見出し画像

酒とビンボーの日々 ⑧夢で腹はふくれるか

今回は若さにおける「ビンボー」についての話。

僕は、会社では営業部長代理みたいなことをやっている。
主な仕事は月々の売上の達成のための部内の管理と
自らその目標を達成するための商品受注に尽力している。

ある程度は自分でやって部下に見せてはいる。
それはこちらがある程度数字を上げないとナメられるからだ。

受注もしていない部長代理が何言ってんだよ、なんて思われたら最悪だ。
会議で自分がこれとこれを中心に売上計画を立てたい、
とか言ってんのにその本人が受注できないなんてなったら、
存在意義を問われることになりかねない。

それはもちろん、早々と自分のノルマ分を受注をして右往左往している部下に余裕こいているところを見せつける。

だが、こちらは普通に商品提案・受注してノルマ分は達成しているのに、
部下たちは受注キャンペーンを作って、再受注したほうが注文がとりやすいのではないか?という結論に帰結したらしい。
若手でミーティングをしてからキャンペーンを決め、グッズもつくるのだとか。

いやいや、そんなことより、
担当のエリアに電話かけまくって受注した方が早いでしょ?

今月の売上にしたいんだよ? グッズを作ると1か月は丸々掛かるし。
受注をするのが営業部の役目で、キャンぺ-ンやグッズを作ることが仕事じゃないからね?

それと長々ミーティングしている時間に取引先に電話やメールをしちゃった方が早いんじゃないかな?

それなら、部下たちの盲動を止めてあげればいいじゃないか、
という意見もあるだろうが、
実際に部下を叱責した同僚が「パワハラで飛ばされた」のだ。
なので管理職としては部下のアクションを止めた時点で「左遷」は確実なので僕は何も言わないことにしている。だから彼らのやりたい放題だ。
で、結果が出ないと僕ら上司の責任になる。

小さい会社ながら、はぁぁぁぁ、嫌な世の中だ。

まあ考えてみると、部下たちは上の世代と同等の仕事をしたいのかなと思う。
僕らのような上の世代は業界に20年以上いるし、
知識や実績も違うし、経験も違う。
彼らはそういう自分たちで視覚化もしくは、数値化できないものには、
敬意を払いきれないのだろう。

自分だっていつかできるはず。でも今はわからないし、できない。
それじゃ、その経験とか実績に対抗するものとして、そういった販売キャンペーンとかの立案などに時間を割きたがるのかもしれない。

営業テクニックよりもアイデアで勝負!とフェイズを変えてくるのだ。

僕らの世代だって、色々と失敗を繰り返して、
それを乗り越えてきたからこその収穫もあった。
確かにそれをすぐに身に着けたいのというのは無理な話だ。
こちらは「日本列島を身体化している」ので物品の在庫がなくなってくると身体的な欠損情報として反応してしまうのだ(笑)

要はそういう営業バカ、であることが必要なのだ。いや、バカ営業か(笑)

経験を笑い、失敗を恐れず、時間をおかず、なるべく多くをむしり取る。
それが営業であることの原則でもあり、味わうことのできる醍醐味でもあると思うわけだ。
それは一朝一夕でわかるものでも、手に入れるものでもない。
だが、若い人たちからすれば、それがまさに時間ばかりかかる、
コスパの悪い、仕事なんだろうと思う。

こちらを理解しろ、とは言わないけど、仕事の本質はコスパだけではない。
特に営業は誰でもできると思われているが、
替えの利かないポジションだと会社は思っていない。

バカでもできる、それが営業だ。どんな会社でも認識はその程度だな。

若い人たちはみんな企画や制作なんかの仕事をやりたがるが、
そういうところに入れなかった「あぶれもの」たちが営業に回されるという現実もたしかに多い。
会社が経営難に陥るとまず減らすのが営業部員や広告費だったりすることからもわかる。

たしかに営業部員なんて時代遅れの、まさにコスパの悪いやり方かも!?

