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エンゲージメントが採用と離職率低下の鍵を握る理由。自分のエンゲージメントを分析してみた

こんにちは。採用広報に奮闘中の濱中です。

忍耐強さ、柔軟性、主体性…

会社や組織が個人に求める特性は様々ですよね。

色々な特性やスキルがある中で、新卒採用を担当する私が何よりも大事だと感じているのは「エンゲージメント」です。

組織の課題を「自分ごと」ととらえて、自分の強みを活かしながら、主体的に考えて行動する「エンゲージメント」があってこそ、その人の才能や特性は活かされます。

いいかえると、「エンゲージメント」がなければいくら優秀だとしてもその組織の中で、本当の価値を生み出すことはできません。

一方で、「エンゲージメント」が高い人は「がんばっている」という意識なく、がんばることができます。仕事に夢中になっています。

そしてそれは決して利己的ではなく、「会社のため、社会のため」という他者貢献欲をもっています。そんなエンゲージメントが高い個人の集まった会社はエンゲージメントが低水準の会社と比べ、一年後の利益率が3倍という結果もあります。(タワーズワトソンプレスリリース2012年7月25日より)

私は採用広報として、いま新卒採用に関わっています。そして、クロスメディアグループが特に大切にしている「アントレプレナーシップ(起業家精神)」をもつ学生の方たちとお話しする機会に恵まれました。

才能溢れる優秀な方々と話す中で強く感じているのは、アントレプレナーシップをもつ人たちがどうすれば組織で夢中になって仕事をしてくれるかということ。そして、組織で働くことにどのようにすれば意義を感じてもらえるか、ということ。

なぜなら、本当にアントレプレナーシップをもつ人は起業を考えるでしょうし、起業という選択をしなくても、自分の軸と行動力をもっているので簡単に転職に踏み切るからです。

採用だけでなく、離職率を低くしていくにはどうすれば良いのか。経営者や採用に関わっている人事、広報担当は同じ課題に向き合っているのではないでしょうか。

採用広報として、組織の魅力を発信するだけでは不十分だということに気づいています。そんな私がこれから最も取り組んでいきたいのが「社内のエンゲージメントを高めること」です。

今回はエンゲージメントとはどういうものなのか、考えていきたいと思います。

仕事をやればやるほど疲弊していた社会人一年目

私は社会人になって(クロスメディアグループで働いて)一年半が経ちましたが、いまが一番健全な状態(エンゲージメントの高い状態)で仕事ができていると思っています。

社会人一年目(去年)は、仕事のことを考えれば考えるほど、やればやるほど、うまくいかない時期がありました。楽しいはずの仕事なのに、自分の心身のエネルギーが枯渇し、疲弊してしまう感覚がありました。自分で仕事の量だけ増やして、最後までやりきれず、それが自分にたいする不信感になっていく。タスクの量に溺れないように必死でした。

「これだけ色々考えて、仕事してるのに、なぜ結果が出ないの?」
「自分は広報という仕事に向いていないんじゃないか…」

そんなふうに考えてしまうほどでした。

そしてそのたびに「忍耐が足りてない」「努力が足りてない」「弱音を吐く余裕があるなら、もっと仕事をしろ」と自分を奮い立たせていました。

そんな心の状態では楽しく働けるはずもありません。アイデアも湧かなければ、自分を俯瞰してみることもできず同じ失敗ばかり。心配事で頭がいっぱいで注意散漫、ミスの連続。

「自分は他人からどう思われてるのだろうか」
「誰からも信頼されてないんじゃないか」

いつからか他人からどう評価されるかばかりを考えるようになっていました。(そのときはそんな自分の状態にも気づいていませんでした)

「したい」という気持ちで始めたプロジェクトも、「しなくちゃ」という焦りに変わり、常に仕事のことが頭から離れず、リラックスすることもできませんでした。

心にゆとりがないために、新しいことを学んだりインプットする時間ももたずに作業ばかりしていたので、考えの幅も広がりません。

自分はそんな心の状態を隠せていると思っていても、ネガティブなエネルギーは伝播してしまうもの。ガチガチに肩に力がはいっていると、親切になる余裕もなく、知らず知らずのうちに、周りの人たちも不快な気持ちにさせていたと思います。

そのときは「仕事は苦しくて当たり前だから、これで正解だ」と思っていました。成長したいという気持ちが大きい人ほど陥ってしまうのは「成長のためには苦しまなければならない」という考え方なのではないでしょうか。

