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【短編小説】トーク・ライク・トーキング
60秒だけ話せ、とその男は言った。
何を話せばいい? と俺は訊き返した。
「今ので1秒だ。残り59秒」と男は言った。「それで充分すぎる。テレビCMは15秒だし、それどころか最近のYouTube広告は6秒だ。そしてスキップボタンの連打。あるいは倍速での動画再生。お前も知っている通り、本なんか今誰も読まない。人の話なんか誰も聞かない。ある調査によると現代人は、たとえ本を開いても10秒間興味のない話
ギー・ド・モーパッサン「メニュエット」
大きな不幸というのはほとんど悲しくないものだ、と言ったのはジャン・ブラデル、懐疑家で通っている老人だ。私は戦争を間近で体験した。そこでは死体を何の哀れみもなくまたいだ。自然や人間の残忍さは私達に恐怖や憤慨の叫びを上げさせるものだが、しかし小さな、哀れな出来事が背筋をぞっとさせ、心をかきむしるようなことは、大きな不幸にはない。
人間が感じる最大の苦痛は、きっと、母親にとっては子供の死、人にとっ
ファイナルファンタジー15 日常と神話をつなぐゲーム④ 【最後の希望】【まとめ、そしてFF16】
■最後の希望
なんかもうヤバいところに入っていったとしか思えないFF15のストーリー。果たしてここに少しでも救いはあるのかどうか、かなり心もとないです。
ですが、僕は先ほどのストーリーの説明から、重要なことをあえて外していました。それがFF15の最後の希望です。そして物凄く細い希望です。
それは、「写真」と「悪い、やっぱ辛えわ」というセリフです。
FF15がやったのは、人間の、神話との接近
ファイナルファンタジー15 日常と神話をつなぐゲーム③ 【FF15のストーリー】【王の帰還】
②【FF15のしくみ】からの続きです。
■FF15のストーリー日常の延長から始まったFF15の物語は、どこへ向かうのでしょうか。
FF15、そしてノクト達4人は、やがてどうあがいても日常に引き返せないところまで行きます。
踏み込んでいった非日常は、日常の維持あるいは日常との往復を繰り返しながら、どんどん拡大し、深みを増していきます。
なぜならFF15の最終到達地点は非日常をさらに超えた「神
ファイナルファンタジー15 日常と神話をつなぐゲーム② 【FF15のしくみ】
ここから完全にネタバレなので、未プレイで、FF15が傑作であることに賭けてみたいと思う方は、ここで読むのをぜひ止めてください。先に説明されたら勿体ないです。
■FF15の仕組みFF15の物語。
それは、典型的な「貴種流離譚」を採用した、典型的な「行きて帰りし物語」です。
FF15のゲーム本編あらすじを、可能な限り省略して以下に書いてみます。
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ファイナルファンタジー15 日常と神話をつなぐゲーム① 【はじめに】【FFとはなにか】
■はじめに
これは、ファイナルファンタジー15についての長い文章です。
ファイナルファンタジー15は、2016年11月にプレイステーション4をプラットフォームとして発売されたテレビゲームで、これまでのところ世界で800万本以上を売りました。
僕は発売と同時にこのゲームを購入し、1週間くらいかけてクリアしました。そして、「いやー、俺はとんでもなく面白いゲームをやってしまったな……」と感慨にふ
平成最初で最後の授業:確率について
こんにちは。
今日はちょっと皆さんに俺のお話を聞いてもらって、「確率」というものについて一緒に考えてみたいと思います。
確率とは、君らが最近学校とか塾とかで勉強した、「正6面体のサイコロを振って1が出る確率は?」とかいうあれです。「スイッチを押せば30%の確率で成功する。」とかいうあれ。
これについては、君らは普段やってるポケモンとかで「めいちゅう 85」とかいう数字にしょっちゅう触れてきて