼこれ前提のステージもある)ため、あまり楽しめなかった。難易度をクリティカルにしたのは、クリティカルならグミシップをやらなくてもいいからというのが大きい。
ストーリー: 今回のメインはⅩⅢ機関であり、いきなりソラではないロクサスという主人公から物語が始まる。ここらへんには困惑したものの、夏休みが終わる頃にはすでにのめり込んでた。
 機関員で一番好きなのはルクソード。シグバールも好きなので、見事に趣味が出ている。今作ではヒト型の敵が増えたので、ボス戦前後に少しだけでも会話があるのが地味ながら好き。新光神話を思い出した。
 名シーンとして名高そうな夏休みの終わりやビーチで語り合うふたりはもちろん大好きだけど、一番好きだったのはタイムレスリバーでの一幕。ハートレスを片付けたあと、過去の出来事を除いたシーンが今作で一番のお気に入りになった。
 作戦の失敗でマレフィセントに散々詰られるピート。かなり堪えたようで、こんなはずじゃなかった過去へと思いを馳せる。蒸気船ウィリー号の船長だった時代へ。
「俺だって昔はよ」
「あぁ 昔はよかったなぁ」
「あの頃に戻りてぇなぁ」
「戻りてぇなぁ」
 この哀愁溢れる叫びが好きで好きで、ストーリーを進めるモチベーションのひとつだった(クリアするとシアターモードがアンロックされる)。ほとんど知らなかったピートというキャラを一気に好きになったし、ちょうど大学を卒業したところだったので無事被弾した。
 よくわからなかったのは、キーブレードについて。これまでは、いくつもの世界の危機→鍵は使い手を求める→強い心の持ち主であるリクの元へ顕現→でも闇落ちしたのでソラに鞍替えという流れでキングダムチェーンはソラのものになったと思っていた。
 もう一本だけ出てくるキーブレードは王様のものだし、めちゃめちゃ特別で神秘的なアイテムという認識だった。他作品だと……ちょっと出てこないけど、「特別な武器に選ばれて一緒に戦う」系? 他にそれを持ってるのってせいぜい主人公のマスターとか敵のボス、仇敵あたりな感じだと。
 そしたら、二刀流するヤツはいるし愛刀を変化させたヤツはいるしなんか急に持ち出すヤツもいるしで大混乱。しかも最後に映ったところでは錆び付いたキーブレードが山ほどあったし、段々わからなくなってきている。

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