2023年3月の記事一覧
【毎週ショートショートnote】ダウンロードファーストクラス
飛行機に乗るだれもが憧れるファーストクラス。
そんなファーストクラスを家にいながらも体験できるインディーズゲームができた。
それが「ダウンロードファーストクラス」だ。
だれが買うのだろう。値段がお手頃なので、俺は試しに買ってみた。
結果、普通のゲームだった。
飛行機に乗りながら、ひたすら時間を潰すゲームだ。
食べ物も飲み物もゲーム内にあるが、食べれるわけでも飲めるわけでもない。座り心地がいい椅
【毎週ショートショートnote】外道一組
「また、ゲームしてるのかよ」
うるさいやつが帰ってきた。
「別にいいだろ。俺の勝手だし」
「よくねえよ。ブレーカーとんだら怒るじゃねえか」
「そら、そうだろ」
「納得すんな。ほら、飯にするからゲームやめろ」
うるさいやつだ。言われた通り俺はゲームをやめた。
「飯食ったら、ずらがるぞ」
「え? 明日まで大丈夫じゃなかったのか?」
「急な予定変更らしい」
「なら、しょうがないか」
俺は相棒が作った手
【毎週ショートショートnote】だんだん高くなるドライブ
憧れの高嶺さんとお出かけの前日、彼女は「ドライブで遊びに行きませんこと?」と、おしとやかに私を誘ってくれた。
ああ、嬉しい。
彼女が車を運転できるなんて思いもよらなかったが、そういったギャップすらも、愛おしく思えてくる。
そして、わたしの家にやって来た高嶺さんのマイカーはタクシーだった。
「高嶺さん。わたしの目がおかしいのかな。どう見てもタクシーなのだけど」
「その通りですわよ。どうかしまし
【毎週ショートショートnote】星屑ドライブ
高嶺さんとのドライブ、未だ車中である。
ときどき、パーキングエリアで停まり昼食を済ませたり、トイレにいったりしたが、ほとんどが車内だ。
「高嶺さん、どこに行くの」
「秘密ですわ」
うれしそうな高嶺さんに、わたしもうれしくなるけれど、不安もうずまいている。タクシーのメーターはとっくにふりきれている。わたしはそんなタクシーをはじめてみた。
やがて、目的地に着いたのかタクシーが止まった。
山の上で
【毎週ショートショートnote】理科室まがった
理科室をまがれば、イケメンに会えるらしい。
噂をきいて、私は来る日も来る日も理科室をまがった。
まがると言っても、理科室のつきあたりの非常階段を使うところで、ようやくまがれる。
つまり、イケメンは非常階段をつかっているのだけど、私はジンクスを信じて、理科室をまがりつづけた。
そして、一週間後。
「おっと」
「す、すみません!」
ようやくひとにぶつかることに成功した!
「大丈夫?」
目にやきつけな
【毎週ショートショートnote】イカ室たぎった
家庭科室にて、僕はイカを焼いていた。
いや、なんで?
いや、本当になんでなのかわからない。
ただ、林檎ちゃんがイカ焼きを食べたいから、スーパーで生のイカを買ってきたのだ。冷凍ボックスにまで入れて持ってきたから、イカ焼きの一つでもつくらないとイカがかわいそうだし。
たまたまクラブ活動がない日だったからよかったものの。まったく。
「イカ焼きできたー?」
「まだだよ。串、ちゃんと買ってきた?」
「これ
【毎週ショートショートnote】オノマトペピアノ
インタビュー ピアニスト:川井イヨのもう一つの顔サウンドクリエイターの仕事にせまる。
――川井イヨさんはピアニストでありながら、サウンドクリエイターの仕事もしていますね。なにがきっかけで、サウンドクリエイターの仕事もされるようになったのでしょうか?
元々は妹がきっかけなんです。僕には年が離れた妹がいるんですが、彼女をよろこばすために、ピアノで面白い音を出して遊ぶようになりました。僕の家は狭くて
【毎週ショートショートnote】ポポパポペピアノ
「川井、なに読んでんだ?」
「うるさい」
「なんだと!」
「まー、まー、喧嘩したらだめっすよ」
狩田は小番をなだめる。
「お兄ちゃんのインタビュー読んでるんだよ」
猫屋敷は川井の読んでいる雑誌の内容をこたえた。
「川井って、兄ちゃんいんのか…って、オノマトペピアノさんじゃん!」
「有名なんすか?」
「ゲームのSE片っ端から担当してるような人だぞ!」
「そういえば、いなちゃんまだあのピアノもってる