第4話:もうひとりのリス
哲学者は他の誰にもない空気を纏っていた。
大地に根が生えた様な力強さは圧倒的。
なのにもう一方で、美しい湖の水の様な、透明な存在と称したくなる様な、
透き通った瑞々しさ。
一度、すぐ近くまで行ってみたんだけど、
目の色が独特なんだ。
荘厳で、厳格で、ものすごく温かくて。
とにかく、リスのつたない言葉でなんか、とても表現できない。
哲学者の不思議な話は
いつも多岐にわたって
いろいろと展開するんだけど、
ある日、『もうひとりの自分』という話をし始めた。
もうひとりの自分って?
「それは誰よりも自分に厳しい存在で
その自分がいつも自分に声をかけてくる。
この、もうひとりの静かな自分を
大切に育てることだ
ただ、静かに、自分を見つめる存在だ。」
怒りや妬みや負の感情が心に浮かんだら
そのもうひとりの自分が
自分に声をかける。
「それは、その相手を
妬んでいるのではないか」と。
裁くのではなく、諭すのでもなく、
ただ、それだけ。
そして、命尽きるときに初めて
「よく頑張ったな」
と声をかけてくれると言うんだ。
あちゃー!
その時点でリスはダメだよ。
いつでも何かちょっとがんばっただけで
「リスは結構すごい」とか
「僕は誰よりも頑張ってる」とか
人に言ってアピールしてしまう。
それじゃ、ダメなんだな。
こういう心を、
『エゴ』
って言うんだと哲学者は教えてくれた。
そして何より難しいことが
『エゴ・マネジメント』
とも教えてくれた。
うーーーむ。
リスはエゴまみれだよ。
そしてもうこの時点で、
そう書いたら、皆がリスってなんて正直者なんだーって
褒めてくれるんじゃないかと
心のどこかでしめしめと思っているのもあって。
エゴは常に瞬時に忍び込んでくるんだってさ。
どこまでもどこまでもエゴ・サンドイッチ、
いや、エゴ・ミルフューユなわけだな。
どっちにしてもあんまり美味しそうじゃないや(笑)。
なんだかお腹が空いてきた。
木の実を取りにいこう。
少し多目に取って来て、仲間にあげようっと。
おっと、これは良いリスぶったわけじゃないよ。
皆で食べると美味しいからね。
(続く)
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