奥野蛇 (okunoda)
底なしイドに、落ちてみましょう
「縦に破りたい自分」をテーマに詩を書いてみました。なお、『幼い女の子(詩集5-5)』はR18作品となっており閲覧注意です。
副流煙とは、気持ち悪くて、私が凄く嫌いなものです
冬とあたたかさの狭間って何だろう
かんかん照り ああ かんかん照り 熱気の中に充満するアブラゼミの合唱 その中を涼やかに舞うクロアゲハ 空の高速道路 トンボの群れ 樹液を求めて戦うカブトムシやスズメバチ クモを恐れず大量に飛び交う便所の羽虫たち 虫は 小さくて 個性的で 可愛い 虫の息は か細くて 美しい 虫は 小さくても 勇ましくて かっこいい それでも虫の息は か細くて 美しいんだ そんな虫たちの だんだんと弱っていく姿を見るのが 僕は好きだった 近づく死に抵抗するために ぷるぷ
僕が愛してやまない黄色いモンブランの中には いつも真っ黒な蜘蛛が潜んでいた マロンクリームをさくっさくっと切り開くと 脚が2本取れている彼がいる 取れた脚は昨日の僕の 新しく生まれた鼻毛の1本だ 昨日の昨日の 僕の僕の僕の僕の 基本の基本の真ん中にいる希望みたいな味がする 真っ白の生クリームを見ると 昨年雪に溺れて死んだ彼女を思い出す 白銀の世界はいつだって残酷なのだ 容赦ない冷たさと甘さが 今だって僕の喉の奥の奥を襲う 突き刺す ザクッザクッ ぬち
底の見えない井戸へ飛び込む 井戸だからどうせ底があるわけで いずれ体がぐちょんとなるだろうと 思いながらひたすら落下するのだ ひ ゅ ぅ る ぅ ひ ゅ ぅ る ぅ ひ ゅ ぅ る ぅ ひ ゅ ぅ る ぅ ひ ゅ ぅ る ぅ ひ ゅ ぅ る ぅ ひ ゅ ぅ る ぅ ひ ゅ ぅ る ぅ ひ ゅ ぅ る ぅ ひ ゅ ぅ る ぅ ひ ゅ ぅ る ぅ ひ ゅ ぅ る ぅ ひ ゅ ぅ る ぅ ひ ゅ ぅ る ぅ ひ ゅ ぅ る ぅ ひ ゅ ぅ る ぅ ひ ゅ ぅ る ぅ ひ ゅ
今気づいた ようやく気づいた 俺は 俺の脳みそは寄生されてるんだ! ハリガネムシか? ゼツボウムシか? それともクウキョムシ? ムキリョクムシ? いずれにせよ俺の脳みそは誰かにやられてる! こんなはずじゃなかった人生! なあそうだろ? いつから俺の脳みそは喰い荒らされたんだ! おかげで正常な判断ができない! 間違ったことか 何もできないことしかできない! なんなんだなんなんだなんなんだ! ぐちゃぐちゃとぐちゃぐちゃとぐちゃぐちゃと! 自分を縦に破ってソイ
俺は実につまらない男でした 俺は実に中途半端な男でした 俺は体だけ大きくなった子どもでした つーか普通に子どもの方が エネルギッシュで 表情や発想も豊かで 割と何でもできちゃって 要するにいろいろと素晴らしい存在なので 俺は子どもっつーか未熟な肉の塊です ただの そんな肉塊が ない脳みそ絞りながら のそのそと生きていたところで公害です 二酸化炭素&排泄物製造マシーン つまんな バカバカしい クソ of the クソの極み この前数少ない友達の一人にこう言
久しぶりに高校の友達と飲みに行った 最後に飲んだのが2年前だからかなり久しい この前は学生時代のアレやコレ この前は仕事の愚痴で 今回は結婚とか何とかだ 豪快にビールを呷りながら とっっっても幸せそうに笑う友達の顔から目を背け 僕はカルピスサワーの気泡の数をなんとなく数えた この前のこの前 彼は画面の中の高画質な女を 嫁だ!とか勝たん!とか言ってたような気がする その時僕は彼に賛同し 今もブックマークに彼女らを大切に閉じ込めている 飲み終わったらカラオ
母は優しい顔をしている 時々心配性なところもあるが いつも優しく悩み事を聞いてくれる 父は凛々しい顔をしている 時々怒りっぽいところもあるが いつも頼りになってくれる 私は情けない顔をしている いつも不安で歪んだ顔をしている 自己嫌悪と他人へのしょーもない憎悪で満ちている 綺麗な鏡であればあるほど そこにくっきりと醜い私が映る 思わず鏡ごと殴って割ってしまいたくなる きめえ、こいつ 割った 割れたガラスの危うさを 美しいと思えたのなら "割れた
