村松 一之(和キャピタル 運用本部部長)

和キャピタル 取締役 運用本部部長 為替、株、金利など主要なマーケットに携わって気が…

村松 一之(和キャピタル 運用本部部長)

和キャピタル 取締役 運用本部部長 為替、株、金利など主要なマーケットに携わって気が付けば20年を越える月日が流れた。今もファンドの運用とプロの有価証券運用者の育成のため悪戦苦闘中!また、子供たちの金融教育を目的とした「新世紀の金融寺子屋」を開始。

最近の記事

新世紀の寺子屋(第20回)

今回の寺子屋は、まずはトランプ暗殺未遂事件からです。これは、実際の映像を生徒さんにしっかりと観てもらいました。そして、何と言っても下の写真です。今年のピューリッツアー賞の最有力候補の1枚です。暗殺未遂事件にあった直後に、右手を挙げて戦う姿勢を示したのです。米国大統領の資質に最も重要なことは、「強い大統領」であることです。それを見事に示したのです。それにしても、偶然とはいえ、雲一つない青空をバックに、星条旗がはためき、右手を力強く掲げるトランプ氏と、トランプ氏を守るシークレット

    • 来週の相場見通し(7/22~7/26)①

      1.はじめに米国株式市場が荒れている。まず簡単に、現在のマーケットの状況を整理しておこう。5月~6月の米国株は極めて好調であった。何故なら、米国景気の緩やかな減速が確認されはじめ、FRBによる利下げの確度が徐々に高まってきたからだ。しかし、まだ大規模なセクターローテーションを促すには疑心暗鬼な状況で、相変わらず生成AI、半導体やマグニフィセント・セブンが牽引していた。特にテスラやアップルの好調が目立っていた。6月後半のバイデン氏とトランプ氏のテレビ討論会が市場に新たなウエーブ

      • 来週の相場見通し(7/15~7/19)②

        1.米国大統領選関連米国大統領選レースは、異例の展開で進行している。バイデン大統領は今週のNATO首脳会談でのスピーチでも、ゼレンスキー大統領をプーチンと紹介したり、カマラ・ハリス副大統領を、トランプ副大統領と呼んだり、ほとんどコントとしか思えないような言い間違いを繰り返してしまった。来週15日はテキサス州で公民権法制定60周年のスピーチを行うほか、全米黒人地位向上協会の全国大会に出席するようだ。またNBCニュースのキャスターであるレスター・ホルトと1対1のインタビューを行い

        • 来週の相場見通し(7/15~7/19)①

          1.はじめに 市場は、FRBのデュアル・マンデート(2大責務)を強く意識し始めた。FRBには「物価の安定」と共に、「雇用の最大化」という使命がある。ECBや日銀は「物価の安定」しか責任がないが、FRBやオーストラリアなどの中銀は、雇用の責務も同時に負っている。FRBの成績表は、これまでは物価の安定は30点、雇用の最大化は100点という成績であったことから、FRBは雇用については多少悪化しても、インフレ抑制に邁進する戦略を進めてきた。2年前の市場は、米国のハードランディングを見

          新世紀の寺子屋 第19回

          今回は、バフェットの名言から学びます。流石に生徒さん達も、バフェットさんのことは知らないようでした。93歳という年齢にまずは驚いていました。そうです。93歳でまだ現役なんですよ。人生はこれからです! それでは始めましょう。 投資において、「価格と価値」は永遠のテーマでもありますね。価格は常に変動します。価値の変動は緩やかに起こります。投資とは、その価値を判断すること、見極めること、あるいは価値に期待することですね。しかし、これが簡単ではないのです。 2つの畑があるとしま

          来週の相場見通し(7/8~7/12)

          1.はじめに今週のテーマは、「冷静と情熱の間」である。市場では、米国大統領選のテレビ討論会以降、一時的に米金利が大きく上昇した。これは正しい動きだったのだろうか?あるいは、日経平均株価、TOPIXともに史上最高値を更新した。特にTOPIXの89年のバブル高値越えは、大きなニュースとなったが、これをどう考えるべきなのだろうか?今の市場は、為替相場も金利も株式市場も、あるいは注目されるニュースも、すごく情熱的になったり、突然冷静になったりという展開を繰り返している。 そんなことを

          米国経済と日本経済の大局整理

          今回は、米国と日本について、非常にラフではあるが概観を整理しておく。我々は日々の市場の動向ばかりに目を奪われがちなのだが、時にこのような大局から眺めることも重要なのだ。 まずは米国である。下のパネルについて順に説明したい。まず1930年代の米国は大恐慌に襲われた。歴史の教科書にも登場する大事件だ。1929年の米国の失業率は3.2%であったが、1933年には25%へと急上昇し、失業者が街に溢れる。この時代を描いた映画はたくさんあるが、あのミュージカルでお馴染みの「アニー」もこ

          来週の相場見通し(7/1~7/5)

          1.はじめに今週は、バイデン大統領とトランプ氏の大統領選候補のテレビ討論会が開催された。内容が酷いことは最初から分かっていたことから、あまり驚きはなかったが、何よりショックだったのはバイデン大統領の衰えである。一般教書演説の時のバイデン大統領の活力に満ちた姿とは全く違い、顔色も悪く、枯れた声で時折咳き込む姿は、強い米国大統領の姿はなかった。更に、トランプ氏がスピーチしている際に、瞬きもしないまま膠着している表情は、視聴者を不安にさせるものがあった。視聴者は「バイデン大統領に、

