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■人には合う人・合わない人がいて当然
医師は1人で仕事をできるわけではありません。だからこそ仕事をする上で、スタッフとの関わりは必須です。私は小児科医ですが、上司、部下、同僚、看護師、その他医療従事者と関わります。これだけ多くの人と関わらないと仕事ができないわけですから、人間関係というのは重要です。しかしぶっちゃけ、入職するまで人間関係はわからない。
この規模の病院であれば、○○人の小児科医がいるから、気が合わない小児科医もいるだろうなと予想というか覚悟もできます。大人だから、お互いに気を遣うから大丈夫かっていうとそうでもありません。何人も集まれば気も合わない人もいるから、そこが難しいですよね。

小児科医として、学校での人間関係で悩んで相談に来る小学生、中学生がいます。彼らには、クラスに40人もいたら気が合わない人はいて当然だから、そういう人とは可能な限り関わらない、相手にしなければいいんだよと言いますが、じゃあ自分は? と聞かれると……。むしろ現在進行形で経験して学んでいる最中です。大所帯の中で生きていくことは難しく辛い時もありますが、それが子どもからの相談の答えに繋がるのであれば、頑張るしかありません。

■想定外の上司たち
私は学生時代そして研修医時代に友だちに恵まれたと思っていましたが、実は友だちは自分で選ぶことができます。しかし上司は選ぶことができないものです。社会人は、これが大変なのだなと医師人生で思いました。
上司から仕事を与えられるのは修行のようなものではあるのですが、押し付けられるというようなものでもあります。どういうものかというと、例えば診療時間ギリギリの患者さんの診療やトラブルばかりを起こす患者さんの診療などです。
上司にはあまり期待できないな、仕事のパートナーと割り切るしかないなと思っていました。

私の想定外は、その上司と出会ったことです。
ドラマ「相棒」で杉下右京がパートナーとまさにバディ・相棒を組んで仕事するような、私が仕事しやすい環境を整えてくださったのです。総合病院の副院長を務めた先生と、その次に副院長を務めた小児科の先生です。ともに私よりも30歳、20歳年上の先生でした。
私が小児患者の親御さんや、病院内の各部署、例えば医事課・総務課・検査科・放射線科・栄養科などと折り合いが合わなかったときなども、一切私を叱ることなく、丸く収めてくださりました。
陰で、「彼は怒っても仕方ないからさ」「でも彼結構頑張っているよ」などと言っているのを聞いたことがあります。その度に「あぁご迷惑をかけてしまった」と反省したものです。

■本当の想定外それは…
年齢とともに私は人間的にも成長しましたが、それはその2人の上司に恵まれたからだと言って他なりません。厳しくしつけすることも必要ですが、それだけだと反発心も生まれてしまいます。仕事を押し付けられるようなこともありましたが、あの上司からの仕事であれば不平も言わずに、やって当然。言われたことは素直に聞いていました。

そのような素晴らしい上司に出会ったこと。とんがっていた私が丸くなれたことが、医師人生の想定外の出来事でしょうか。

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