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新世紀の寺子屋(第20回)

今回の寺子屋は、まずはトランプ暗殺未遂事件からです。これは、実際の映像を生徒さんにしっかりと観てもらいました。そして、何と言っても下の写真です。今年のピューリッツアー賞の最有力候補の1枚です。暗殺未遂事件にあった直後に、右手を挙げて戦う姿勢を示したのです。米国大統領の資質に最も重要なことは、「強い大統領」であることです。それを見事に示したのです。それにしても、偶然とはいえ、雲一つない青空をバックに、星条旗がはためき、右手を力強く掲げるトランプ氏と、トランプ氏を守るシークレットサービスの男たち。完璧な構図の写真ではないでしょうか。ちなみに、すぐにこの写真がプリントされたTシャツが販売されましたね。

下のリンクでは、過去のピューリッツアー賞の受賞作が見れます。

ピューリッツァー賞 特集写真部門(歴代の画像一覧) (photomarket.org)

政治家とは、暗殺などのリスクを背負う仕事でもあります。実際に暗殺されてしまった有名な大統領としては、あのリンカーン大統領や、ジョン・F・ケネディが有名です。子供たちには、JFK暗殺時の話も取り上げました。JFKがオープンカーで狙撃された後、奥様でありファースト・レディのジャクリーンこと「ジャッキー」が飛び散った頭蓋骨や脳みそを掻き集める姿は衝撃でした。このJFKの暗殺事件は、未だに謎めいてますね。

米国では大統領の暗殺未遂事件もたくさん起こっています。レーガン大統領も暗殺未遂事件を受けました。レーガン大統領は、元俳優、テレビキャスターから、カリフォルニア州知事を経て、米国大統領になった異色の人物です。レーガンの就任時は、あまり評判はよくありませんでした。大統領として大丈夫か?との声もあったのです。しかし、就任直後に暗殺未遂事件が起こります。犯人のジョン・ヒンクリーは女優のジョディ・フォスターの大ファンで、いわゆる偏狭的なストーカーです。レーガンを殺せば有名になり、フォスターの気を引けるとの異常な妄想から事件を起こしたと言われています。このヒンクリー容疑者は、結局精神病ということで無罪となり、精神病に入れられることになりますが、今では全ての行動制限が解かれて、普通に生活しているようです。
そのレーガン大統領ですが、彼も危機時の強さを見せた大統領でした。トランプ氏が右手を掲げる強さを見せたのに対して、レーガン大統領は危機時にもユーモアを忘れない強さを見せました。胸を撃たれ、その摘出手術に際して、執刀するお医者さん達に「皆さんが、全員、共和党員であったら良いのに」というジョークを飛ばしたことは有名です。米国民は、こういう強さも讃えるのです。強さにもいろいろあるのです。下の図の右側の米国の地図は、暗殺未遂事件後のレーガン大統領の支持を赤色で示しています。就任時には評判が良くなかったレーガン氏ですが、この暗殺未遂事件を経て、ほぼ全米の支持を集めたのです。

さて、11月の米国大統領選までは、以下のスケジュールで動いています。生徒さんへの授業も、米国大統領選を取り上げる機会が増えるでしょう。

仮にトランプ氏が大統領選に勝利した場合には、どういう方向に米国は突き進むのでしょうか?生徒さん達と、共和党の公約をいくつか議論しました。
まず移民については、トランプ氏は強硬策を主張しています。大統領になった初日から、国境管理は厳しくするでしょう。しかし、2番目の強制送還作戦は簡単ではありません。生徒さんは、意外にも「強制送還」という言葉を知っていました。不法移民として刑務所にいる人を強制送還することは可能です。しかし、既に米国社会に溶け込み、普通に働き生活している人を逮捕して、刑務所に入れて、強制送還するとなると、大混乱になるでしょう。ちなみに刑務所を運営する企業の株価が上昇している話をしたら、ちょっと驚いていました。4番目の米国を世界有数のエネルギー大国にするという約束はどうでしょうか?米国は既にエネルギー大国です。生徒さんに、米国では地下に資源があっても掘ってはいけない場所がある。さて、どこでしょう?というクイズをしました。これは難しいですよね。色々な答えがありますが、その1つは野生動物の保護地域や、景観の美しい国立自然公園などです。トランプ氏は、こういう地域での採掘もOKする可能性があります。生徒さんからは、「動物が可哀そう~」的なコメントがありました。
8番めのアイアンドームは、さすがに生徒さんは知りませんでした。イスラエルを防衛しているミサイルシステムです。敵が打ち込んできたミサイルを自動で感知して、これを迎撃します。イスラエルが小さな国だから可能でもあります。米国の国土はイスラエルの440倍以上あるのです。米国全土を覆うアイアンドームなんて作るとしたら、天文学的な費用が発生します。無理ですよね。ただし、この8番目のポイントは、「第三次世界大戦」という言葉です。トランプ氏や共和党の人々は、このままでは世界は第三次世界大戦に向かう可能性があると心配しているのです。これは怖いですよね。
そして10番目です。米国はフェンタルニなどの薬物による死者が毎年10万人を越えます。これは米国の大きな社会問題です。生徒さんには、フィラデルフィアのケンジントン通りの映像を見てもらいました。ゾンビ街とも呼ばれる、薬物中毒者が溢れている街の様子です。ちょっと生徒さんには、衝撃的だったかもしれません。

共和党の20の約束は、他にも下のようなものがあります。

ということで、長々と米国の状況を取り上げました。最後に、これまでの授業の復習をクイズ形式で行いました。その幾つかを紹介します。

1番目はキャズムですね。生徒さんには、今の時代は何でも試してみることが大事なので、アーリーアダプターか、アーリーマジョリティくらいの層には入ろうねと伝えました。

2番目は、ちょっと難しい問題です。生徒さんは②のラーメンが美味し過ぎるを選びましたね。間違いではないですが、需要と供給の観点からは、重要な要素は価格と量なのです。どんなに美味しいラーメンも、10万円の価格なら行列はできませんね。つまり需給の観点からすると、行列ができるラーメン屋さんは、価格設定が低過ぎるのです。もちろん戦略的にやっているのでしょうが、経済学的には行列ができないちょうど良い価格水準があるのです。

インフレは正解率が高いですね。すっかり日常的なワードになったのでしょうか。問題4は②の不正解です。米国人のトラウマは歴史が短いことです。彼らは日本のような2千年を超える歴史のある国に憧憬を覚えるかもしれません。ピルグリムファーザーズの時代からカウントしても、米国は数百年の歴史しかありません。

米国の歴史は以前やりました。13の州がイギリスから独立し、そこから西海岸に向かって、どんどん土地を開拓していきました。フロンティアの物語です。

米国で最も多くの人が死んだ戦争は、対外的な戦争ではなく、国内の内戦でしたね。南北戦争です。そして、仮にトランプ氏が暗殺されていたら、米国の分断は更に進み、憎しみの連鎖で内戦的なムードになっていたかもしれません。

問題7は正解率が高かったですね。小学生で参入障壁を理解してくれていることは嬉しいです。問題⑧はバリューセットとの回答がありました。マクドナルドですね。ひっかけ問題を選んでくれると、嬉しいものがあります。

問題9と10は簡単だったようです。

投資とギャンブルの違いは重要ですね。

第20回は、こんな感じでした。ちょっとずつ生徒さん達の金融リテラシーが上がっているような気がします。嬉しいことです。


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