          来週の相場見通し(6/24~6/28)①

          1.はじめに世界各国の政治動向が注目となっている。欧州ではフランスで下院選挙が実施される。第一回投票が6月30日、決選投票が7月7日である。マリーヌ・ルペン氏が率いる国民連合がトップを走り、左派の連合が2位、マクロン大統領の「再生」は支持率で第3位と低迷している。マクロン大統領の思惑は第一回の投票では2位につけ、決選投票において左派などの支持率を取り付けて、ルペン氏の国民連合に勝利するという戦略であった。これは2017年にマクロン大統領が勝利した時の構図に似ている。当時、第一

          来週の相場見通し(6/24~6/28)①

          新世紀の寺子屋 第18回

          今回のテーマは政治です。政治というと、なんか難しそうな感じがするけど、本当はシンプルです。政治は、「今日より明日をよくする」ために、皆が守るべきルールや仕組みを作ることです。社内政治って言うと、なんか嫌らしい響きのある言葉に聞こえますが、政治という言葉は本来は悪い意味ではないですよ。 さて、誰が政治をするのか?生徒さんに質問したら、「政治家!」と答えてくれました。政治家はその名の通り、政治を職業にしている人たちですね。でも、政治は政治家だけのものではありません。下の図のよう

          来週の相場見通し(6/17~6/21)

          1.はじめに今週は、非常に重要な週となった。結論から言えば、市場にとって都合の良いゴルディロクス相場が作られようとしている。但し、これは「雰囲気ゴルディロクス相場」であり、真の意味でのゴルディロクス相場ではない。その点について、今回は簡易版でポイントだけ説明したい。 2.「雰囲気ゴルディロクス」いきなり、結論から入ろう。今週のFOMCで、FRBは「インフレについては超慎重なスタンス、労働市場については超楽観的な見通し」を示した。市場では、今後発表される経済データは、インフレ

          2024年前半の日米株式市場の総括と後半戦の投資戦略

          1.はじめに今年も気が付けば半分が終わろうとしている。毎年感じるが、月日の経過は本当に早い。今年の市場は、米国の利下げが6回~7回も実施されるのではないかという大いなる期待の中でスタートした。それが足元では、未だに利下げは行われていない。そして年内の利下げは12月の年末に1回程度というところまで、期待は後退している。僅か半年の間の変化としては、非常に大きいだろう。しかし、そうした利下げ期待の後退で株価が崩れているかと言えば、まったく逆の展開になっている。世界の主要国の株価は軒

          2024年前半の日米株式市場の総括と後半戦の投資戦略

          来週の相場見通し(6/10~6/14)②

          1.選挙今年は選挙の年だ。年明けの台湾総統選挙でスタートし、パキスタン、バングラディシュ、フィンランド、ロシア、韓国、南アフリカなどで各種の重要な選挙が行われ、今週はメキシコとインドの選挙結果が出た。どの選挙も、与党が過半数割れをしたり、選挙後に通貨や株式市場が急落したりと、波乱含みの選挙イヤーになっている。 ・台湾総統選挙・・・ねじれ国会 ・パキスタン総選挙・・・野党が最多議席獲得 ・バングラディシュ総選挙・・・野党がボイコットで選挙の正当性に疑問符 ・フィンランド大統領

          来週の相場見通し(6/10~6/14)②

          新世紀の寺子屋(第17回)

          子供のための金融教育、新世紀の寺子屋の第17回の授業の一部を共有します。今回のテーマは、「企業決算」と「企業価値」です。 まずは、株式会社のおさらいです。 株式会社を1つのパズルとイメージします。100個のピースのパズルですが、最初に会社を創業した人は、この100個のピースを全て保有しているとします。 このパズルのピースを、家族や友達に相対で交渉して売ることは可能です。しかし、不特定多数の面識のない人に売却することは困難です。 それを可能にするには、上場する必要があります

          来週の相場見通し(6/10~6/14)①

          1.はじめに市場の関心は、「米国経済の状態」に集中している。私は、これは非常に健全な流れだと思っている。1月から4月については、インフレの動向とFRBメンバーの時々のコメントに右往左往する相場環境が継続した。5月は企業決算の動向と、そこから垣間見える米国経済の状況に市場の関心はシフトした。そして、足元では米国の労働市場の状況と、先行きの米国経済のハードランディングの可能性がテーマになっている。インフレとFRBの堂々巡りの連想ゲームが終わり、米国の企業決算への精査が概ね終わり、

          来週の相場見通し(6/10~6/14)①

          政府お墨付き銘柄(2024)(だから何?)

          今回は番外編で、政府お墨付き銘柄のパフォーマンスを確認しておこう。 まず政府は女性活躍に熱心な企業を「なでしこ銘柄」として毎年選定している。経済産業省の選定の目的は下のようなものだ。投資家にとって中長期的に魅力のある銘柄として紹介している。 なでしこ銘柄に選定された企業群の売上高営業利益率や配当利回りは、プライム市場の平均よりもかなり高いとして紹介されている。 今年選ばれた企業は下の企業だ。初登場は、エーザイ、山陰合同銀行、日本マクドナルド、パーソルだ。 年初来騰落率も

          政府お墨付き銘柄(2024)(だから何?)