最近の記事

母の日

 近所のカフェで、トイレに行こうとてくてく廊下を歩いていたら、母の日に贈る花の予約を促すポスターを見た。まだ2月なのにずいぶん早いなー。そんなに急がなくても大丈夫でしょ、と思いながら通り過ぎて、ふと気づいた。  そうだ、もう母はいないんだ。  そういえば、つい先日も、同じことを思っていた。2月22日。いまや猫の日として定着したその日は、母の誕生日でもある。条件反射的に、電話をかけようとして、相手はこの世にもういないことに気づいた。  人が亡くなるとは、こういうことなのかと思う

    • 嫌いな食べ物

       仕事がひと段落して、しばらくぶりにカフェでお昼を食べようと思って外出した。何を食べたいか、自分のおなかに問いかけたけど、思いつくのは、「パスタ、パスタ」 最近、しみじみ思うのだけれど、生き物は、摂取したものでできている。体も、頭も。このところずーっと、とある教材づくりでパワーポイントのスライドばかり作っていたら、考え事すらスライド方式になっていた。キーワードと矢印で明解な結論を導く、みたいな。頭がそうなら体もそうで、何でも好きなモノ食べていいんやで?なにがいいん?とおなかに

      • 2か月ぶりにバイオリンのレッスンに行った

         久しぶりに、記事を書こうと思ってページを開いたら、6周年のバッジもらった。ありがとう、note。  昨年の年末、これまで何十回と挫折してきたシュタイナー先生の神秘学徒になる(?)修行に、私は再度、手を出し始めた。というのも、仕事の集中力が切れて、図書館内をふらふらと彷徨っているときに、本棚で燦然と輝く新しいシュタイナーの講義録シリーズを発見したのだ。その中にあった「シュタイナーの瞑想法」という本には、まさに今私に足りない何か!を与えてくれそうな瞑想法が載っていた。 (←し

        • 母とお別れするまでの日記

           先ほど、姉から電話があった。諸々の用事の最後に、末期がんで入院している母の容体について話してくれた。  2週間前に入院した病院は、急性期の治療を主な目的としているが、母はほとんど手の施しようがなく、したがってもう何の治療もしていない。そのため数日前には、退院して自宅に戻るか、ホスピスなどの介護施設に転院するかを検討するよう勧められていた。けれど、今日の主治医の話では、移動による症状の悪化が懸念され、すでに動かせる状態ではなくなっているという話だった。   末期がんの患者は

          ネガティブな言葉を言ってはいけないわけ

           昨夜、面白い記事を見つけた。植物に褒める言葉かけと、いじめる言葉かけをし続けたら、成長の差が歴然だった、という記事だ。 https://nazology.net/archives/9534  私はこの植物たちの余りの違いに畏れ驚き、夫に報告した。何しろ、夫は植物の生育の研究をしている人なのだ。案の定、かなりの興味を持って食いついてきた。それはどんな要素が影響しているのだろう?周波数とか?  「でもさ、そのいじめる言葉って、どういうことだろう?」  「お前はバカだとか、不

          ネガティブな言葉を言ってはいけないわけ

          ゴールデンウィークの2日目が、相も変わらず無為に過ぎていく

           ふと気づくと、4月が終わろうとしている。。。  私の仕事は、実働時間が普通の人の半分以下であり、日々、非常にぬるく働いている。それでも、ゴールデンウィークの前後は毎日仕事があった(ある)おかげで、『9連休!』の設定に心躍らせながら、4月29日を迎えたはずだった。  でも驚くほど早く時間が過ぎて、すでに二日経ってしまったことに呆然としている。  しかし、気を取り直して日記を書こう。なぜならば、昨日のバイオリンのレッスンで気分が高揚し、人間が何のために生きているのか?と言うか

          ゴールデンウィークの2日目が、相も変わらず無為に過ぎていく

          血脈というものについて

           先日、父が90歳の誕生日を皆に祝ってほしいというので、子どもら(といっても55歳から60歳のあいだの)が集まった。そして、 「ちょっと、ここに(モギョモギョ)」 と言った。パーキンソン病を発症して以来、父の発音は不明瞭で、声も小さく何を言っているか分からない。何度か聞きなおして、ようやく、こたつの周りにみんなを呼び集めたいのだと分かる。兄妹3人が集まると、その封筒を取ってくれ、と書類棚を指さす。A4判の茶封筒を受け取ると、なかから数枚の紙を取り出した。そこには、大工をしてい

          血脈というものについて

          雑な日記

          しばらくものを書いていなかったので、ウォーミングアップとして思ったことを雑多に記してみる。 今日は、3日ぶりに丸いちにち自由に時間を使える日だったから、のんびりと犬の散歩を済ませてから家を出た。透き通った青空がまぶしい。樹々の赤や黄色の葉っぱは半分くらい落ち、箒を逆さにしたような樹形がその姿をあらわにしていた。車が来なかったので、家の前の道を、交差点の10メートルほど前のところで横断する。 大きな通りを足早に渡り終えて歩道を歩いていると、向かいから小さなカートを押しながら、

