うつと孤独とSNS
SNRIという新しい抗うつ剤を飲み始めて、数週間。意欲は少しあがったような気がするものの、依然として体はだるく、頭痛は止まらず、希死念慮も続いていました。
わきあがってきた孤独
そんなある日、仲間で集まってご飯を食べに行くことになりました。
参加したのは、親友のMくんと、魅力発掘プロデューサーのCさん。Mくんとはメールはしていたものの、実際に会うのは半年ぶり、Cさんとは1年ぶりの再会でした。
話を自分からすることもできず、自分の料理を取ることもできずに取り分けてもらったりして、我ながら情けないばかり。私のことを心配して会を催してくれたのに申し訳ないことこの上ない状況でした。
そのうち話は、Cさんの仕事の悩みに移っていきました。それと引き合うようにして、仕事の話をはじめるMくん。その話を聞いているうちに、自分も同じ世界にいたはずなのに、ずいぶんと違った遠く離れた世界にきてしまったものだと感じました。
なんだ、この感覚は。
もともと独りでいるのは苦にならず、1週間ほとんど誰とも話さないことも私にすれば普通でした。孤独には強かったはず。というよりも孤独を愛してさえいたはずなのです。
とても近い距離にいるはずななのに、まるで何万光年も遠くに離れているような感覚でした。
私は思いました。そうか、これが本当の孤独なんだ。
見慣れた世界にいるのにもかかわらず、私は拒絶されていました。よく言いますよね。「本当の孤独とは、人の中にある」と。まさにこれがそうだったのです。
Facebookがまぶしすぎる
会が終わり、私は2人と分かれて帰路につきました。家につくとMくんに今日のお礼を改めてメールしました。
そして何気なく、Facebookを立ち上げました。
そこには、友人や知人がご飯を楽しんでいる風景や、家族団らんを楽しむ風景、そして仕事で頑張っている姿が投稿されていました。
いまの私にとっては、そのどれもがまぶしすぎました。そして、私を孤独の底に落とす凶器のようにも見えました。
うつという病気の治療にとって大切なのは、人とのつながりです。私に巣くった孤独は、私と心のよりどころとしてのFacebookの間を分断しました。
FacebookがまぶしすぎるならTwitter(当時)はどうだろうか。
炎上などから心にダメージを与える言葉を受け取りそうで、安全な場所とは言い切れませんでした。
当事者の会に行くことも考えましたが、「人に会う」というタスクは、私にとってかなりエネルギーを消耗するものでした。
そして私は、「心が安らげるコミュニティ」を求める流浪の民として、インターネットをさまようことになったのです。
U2plusに出会う!
そんな中で見つけたのが、U2plusでした(下記は、サービス内容を紹介されている記事です)。
開発したのは、うつ病当事者でもあった東藤泰宏さん。2011年にサービスをスタートし、事業主体が変わりつつも現在もなお続いているサービスです。利用者は4万人と国内最大級のセルフケアコミュニティとなっています。
こちらが、U2plusのサイトです。
そのサービスの特徴は、うつ病の何らかの効果があると実証されている認知行動療法をベースにしたセルフケアコミュニティということです。
初診のときに主治医の先生にも説明されましたが、認知行動療法をメンタルクリニックで実践するとなると、かなり費用がかかります。それが無料でできてしまうというのは、大変ありがたいことでした。さっそく私は参加することにしました。
受けられるサービスは、以下の3つです。
FunCan
U2Cycle
Column
中でも私の心をラクにしてくれたのは、FunCanです。
これは今日できたことや楽しめたことを投稿する掲示版のようなものです。ほんのささやかなことでも、他の人から「いいね!」「やりたい!」「すごい!」「気になる!」とリアクションがもらえるので、承認欲求が満たされ、自己肯定感が高まります。
しかも、何も思いつかなければ、「今日、U2plusにログインできた!」という投稿ができるようになっています。それでも「いいね!」がもらえるというのはうれしいです。
また、うつでも回復のレベルが違う人が多いと、私がFacebookに当時感じたまぶしさに苦しめられるものです。
しかしFunCanの場合は「うつっぽい」「うつでお休み中」「うつだけど社会復帰準備中」「うつだけど活動中」と、うつのレベルごとに4つに掲示版が分かれているので、心安らかに自分の回復に集中できます。
また、悩んでいることがあったり、つらい気持ちになったときは、それを和らげるのに役立つツール(U2Cycle、Column)でセルフケアができます(あまりにもつらいときは、専門機関に相談に行きましょう)。
U2plusは、うつ初期には本当にお世話になったサービスです。
ずっと無料でサービスをやってるので、もうなくなったかもしれないなと思って検索したら、10年経ってもまだやっていました。なので、現在うつを患ってる方、うつっぽい方にもお知らせしたいのもかねてnoteを書きました。
幸せの貯金箱としてのnote
話は変わりますが、noteをやっていると、どうしても集客とかを考えてしまいがちです。もちろんビジネスでやるには大切ですが、たとえばうつ当事者がnoteを書く場合、それだけが目的じゃないように思うんですよね。
まずはささやかでもいから、今日楽しかったことや、できたことを記録してみる。「楽しかった自分」や「できた自分」を記録して認める。その受け皿や貯金箱としてnoteを使うことが、心の安定にもいいように感じます。
そして、「幸せの総量」というのは、誰もがほぼ同じなんじゃないか。たまにそう考えることがあります。
「いま幸せでない」と考えてしまうときに大切なのは、幸せとは「求めるもの」ではなく、「見つけるもの」だということです。幸せになりたいと思ってたら、実はすぐそこに幸せありました――、というのもよくある話しで。
幸せをゴールにするのではなくて、ささやかでかまわないから幸せをスタートにして幸せや夢を育んでいく。そのほうが楽しいですよね。そんな幸せの貯金箱としてもnoteを使っていけたらと思っています。
今回のまとめ#6
今回のうつ抜けのヒントをまとめてみます。
「心が休まるつながり」をつくる
ささやかな幸せを積み重ねる
幸せとはゴールではなく、スタート
ちなみに、うつ病については、いわばエピソード0としてこんな記事も書いています。
前回は、「私を希死念慮から救った名曲の言葉」について書いています。
はじめましての方も、いつも来てくださる方も、
最後まで読んでくださり、ありがとうございました!
それではまた来週、金曜日にお届けしようと思います。
これからも「うつ抜け」に役立ちそうな記事を書いていきますので、
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