見出し画像

あきらめるのは悪くないことなんだよと教えられた日

Never give up!

みな、そういう。

あきらめなければ、夢はかなう!
あきらめるな!
あきらめたら負けだ!

うなずくけれど。

もう一つの教え、というか言葉を、先生からいただいたことがある。

大学の、万葉集のゼミで。
私が幹事になって、ゼミ旅行に出た。

教授がお二人、いらしてくださって。
1年目は奈良・明日香村。
2年目も奈良・あちこち回り。
3年目は島根県・出雲へ。

2年目だったろうか。
食事の後、お酒を酌み交わしながら。

万葉集のこと、も少し。
行きたい旅や、やりたいこと、将来の小さな悩みなど。
語り合っていた。

聞いていた教授が突然、いう。
ほろ酔いの教授が、ザンバラの前髪を揺らしながら。

「この年になると、できることとできないことがわかってくるんだ。
これはもう無理だなあ、とかな」

「でも、それは悪いことじゃない。
あきらめるってのは、悪いことじゃないんだよ」

あきらめるっていうのは、明らかになるっていう言葉が語源なんだ。
できないことが明らかになるんだよ。

そうしたら、できることをすればいい。

年を取って、できないことがわかるっていうのは、悪くないんだ」

そこで教授は、ニヤリ。

「わかるか?
わかんねーだろうなあ。
ザマアミロ!」

大口を開けて、笑った。

わからなかった。
そのときは。

でも、強烈に心に残った。

「あきらめるのは、悪いことじゃない」
「明らかになる」

今も、思い出す。

だが教授は当時、まだ40代半ばか、後半か。
今思えばお若い。
ただ、学生から見たら圧倒的に大人だった。

あれからたくさんのことをあきらめた。
仕事でも、プライベートでも。

悪いことばかりでは、なかった。

二人目の子どもをあきらめた。

高年齢だったこと。
一度目の妊娠が、前置胎盤(子宮に胎盤がかかった状態)と切迫早産だったことで私自身が死にそうになったから。

無事に産めて、生まれて、奇跡だった。

だから大丈夫。
一人息子を心から愛した、から。

あきらめても、道は続くんだな。
そう知った。

できないことが明らかに、なる。

そうしたらできることをすればいい。
精いっぱい。

あきらめるのは悪いことじゃない。

すうっと気持ちが楽になる。

この言葉があったから、あきらめても前向きになれた。

先生の年を過ぎてしまった今も。

心に残る、大事な教えとなっている。



この記事が参加している募集

サポートいただけたら、よりおもしろい記事を書いていきますね💖 私からサポートしたいところにも届けていきます☘️ものすごくエネルギーになります✨よろしくお願いします。