出産は命がけだったということを振り返る(それは私だけじゃない)


息子を産んだ時、かなり危険な状態だったらしい。息子ではなく、私が。
でもそれより伝えたいことがある。

妊娠中から息子が小学校6年生のころまで、育児のことを中心にノートを手書きしていた。
数えたら30冊以上ある。
ノートを読みながら、振り返ってみた。

育児ノート (2)

書いていたことと、あとから考えたことを時々綴ります。

切迫早産になって、ICUに入る


はじめに伝えたいのは出産は、今でも命がけの行為だということ。
現在、亡くなることは少なくても(でもいます)、「病気じゃないんだから」「生き物はみんなしているから」という簡単なものではない。
ほんっとにもう、産婦人科のお偉い先生方も男性が多いから出産してなくて、わかってないの?
だからケアが進んでないんじゃないの?って思う。
それとも少しは変わってきているのかな。

だから、まわりに妊婦さんがいたら、大切にしてほしい。
周囲も、家族も、本人も。


これは大きな反省。

私はしていなかった。
そのせいかどうか、命をかけた難産だった。
しかし本人に命がけの自覚はなく、自分の体よりも赤ちゃんが無事かどうかばかり考えていた。
夫は「奥さんと赤ちゃんとどちらを助けますか?」と聞かれるんじゃないかと冷や冷やビクビク覚悟をしてたらしい。

この後かなり生々しいというか、怖い話もあるので、苦手な人は無理しないで。

かんたんに言うと前置胎盤という、胎盤が子宮口にかかってしまった状態だった。出血しやすくてきわめて危険。
しかも私は切迫早産(子宮が収縮する)だったので、何度も出血した。
個人病院 → 救急車で救急病院に転院 → 4人部屋 → 出血 → 個室 → 落ち着いて4人部屋 → 出血 → 個人部屋。

とノートに記録してあった。

低気圧になると大量出血して、しまいにはICUに入った。
起き上がれず、何もできない生活に「どうしてこんなことになってしまったんだろう」と落ち込んでいた。自分を責めていた。


絶対安静。


少しでも長くおなかの中に赤ちゃんにいてもらうこと。
「おなかの中の1日は、外の10日分。それだけおなかの環境は赤ちゃんにとっていいのよ」と看護師さんに言われた。


このころのノートに書かれているのは「1日でも長く、おなかの中で赤ちゃんにいてほしい」ということと、看護師さんへの感謝。
皆さん、てきぱきしていてとても心遣いが行き届いていた。
「夫に話せないことも相談できる。医師とは密着度が違って、恥ずかしいことも隠せない。だから交流も生まれ、個人的に近い気持ちになれた」とある。

帝王切開ののちも、低血圧に

前置胎盤は100%帝王切開で、出血が不安なので自己血貯血までした(自分の血を輸血用に採っておく)。

低気圧になると出血するので、雨がこわかった。
これ以上は危険ということで、予定日の4週間前に帝王切開。
月満ちて産めなくて、悲しくて泣いていた。どれくらいの体重で生まれてくるか不安だった。

当日、私の緊張と心配をよそに手際よく帝王切開は進んだ。部分麻酔で意識はある。夫の立ち合いも許された(帝王切開では異例らしい)。

「ほんぎゃほんぎゃ」という産声を聞いて、どれほど安堵したことか。

息子は2500gなかったが、2350g超と思ったよりも体重があった。

「元気ですよ~」と看護師さんから明るく声をかけられた。
私の胸の上に載せてくれて、私は息子に「もう大丈夫だよ」と声をかけた。

人生最高の瞬間の一つだった・・・

・・・のだが、急激に気持ちが悪くなる。
あとできくと大量出血で、危険なほどの低血圧だったという。
抱っこできず、気が遠くなっていく。

抱っこできなくて悲しかった。

輸血をして、眠りに落ちた。

目が覚めて我が子に対面したときに、心底ほっとした。

保育器には入らないで、コッドという小さなベッドに乗った我が子を、看護師さんが連れてきてくれた。
感謝しかなかった。

身体を整えるということ

今思うと無理をしていたなあということがいくつもある。

妊娠時、夜明けになってから帰宅するような仕事状況だったこと。
「安定期」になると元通り仕事をしていいんだと考えて、夜中まで働いたこと。
妊娠を理由に甘えてはいけないと、気を張っていたこと。

そして当時の職場の周囲には、出産経験者がいなかった。

相談もできなかったし、迷惑をかけてはいけないという意識が強かった。

出産前のケアには通っていて「学校の先生とかマスコミとか、研究者とか、頭を使う仕事の人は早産するから気をつけて」といわれたけれど、その通りになってしまった。

今、妊娠中の方。
これから赤ちゃんを願う方。

妊娠前からなるべく生活リズムを整えてください。
難しい場合もあるし、「「忙しい中、妊娠した!」(どちらも私)ということもある。
だから、できる範囲で。

妊娠に気がついたら、なるべく早く周囲に伝えること。
私は「流産したら」「まだ知られたくない」と、伝えるのを遅らせた。これ、すごく後悔している。
まず届け出をすると会社によるけれど、検診のためのお休みがもらえるようになる。時短になるところもある。
体調が悪かったら周囲に言える(職場によると思うけれど)。


産んでからのほうが大変なので、産む前に体を整えたい。
身体を冷やさない、健康的な食生活、適度な運動など。

「整える」って大事だなあと思う。
辞書で調べて一番いいなと思ったのは、明鏡国語辞典の「調和のとれた望ましい状態にする」。

私は生活リズムも体の状態も、かなり乱れていた。ちっとも調和していなかった。

妊娠前は前に書いたようにめっちゃ忙しくて、夜明け帰りの連続。

妊娠したら、眠くて眠くて時間があれば寝ていた。
ちょっとがんばった次の日は、半日寝ていた。
でも会社に行くと無理していた。

反省ばかりだ。

でも、救急病院ではいろいろな妊婦さんに会った。
急にそれまで症状のなかった心臓病になった方、重い貧血になった方、妊娠中毒症になった方。
みんながみんな不規則な生活をしていたから、というわけではなさそうだ。

「妊娠って本当に何が起こるかわからないって思いました」
これは突然の心臓発作で救急車で運ばれた妊婦さんの言葉。持病ではない。
旦那さんは廊下で、シングルファーザーを覚悟して待っていたという。

助けを求めてほしい

妊娠は病気ではないけれど、病気と違う大事業。


少子化とか国力とかじゃなくて、命を大切にすること。
母体を大切にすること。

上の子がやんちゃとか、家族が病気とか、シングルとか、体が弱いとか、お金がないとか、大変なことはたくさんあると思う。
そういう時は、助けを求めて。

友人・知人、ご近所さん、保健所とかNPO。SNSでつぶやいてもいい。
声を上げ続けるのはエネルギーがいるけれど、自分のためでも、赤ちゃんのためでもいい。
声を上げてほしい。

一人でがんばらないで。


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