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1on1満足度調査に潜む2つの罠-「部下の満足度が高い1on1」実はそれ、間違っているかも!? Part1-

みなさんが会社で実施している1on1は、本当にうまくいっていますか?

「1on1を受けたメンバーは満足してそうだから大丈夫」
「1on1の満足度調査では良い結果が得られている」

というように「満足度が高いから」という理由でうまくいっているとしている場合が多いのではないでしょうか?ですが、実は間違いかもしれません。シンギュレイトは、

「部下の満足度が高い1on1」実はそれ、間違っているかも!?

というテーマで、データ分析や学術的根拠をもとに、「満足度調査の罠」や「メンバーの自律性や主体性」についてセミナーを開催しました。

本記事では、2022年6月8日に行われたシンギュレイト主催セミナーの内容をもとに、一部編集して3部構成でお伝えしていきます。

Part1 ~1on1の満足度調査に潜む2つの罠~ ⇦今回はこちら
Part2 ~メンバーの主体性を高める1on1~
Part3 ~1on1の「話し方」を改善する方法~

Part1では「1on1の満足度調査に潜む2つの罠」についてお話しします。
本記事を読めば、1on1の成功度を満足度調査で測る危険性と、正しい成功度の測り方を知ることができますよ。ぜひ最後までご一読ください!

1. 1on1のあるべき形

まずはじめに、これから話す1on1の話の前提として、私たちが考える1on1のあるべき形についてお話しします。

1on1とは、メンバーとマネージャーが1対1で話す場です。私たちは、いま進めている業務などを話すパフォーマンスマネジメントの場ではなく、メンバーの働き方やキャリアなどのピープルマネジメントに関する事を聞きだす場であると定義しています。

マネージャーの立場からすると、話をする場ではなく、聞いてあげる場です。業務内容を教える形で一方的に話をしてしまう1on1は、本来あるべき1on1ではありません。1on1は、メンバーの話を聞きだす場であることを意識しましょう。

2. 人によって違う満足感の感じ方

目標管理などで用いられる図
どれくらいストレスをかけた状態で課題に取り組んでもらうかを表している。

満足度の感じ方というのは、人によって異なります。満足度の感じ方は以下の3つの領域に分けて考えることができます。

  • ダル・ゾーン   :ストレスがなく、退屈に感じる

  • ラーニング・ゾーン:適切なストレス

  • パニック・ゾーン :過度なストレス

何かに取り組むときにかかるストレスとの関係を示しています。

まず組織として目指すべき領域を説明しましょう。
それは、2つ目の「ラーニング・ゾーン」です。適度なストレスによって、メンバーの成長を促します。メンバーは成長を実感することで、満足度を高められるのです。

しかし、ストレスのない「ダル・ゾーン」で満足してしまうメンバーがいます。ダル・ゾーンとは、自ら探索したり、学習したりせず、お膳立てされた環境に満足してしまう状態です。このように、受け身の姿勢で期待する成長が望めない状態であっても、メンバーの1on1満足度は高くなってしまいます!

ストレスはありませんが、成長もない状態です。そのため「ダル・ゾーン」で満足されてしまうことは、組織にとって望ましくありません。組織としては、適度なストレスのある「ラーニング・ゾーン」に行って成長しながら仕事をしてもらいたいのです。

このように、どの領域に身を置いているかによって満足度の感じ方は異なり、組織にとって望ましくない状態になってしまう場合があります。ストレスのない「ダル・ゾーン」で満足してしまうメンバーもいる、ということを認識しましょう。

3. 1on1満足度調査に潜む2つの罠

それでは、満足度調査に潜む2つの罠についてお話ししましょう。満足度で1on1の成功度合いを判断すると2つの罠にハマってしまうかもしれません。

まず、1on1でも満足度が高くなりそうな所を整理しましょう。整理のために、"働く中でのメンバーの態度"と"メンバーから見た1on1のあり方"を縦軸と横軸に置いたマトリクスを作って、メンバーの満足度を当て込んでみました。

その表がこちらです。

1on1の満足感に関わる2つの罠

この中で罠が潜んでいるのが、右下の「メンバーが受け身で主に話を聞く」1on1を実施しているパターンです。

ここで、はじめにお話しした1on1のあるべき形を振り返りましょう。1on1のあるべき形とは、メンバーから話を聞きだすことでした。しかし右下のパターンは「メンバーが主に話を聞く」という状況なのです。

メンバー上司のそれぞれの立場になってみましょう。

メンバー・上司の立場での思い

右下のパターンは、メンバーも上司も満足そうですよね。ここには、

  • 罠1:受け身なメンバーにとっては、上司に教えてもらえる1on1は満足度が高い。自分が話さなければいけない場面は、うまくいかないので満足度が低い。

  • 罠2:メンターであるマネージャーはたくさん話せると高揚感があるので、事後に満足感・充足感を得やすい。

という2つの満足度の罠が潜んでいます。

このように、1on1の成功度合いをアンケート調査で判断してしまうと、だんだんとメンバーの主体性がなくなり、受け身の姿勢を良しとしてしまう環境を作ってしまう恐れがあるのです。

4. データからもわかる満足度調査の罠

話を聞くことで満足感を持つ方がいることがデータでも示されています。これは、弊社の1on1サポートツールAndo-sanの利用者のデータです。

データで見える満足感の罠

縦軸は「1on1中メンターがどれくらい話をしたか」で、100%に近づくほど話しすぎていることを示します。横軸は「メンバーの満足度」で、右に行くほど有意義だったと感じています。

このグラフの赤い枠で囲われている部分は、「メンターがたくさん話し、メンバーは話していないが、メンバーは満足だと感じている状況」です。このように、データからも右下のパターンのメンバーが一定数いることがわかります。

赤マルの領域

つまり、データからも「満足度が高いからとって1on1がうまくいっているとは必ずしも言えない」と言えるのです。

5. Part1のまとめ

1on1の本来あるべき形とは「マネージャーがメンバーの話を聞く場」でした。しかし、満足度調査とそのデータから、マネージャーが多く話す1on1だったとしても満足に感じてしまうメンバーがいることがわかりました。

つまり、1on1の成功度合いを測るためには、

アンケート調査以外の評価を導入する。
アンケートだとしても、行動を聞くアンケート調査を行う。

ことが必要なのです。なぜなら、

  1. メンバーの問題  |教えられることに満足してしまう

  2. マネージャーの問題|教えること・成功体験を話すことに満足してしまう

という問題が潜んでいるから。

この満足感を良しとすると、「過去の成功体験にしがみつく」「ぶら下がり社員」を是とする組織文化が出来上がりかねません。このような状況を避けるためには、メンバーの「自律性・主体性」を高めることが重要になります。

Part2では、このメンバーの「自律性・主体性」というキーワードに沿って1on1を成功に導くヒントをお話をしていきます。こちらをクリックしてぜひご覧ください!


シンギュレイトでは、1on1の「話し方」を変える1on1サポートツール「Ando-san」を活用した組織開発のサポートを行なっています。ご興味のある方は、ぜひお気軽にこちらのお問合せ窓口からご連絡くださいませ。

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