マーケティングがしっかりできていれば、
黙っていても商品はおのずから売れていく。


たしかに理屈はそういうものだが、実際にそれだけでは物流は回らない。
そこに人間が関わる必要がある。
現場に行けば、テクノロジーに飢えている担当、内情を誰かに相談したいのに右往左往している担当、不安の数は人の数ある。
それより不満の数はそれ以上の数がある。
そこは我々営業が「ガス抜き」してあげる必要がある。
いや、そういう場面でなくても、そういう場面に引きずり込んであげなくては営業している「こちらの意図通りに」事が運ばないのである。

要はあかの他人をどうやってこちらの手中に収め、うまいこと動かすかということに尽きる。そういう悪魔の所業を否定してはならない。

「お金をもってくる」というのは、そういうことである。

あと、これは名言だが、事件は現場で起こっている、のだ。
これを利用しない手はない。
事件が起こっている現場を逆に本部やバイヤーに報告してあげると割と感謝される。
どうせ、現場は機械音痴のオバちゃんだったりするのだ。
そこは現場の話を吸い取って、現場や本部みんなで解決していこう!
みたいな雰囲気にできるとなおGOOD!

なんの業界だよ!という諸氏のクエスチョンには、
お答えする必要はないだろうが、それは何の業界でも一緒で、
変わらない普遍的なものだ。

僕は営業先の現場の不満や不安をいつでも吸い上げて、それを営業トークにしている。あなたの「現場の一番の味方」は僕なのだ! 
そう、思いこむ。そこから垂涎の営業トークが生まれてくる。

あなたの現場のいちばんの味方が来ましたぜ!
まるで十字軍のような出でまし。もしもそれができれば営業先から無限に意見を求められることだろう。

僕は、営業中に泣いた、ことも何度もある。
自社のこれをやってほしい、あれをやってほしい、だけではない。
一緒になって売場づくりを考えたりする。だから、アツい。
なんなら夜通し、飲みながら現場に座り込んで語り明かしたり、する。
なんでこれが売れないのか?と必死に考えたりする。
なにか答えが出たときはそんな資料を持って行ったりする。

僕は、ある大型ショッピングチェーンを担当しているのだが、
本部担当に現場の話をするようにしている。
本部のアンタらよりうちのほうが現場を知っているんだ!とばかりに数々の電話で聞いてきた彼ら彼女らの話をすることを心がけている。
現場から聞いた話を総合して分析する。
それを話すとバイヤーは必ずと言っていいほど乗ってくる。

営業の醍醐味は、そういった話を改まってできるところ。
これはお互い「WINWINな関係」を意識しながら、やっていきたい。

いやー、お前、すげーな。と言われるとこちらも気持ちがいいから色々と現場に電話して情報収集したりする。
それと現場の担当者たちも話を訊いてもらって気持ちいいというのもあるから、定期的に電話すると次はいつ掛けてくるの?ということになり、本部も現場もWINWINなのだ。

営業は、地道な仕込みが必要な職種だ。
種まきの時期が必ず必要で、そこから芽を出し育て、一気に刈り取る。

そんなことを分からせるために僕は毎日日報を営業部内で提出している。
メールで、である。しかし、これはおそらく誰も見ていない。
もしくはコイツの受注数自慢のメールだと思われているのかもしれない。

営業電話も部下の面前でやっている。
せっかくの営業トークではあるが、彼らの中ではこちらの人脈自慢の電話に堕している気がする。

こういうことはマンツーマンで教えることが難しいところである。
そんな自慢でやっているわけではない。
こちらとしては早く注文を獲れる営業になってほしいのである。

自分も、手をこまねいて、観ているような人間ではいけないとは思う、
その一方で自動的に受注のできる方法もあるのなら、そういうお前らが開発してほしいと思う。

それはテクノロジーではないと思うが。
今回は「できないこと」への貧乏をテーマにお送りした。

そう、たかだか夢では売上はふくらまない。
腹だってふくらまないのである。
さあ、だから、やってくれないかな? 頼むから。

そうするのにどうすりゃいい!? ドラッカーのおっさん。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?