そして「成功するから、人は幸せになれる」という考え方。私は成功するまでは自分は幸せになれないし、なってはいけないと思っていました。

仕事をやればやるほど元気になれる今


いまの私はまったく逆です。「幸せだから成功する」と考えているため、いまの環境や仲間に感謝することで喜びを感じ、仕事のひとつひとつが楽しく、結果がすぐにみえなくてもやりがいをもっています。また、自分の仕事で会社や社会に貢献したいという想いで仕事に取り組めています。

以前は仕事をやればやるほど疲弊していたのが、いまでは仕事のことを考えれば考えるほど、やればやるほど、エネルギーが湧いてくる。いいかえると、仕事に夢中になれています。

この状態こそが、自分もハッピーに、他人もハッピーにすることができる状態で、なおかつ組織の飛躍につながる状態だと確信しています。

主体性をもって組織のために自分の強みを生かして、前向きに仕事に取り組める個人が増えれば、日本社会は確実によくなっていくと思いませんか?

「自分が主体となって仕事に取り組んでいる」という意識と、それによって仕事にのめりこんでいる(エンゲージメントの高い)状態をつくるには「ジョブ・クラフティング」が重要です。これは、弊社のロングセラー書籍『だから僕たちは、組織を変えていける』の中でも紹介されているコンセプトです。

私なりにジョブ・クラフティングをひとことで表してみると「自分の仕事の中に自分の才能を活かせるように創意工夫し、仕事の意義を見出し、いきいきと仕事に取り組むこと」です。

今回は、『人事のためのジョブ・クラフティング入門』(川上真史・種石康太郎・齋藤亮三)を参考にしながら、ジョブ・クラフティングのコンセプトを考えていきます。

なぜいまの私が健全な状態で仕事に夢中になれているのか、他者貢献の想いをもって仕事ができているのか、そのメカニズムを明らかにし、分析していきます。

6つのエンゲージメントの特性から自分の状態を分析

『人事のためのジョブ・クラフティング入門』では、エンゲージメントの特性は6つあるとされています。(第一章P42参照)

①エンゲージメントのエネルギー源は「思考的面白さ」

高いエンゲージメントを感じるには、一時的な「Fun」という面白さではなく、興味・関心をもつ「Interest」という面白さを感じているかどうかが大事だといいます。

私の場合、クロスメディアグループという会社の事業や考えに強い関心と興味があり、それを伝えることができる広報という仕事に面白さ(Interest)と喜びを感じています。

Interest的な面白さを感じると持続することができ、それにともなって進化と深化が同時に起こるといわれています。

②エンゲージメントの原動力は「達成動機」

渇望感を満たそうという「欠乏動機」に突き動かされた熱中は、エンゲージメントとは別物だそうです。たとえばSNSで「いいね」を集めることをに夢中になっている人は他人の評価に依存している状態で、他者とのコミュニケーションにエンゲージしているわけではありません。

去年の私はいつからか「他人の評価」ばかり気にするようになり、それが仕事の量と達成感が反比例する大きな原因でした。自分のないものばかりをみては苦しんでいました。

いまでは「もっと自分の強みを活かしていきたい」「もっと役に立ちたい」という気持ちで仕事をしています。これが「達成動機」だといえます。

③エンゲージメントは「プロセス」にフォーカスする

結果ばかりを追うのではなく「プロセス」を楽しめるか。プロセスを楽しめると、期待以上の結果につながることもあります。結果や目標ばかりをこだわっていると、仕事そのものにのめりこんでいるわけではないため、結果がみえた時点で仕事への意義を見失ってしまいます。

もちろん結果を出すことはビジネスの上で最も大切なことですし、そこにこだわることは大事にしていこうと思います。しかし、そこへいくまでの創意工夫を怠っては自分も疲弊してしまい、やりがいを感じることができなくなります。途中過程で前に進むことをやめてしまうと、それまでの努力も水の泡です。だからこそ、適度に自分を楽しませる工夫をしながら結果を出すことを意識することが大事です。

特に広報という仕事はすぐに結果が出る仕事ではありません。なので、目の前のひとつひとつのことを丁寧に楽しんで行っていくこと、感謝の気持ちをもつこと、出会いを大事にすることが大事であり、それができると仕事をいくらでも楽しく取り組むことができます。

④エンゲージメントには「集中力」「創造力」「観察力」がともなう

エンゲージメントが高いと集中力が高まり、創造性を発揮しやすくなります。気合や根性では、深くて心地よい集中力や革新的な創造力はうまれません。

これは自分の経験をもって強く感じています。「やらなきゃ」と思ってやりきることは「気合」と「根性」で、ある程度までは可能だと思います。しかし、それ以上を目指す場合、深い「集中力」や「創造力」、そして自らみて分析する「観察力」が必須です。

