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【詩集5】縦に破りたい自分

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「縦に破りたい自分」をテーマに詩を書いてみました。なお、『幼い女の子(詩集5-5)』はR18作品となっており閲覧注意です。
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2024年5月の記事一覧

縦に破りたい自分(詩集5-1)

不要なレシートを縦に破くように

自分を縦に破りたい

願わくば 破るとき

バリバリバリと気持ちのよい音が鳴ってください

あと

破ってぐちょぐちょになった断面から

蝿が来ないうちに蛆虫がいっぱい誕生して

ひっそりこの地球のどこかを綺麗にしてください

歳をとっても脱皮しない虫(詩集5-2)

歳をとっても余計な脂肪がたまるばかり

ただ体に張り付いているだけの肉の中で

私はその肉を動かすためだけに呼吸して

一日一日を過ごして 歳をとっていく

何も変わらないし 変わろうともしない

息苦しさだけが充満するけど

脱皮できない 脱皮しない虫のような私

成長するのは肉の大きさだけ

体が重くなるだけ

日に日に重くなってゆく体を引き摺りながら

あるいはバグった蟻みたいにあたふたしな

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この重いだけの体を海に投げたら(詩集5-3)

この重いだけの体を海に投げたら

浮くのだろうか 海は浮かせてくれるのだろうか

もしくは沈むのだろうか いいや潔く沈んでしまえ

沈んで沈んで沈んで沈んで沈んで沈んで沈んで

マッコウクジラの頭にでも当たって砕けちまえ

ああせめて せめて魚たちに喰われたい

人間たちの世界では何一つ貢献できなかった

それどころか迷惑ばかり振り撒いていた

この体の肉をどうぞ

それで尊い地球上の生命たちに

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窒息(詩集5-4)

少し息が苦しくなってきた

いつの間にか 私は水の中にいた

だいぶ沈んだからなのか

それとも水が汚いからなのか

周りは何も見えないまま

水の中というか闇の中

川か海かすらも分からない

居心地はかなり悪いが

地上よりいくらかマシに思えた

そういえば 私は自発的に飛び込んだんだっけ

誰かに突き落とされたんだっけ

これって夢なんだっけ

なんだっけ

少なくとも今 明らかなのは

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