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新世紀の寺子屋 第19回

今回は、バフェットの名言から学びます。流石に生徒さん達も、バフェットさんのことは知らないようでした。93歳という年齢にまずは驚いていました。そうです。93歳でまだ現役なんですよ。人生はこれからです!

それでは始めましょう。

投資において、「価格と価値」は永遠のテーマでもありますね。価格は常に変動します。価値の変動は緩やかに起こります。投資とは、その価値を判断すること、見極めること、あるいは価値に期待することですね。しかし、これが簡単ではないのです。

2つの畑があるとします。1つの畑からは、作物がじゃんじゃん収穫できます。しかし、この畑を手に入れる価格は相応に高いとします。一方で、あまり農作物が育たない畑が安い値段で売られています。どちらの畑を手に入れるべきでしょうか?
この問いに正解はありません。良く収穫できる畑でも、畑の値段が高過ぎれば良い投資ではありませんし、収穫が期待できない畑でも、実は収穫物を変更したり、肥料を変えたりすることで、将来的には実りの多い畑になるかもしれません。正解はありませんが、バフェットさんは、実りの多い畑を相応の値段で購入するほうが、遥かに素晴らしい投資だと断言しています。

芸術と科学、いわゆる「アートとサイエンス」という言葉は色々な場面で使われますね。企業の価値もある程度、計算できるサイエンスの部分と、結局は分かり得ることはできないアートの部分があるのです。企業価値については、生徒さんには難しいので、畑でイメージしてもらいました。今年はキャベツが10個収穫できた。来年も10個取れそうだ。その次の年は?10年後は?このように将来まで見越して収穫できるであろう作物を予想して、それを今の畑の価格にするイメージです。畑の広さや、過去の収穫高から予測できる部分もあるけど、数年後の天候は分からないし、近くに大きな建築物が出来て、日光が遮られるかもしれない。長期的には、地球温暖化で作物が育たなくなるかもしれない。一方ですごい肥料が開発されて、もっともっと取れるようになるかもしれない。サイエンスの部分とアートの部分があるよね。

アップルという巨大な会社があります。この会社の価値は3兆ドルを超える評価がされています。3兆ドル・・・凄い金額の評価だね。1年間の売上高は0.38兆ドルだ。これは畑だと、どれだけの農作物が1年間に収穫できたかという意味です。今のアップルの会社の評価というのは、1年間に取れる農作物の8年分の価値だということです。
次に利益で考えてみましょう。利益とは収穫物を販売したお金から、農作物を作るために使った肥料代や、水、トラクターなどの費用を差し引いたもので、この畑から稼ぐことができたお金です。アップルの畑の価値は、1年間に得られた利益の32年分で評価されているということだね。株式市場の用語では、PSRとかPERとか言われるが、それはまだ先の話です。でも、基本的な考え方は畑の場合と同じだよ。

バフェット氏は、会社のブランドネームではなく、その会社がどんな事業をしているかが大事だと繰り返し指摘しています。同じようなことを、下のような言葉でも言っています。

それでは、バフェット氏が投資している株とは、どういう企業で、どういうビジネスをしているのかな?生徒さんに知っている会社があるかを聞いてみたら、アップルとコカ・コーラは知っていましたね。生徒さんには、これらの会社がどういう会社かを紹介しました。また、実はバフェットさんは長期投資と言いながら、実際には5年くらいで保有している株を売却している事例も多いこともこっそり伝えました。

次の言葉は、バフェット氏らしい言葉ですね。ユーモラスです。ビジネスが大事だということです。同じような言葉が続きます。

バフェット氏は、下のように誇張して表現していますが、私の感覚ではやはり悪い経営者が良い企業を率いると、良い企業は悪い企業に色褪せていきます。経営者はとても大事です。そして、世界のトップ企業は、素晴らしい経営者が、素晴らしい企業を経営していることが圧倒的に多いと思います。

投資の世界には見送り三振がないという表現も面白いですね。つまり焦ってバットを振るなということです。現金があるから、何かに投資をしなければという思いを捨てなさいとバフェットは言います。投資とは、じっくりとやるもので、納得のいかない価格で、納得のいかない企業の株を、敢えて買う必要はどこにもないのです。