エンゲージメントが低いと集中力は散漫になり、考えも浅はかになります。こだわりをもって丁寧に「観察」することもありません。これはエンゲージメントが低かった(というよりも、仕事に対する向き合い方がわかっていなかった)少し前の自分自身の経験を通して「本当にその通りだ」と感じています。

⑤エンゲージメントの作用は「ドーパミン的」

ドーパミンは「心地よさ」や「幸福感」「意欲」に関する神経伝達物質で、エンゲージメントが高い状態は「のめりこみ」の状態はドーパミンによる作用にたとえられています。

一方で「アドレナリン的」のように思えるエンゲージメントですが、これは正確ではないそうです。なぜならアドレナリンは一時的に興奮状態にする物質だからです。エンゲージメントは同じ集中や熱中でも穏やかで持続的なものです。

去年の私は一時的な対処法によって、自分を奮い立たせていたように思います。なので、短期的な結果がみえにくい広報という仕事に自分が向いていないと思ったこともありましたし、焦りばかりが頭と心を支配していました。

他者貢献というよりも承認欲求のほうが大きかったのだと思います。それは「アドレナリン的」なモチベーションを欲していたからであり、本当に必要なのはもっと深くて静的な「ドーパミン的」なモチベーションだということに深く納得しています。

⑥エンゲージメントの効果は「チームワーク」

エンゲージしている人は価値観を共有する人達にもっと貢献したいという気持ちが旺盛になり、自分の与えられている仕事以上に積極的に関わる傾向があります。それは「協調」や「同調」という枠をこえて「チームワーク」で新しい価値を協働していこうという考えや行動になります。

仕事にエンゲージメントしている人は周囲に積極的に関わっていこうという傾向が強くなり、自己成長のためだけでなく、どうすればよりよい成果をチームとして、会社として上げられるかを重視します。自分がどのように評価されるか、ではなく、本当の価値をうむにはひとりでやるよりより多くの人たちの力を借りよう、みんなで達成しようという気持ちをもちます。

私は「ひとり広報」としてお仕事していますが、最近まで広報の仕事はひとりでやらなければならないと思っていました。それが自立であり、主体性だと思っていました。(ひとりでできることなんて、限られているにも関わらず…)

いまの私は「ひとり広報」だからこそ、ひとりでも多くの人と広報活動をするという意識をもっています。それは自分が楽になるためではなく、これまで以上の大きな目的に向かって、より大きな価値を生んでいきたいと強く願うからです。いろんな自分をみてきたからこそ、このマインドが最も必要だということにやっと気が付くことができたのです。

私の仕事の向き合い方が変わった理由

以上、6つのエンゲージメントの特性から、なぜいまの私がエンゲージメント高く仕事に取り組めているのかを分析してみました。

この6つの特性は私の生まれ持ったものでもありませんし、いまの環境だから満たすことができているのではなく、誰もがいつどこで何をしていても満たすことのできる条件だと思っています。マインドセット次第なのです。

去年の私はいまと環境はまったく同じですが、マインドが180度違っていました。いまの状態(エンゲージメントの高い状態)に自分を変えることに成功しました。

なぜここまで変わることができたか。それは私がクロスメディアグループの書籍や、人生の先輩と呼べる方々にサポートしていただいていることが大きいです。

いつも私に希望と成長のチャンスをくださる『だから僕たちは、組織を変えていける』の著者・斉藤徹さん、『仕事の研究』や日々のお仕事を通して、仕事と人生をより豊かにする考え方を教えてくださっているの著者・美濃部哲也さん、そしてどんなときも私を信じてくださるクロスメディアグループの社長・小早川さんに、心から感謝の気持ちをお伝えしたいと思います。いつも本当にありがとうございます。

私の成長ストーリーはまだまだ始まったばかりです。(長い序章でした…)
これから、やっと第一章のはじまりです。私という未熟な人間の自己変革を通じて、たくさんの人が幸せに働ける組織や社会をつくっていこうと思います。

次回も引き続き「エンゲージメント」と「ジョブ・クラフティング」についてお話しさせていただきます。

今回もお読みいただきありがとうございました!少しでもあなたの「発見」や「気づき」になっていれば幸いです。

コメントや感想をいただけると私の活動の励みになります!よろしくお願いいたします。


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