休みの日が終わる しつこくスマホをいじってから終わる 寝る 寝る の次は アラームの音 起きて 準備して 出る ただそれだけのこと 出る直前に姿見に映った自分の顔の 昨日の髭の剃り残し ただそれだけのこと 日曜日の静かな朝と違って 朝早くから車が多く走る家の前の道路 ただそれだけのこと 昨日かけたサイドブレーキを解除して アクセルを踏んでいつもの道を走って行く ただそれだけのこと ただそれだけのことなのに
ある日突然 僕のステータスがいろいろ強化された 要するにスーパーマンみたいになれた 空は飛べないけど 車より速く走れるようになった アスファルトを軽く殴るとヒビが入った 女子にモテるようになった 宝くじ当たった 親が僕を丁寧に愛するようになった 僕は親を正常に愛せるようになった ある雨の日 川で老人が熊に襲われていた 雨脚が弱まる中 川で老人が熊に襲われていた なんでもう少しで晴れそうなのに あいつは熊なんかに襲われているんだよと ムカつきながら持ってい
休みの日はよくドライブに出掛ける 2時間ほど車を走らせると 山 山 山 山 不機嫌なエンジンを聞きながら ひたすらひたすら山道をのぼってゆく 気づけば随分と立派なデカい橋 下で細々と川が流れていて 時折追われているかのように小鳥が横切る 顔を上げると もそもそと大量の山の緑が連なる その先に 私が暮らしている街が 湖のように広く されど静かに佇んでいた 晴天の下 白く輝く街 ブロッコリーみてえな緑をつむぐ山々 赤く濁った岩肌に ありきたりな赤い鉄橋
私は、私の人生は、幼い女の子の裸を堪能すること以外の全てにおいて虚無であった。いつからそうなったのかは分からないが、ネットでポルノを漁るのも飽きた頃、自分の欲求を満たすために妻と出会い3回セックスし、幼い女の子を産ませることに成功した。私の夢が叶った瞬間だった。最近は、娘を積極的に風呂に誘っては"一緒に遊んでくれる楽しいパパ"を演じながら、その魅惑的な裸体を堪能するのが唯一の生きがいである。未熟で小さくて、でもそのスケールに収まるぐらいのちょうどいい肉感。特に、私の手のひらに
少し息が苦しくなってきた いつの間にか 私は水の中にいた だいぶ沈んだからなのか それとも水が汚いからなのか 周りは何も見えないまま 水の中というか闇の中 川か海かすらも分からない 居心地はかなり悪いが 地上よりいくらかマシに思えた そういえば 私は自発的に飛び込んだんだっけ 誰かに突き落とされたんだっけ これって夢なんだっけ なんだっけ 少なくとも今 明らかなのは とっくに私の身体は水の冷たさに慣れたということ それと 息が苦しくなっていくこと
この重いだけの体を海に投げたら 浮くのだろうか 海は浮かせてくれるのだろうか もしくは沈むのだろうか いいや潔く沈んでしまえ 沈んで沈んで沈んで沈んで沈んで沈んで沈んで マッコウクジラの頭にでも当たって砕けちまえ ああせめて せめて魚たちに喰われたい 人間たちの世界では何一つ貢献できなかった それどころか迷惑ばかり振り撒いていた この体の肉をどうぞ それで尊い地球上の生命たちに 少しでも貢献できるのなら それでいい それでいい
歳をとっても余計な脂肪がたまるばかり ただ体に張り付いているだけの肉の中で 私はその肉を動かすためだけに呼吸して 一日一日を過ごして 歳をとっていく 何も変わらないし 変わろうともしない 息苦しさだけが充満するけど 脱皮できない 脱皮しない虫のような私 成長するのは肉の大きさだけ 体が重くなるだけ 日に日に重くなってゆく体を引き摺りながら あるいはバグった蟻みたいにあたふたしながら 本日も私は皆様にご迷惑をおかけいたします
不要なレシートを縦に破くように 自分を縦に破りたい 願わくば 破るとき バリバリバリと気持ちのよい音が鳴ってください あと 破ってぐちょぐちょになった断面から 蝿が来ないうちに蛆虫がいっぱい誕生して ひっそりこの地球のどこかを綺麗にしてください
夢で会った女の子から手を離す 無表情で栄養の塊の固形物を口に押し込む ああ 名前を聞くのを忘れた 8,147回目の朝の放尿を済ませる 黄色い水たまりに生気を吸い込まれる 発したあくびから頭部の無い赤子が生まれた 生きがいは会釈もせずに食道を通り過ぎた 床に踏まれた画鋲たちの死骸が散らばっている 悪気は無いのに同じ過ちばかり犯している 悪気は無いのに同じ過ちばかり犯している 床にケチャップをこぼす その気はないのにいつも同じ箇所から血が出る 止血の方法よ