では、いつバットを振ったらよいのでしょうか?色々な局面がありますが、過去の歴史でも証明されているのは、株価が急落して、世の中が総悲観になっているときに、勇気を振り絞って行った投資の成功確率は、驚くほど高いということです。投資の世界には異常事態が起こります。価格と価値を思い出してください。その企業の価値は何も損なわれていないのに、その企業の価格だけが急落するケースです。畑の例で言えば、キャベツを作っている畑があるとします。ある時に玉ねぎの病気が大流行して、玉ねぎ畑が全滅したとします。この玉ねぎの病気は、キャベツには波及しません。しかし、玉ねぎ畑の価値が急落すると、人々は畑の病気全体に過剰に神経質になり、キャベツの畑の価格も急落するようなことが起こるのです。キャベツの畑の価格と価値に大きな乖離が発生するのです。投資とは、こういうタイミングで行うのがベストなのです。

もちろん、株式市場は理屈通りにはいきません。特に個別株投資は、怖いものであることも忘れてはいけません。バフェット氏は、信号が青から黄色を飛ばして、いきなり赤になることも市場では起こるのだと警鐘しています。

個別株の投資を始めるなら、やはりスタートは自分のライフスタイルに含まれている身近な企業が良いでしょう。ロブロックスのゲームが好きな人は、決算書を読み込まなくても、ロブロックスのゲームの良さや不満を、ゲーム体験の中から感じているのです。バフェット氏はコカ・コーラの素晴らしさを、毎日自分が飲み続けることで再確認しているのです。

バフェットさんは何に投資しているか分からないことが、最大のリスクだと言っています。例えば、トヨタという日本を代表する企業に投資するとします。しかし、トヨタの何を評価して、投資したのでしょうか?あなたにとって、トヨタという会社の最も重要なポイントは何でしょうか?それをしっかりと認識している必要があるのです。生徒さんたちに、自分が通っている学校は、どんな学校かを質問しました。色々と珍回答があって面白かったです。

株式市場は、積極的な人から、忍耐強い人にお金を移動させる場所のようです。忍耐強いとは何でしょうか?これは先ほどの投資には見送り三振がないという言葉のように、良い球をじっくり見極める忍耐もあるでしょう。また、買った株が上昇して含み益が出たら、嬉しくなってすぐに売却するのではなく、その企業の成長と追走しながら、じっくりと利益を大きくしていくという忍耐でしょう。もちろん、短期トレーダーは、手法が異なるので該当しません。ここでは、バフェット流の長期のバリュー投資家のやり方ですね。

こんなことも言っています。投資の神様のバフェットさんのところには、色々な投資の案件がくるでしょう。バフェットさんは、自分が良く知っている分野の範囲内か、あるいは知っているけども範囲外か、そして複雑で難し過ぎるというボックスに、案件をどんどん振り分けていくようです。そして、投資するかどうかは「範囲内」のボックスの中から選択されるのです。バフェットさんは、人間は神様ではなく、万能でないことを知っています。人間の能力や興味には限界があるのです。バフェットさんは「能力の輪」と言いますが、自分の能力の輪の中で勝負すべきだと言っています。難し過ぎるものに手を出す必要はないのです。シンプルが一番なのです。

バフェットさんは、投資の神様と言われています。しかし、特別な能力で特別なことをしてきたわけではないようです。バフェットさんは、自分が飛び越えられる30センチのハードルを一生懸命探して、それを飛び越えることを継続してきただけだと言います。生徒さんにも、これは人生の教訓としてお伝えしました。

だんだん、人生訓のようになってしまいました。最後に下の言葉を伝えました。生徒さんからは、「これ、わかる~~」と共感をいただきましたが、本当に分かるんかい!と突っ込みを入れたくなりました。生徒さん、早熟だな~。他にも、今回はバフェットさんの名言を色々と紹介する授業をやりました。

以上です。10月から第二期生を募集しようか検討中です。またお知らせします。


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