【毎週ショートショートnote】イカ室たぎった

家庭科室にて、僕はイカを焼いていた。
いや、なんで?
いや、本当になんでなのかわからない。
ただ、林檎ちゃんがイカ焼きを食べたいから、スーパーで生のイカを買ってきたのだ。冷凍ボックスにまで入れて持ってきたから、イカ焼きの一つでもつくらないとイカがかわいそうだし。
たまたまクラブ活動がない日だったからよかったものの。まったく。

「イカ焼きできたー?」
「まだだよ。串、ちゃんと買ってきた?」
「これでいい?」
「いいよ」
下処理を済ませたイカを綺麗に洗い、串にぶっさす。
フライパンの上に油をしき、イカを焼く。
「直火じゃねえの?」
「危ないから却下」
「じゃ、飲み物買って来るよ」
林檎ちゃんは甲斐甲斐しく僕につくしている。
イカを焼いているのだから、これくらいしてもらたって、いいだろう。

「イカ焼きできたー?」
「できたよ。食べよっか」
「よっしゃー」
できたてのイカ焼きを林檎ちゃんといっしょに食べた。
「うまい。最高」
まあ、笑顔がみれたから、いっか。