          雑な日記

          自分の求める道筋

          このところ、家で料理や洗濯、犬の世話など家事をするときには、オーディオブルを聞いている。これは、とてもとても、いい。 今聞いているのは、村上春樹著の『海辺のカフカ』。上下巻にわたる長い作品だけれど、そろそろ大団円に近づいている。そのなかで、非常に示唆的な台詞があったので、書き留めておきたい。第33章において(ページ数を提示できないのが、オーディブルの弱点の一つ)、主人公の少年カフカに向かって、図書館員の大島さんが、こんな話をする。ジャン・ジャック・ルソーによる文明の定義を紹介

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          ゲルハルト・リヒター展に行ってきた。

           今日は、最終日で非常に混んでいた。予約したのは11時。30分ほど遅れて行ったら、12時予約の人たちの長蛇の列をスッと交わし、待つことなくスムーズに入場できた。チケット販売サイトか何かに、そのように書いてあったのだ。行列をスッと交わし、外されたロープの横を過ぎるのはなかなか気持ちが良いのであった。  それでも中に入れば、たびたび人垣に遮られながら作品を見ることになる。そのなかで、印象的なもののひとつに、「グレイの縞模様」があった。 リヒターは、グレイを「何の感情も連想も生み

          ゲルハルト・リヒター展に行ってきた。

          今日は、雨

           昨夜から降り始めた雨は、朝になって勢いを増していた。大きな雨粒が窓ガラスをたたく音に呼ばれるように外を見ると、強い風が樹々を揺らしている。  もう、今日はぜったいに散歩に行けませんよ。  くるっと後ろを振り返り、少し首をかしげながら私を見つめている飼い犬に言い聞かせる。犬は、微動だにしない。私も、じっと見返す。互いに見つめ合ったまま十数秒が過ぎる。  こうしていると、犬はいつまででも付き合ってくるので、出かける用意をすることにする。散歩に行かなくてよい分、いつもより長

          今日は、雨

          YOUは何しに、この世へ?

           小学校の頃、クラスの女子の間では、誰が誰を好きだとか友達同士で打ち明け合うのが流行っていた。なにしろ、流行りなので、相手が教えてくれたらこちらも教えなければならない。しかし、私には意中の人というのがいなかった。というか、生まれてこのかた(といってもたかが十年ちょっとと、今になれば思うけれど)「好き!!」と胸ときめく人に出会ったことがなかった。  周りを見る目が無いのか、理想が高すぎるのか分からないが、とにかく、自分はそう簡単に人を好きになるほうではないんだな、と冷静に自己

          YOUは何しに、この世へ?

          未来から流れる時間

          今日は、2回目の潜在意識書き換えセッションに行ってきた。そこで、時間は、過去から現在に流れるのではなく、未来から現在に流れている、という話を改めて教わった。 どういうことか?それを分かりやすく説明するのは少し難しい。 私たちは、過去の経験・蓄積の積み重ねが、今と未来を作り出すと考え、それに見合った形で記憶の整理の仕方をしている。 けれど本当は、”今”しかない。いつも変わることなく、”今”を足踏みしている。だから、過去の実体はない。ただ、過去、自分がこうだったという認識に合わせ

          未来から流れる時間

          火星がうお座に入ったせいで・・

          今日は、1週間ぶりに大学に行った。私は学生の就職の相談員で、対面での相談がある日だったのだ。家を出るのがやや遅れ、いつもより1本遅い電車に乗った。その電車でも、乗り換えの電車にはギリギリ間に合うはずなので、まぁいいかと思いながら、念のため乗換案内を確認すると、あら!?、乗れないことになっている。 春でダイヤ変更があったのかなと勝手に推測しつつ、でも遅刻するわけじゃないからいいや、と、普段より5分ほど遅れて大学に着いた。 そうしたら、「休憩に奥のスペースを使ってもらっていいで

          火星がうお座に入ったせいで・・

          入学式のあいさつ

          この春、コロナ禍も少しずつ落ち着き、大学でも対面の入学式が復活しつつある。私は全くの部外者だけれど、こうした行事が戻ってきて本当に良かったと思う。学生は、感染症対策という大義名分によって最も犠牲を強いられた一団の人々だ。マスク越しだとしても、これからの学生生活をともに送る大勢の仲間が一堂に会するこうした機会は、二度と訪れないだろうから。 と、書いておいてなんだが、私自身は、自分の入学式のことはほとんど記憶にない。しいていえば、会場となった公営の体育館の床にブルーシートが敷か

          入学式のあいさつ

          映画を観た感想

           ドライブ・マイ・カーを観た。素晴らしい作品だとの評を聞いて見に行ったのだけれど、本当にとても良かった。いろいろ良かったと感じる点はあるのだけれど、私がいちばん感動したのは、ラストのソーニャの言葉。感動のあまり、帰りにチェーホフの文庫本を買って帰ったぐらい。  それだと、「ワーニャ伯父さん」が良かったという話になってしまいそうだが、もちろん、あの映画の中で、ユナが手話で語ったセリフは、家福さんの再生への道を後押しするものだったからこそ、感動的だったのだ。  ほかにも、全編が多

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