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水に揺れてきらめく~着物と帯と~

毎年秋から開かれて全国を回る「日本伝統工芸展」

第68回の日本伝統工芸展を見に、日本橋三越に行ってきました。

毎年行こうと思いながら、なかなか足が伸びなかったけれど。

今回は最高の賞が着物であると聞き、その着物を「日曜美術館」で見て、どうしても行きたくなったのだ。

日本伝統工芸展は,歴史上,芸術上価値の高い工芸技術を保護・育成するため,昭和29年から開催されている国内最大の工芸の公募展です。陶芸,染織,漆芸,金工,木竹工,人形,諸工芸(七宝,硝子,截金等)の7部会の応募作品から,厳正に鑑査・審査された作品を約600点展示します。
(文化庁の説明より)

600点の展示すべてを見るエネルギーはなく、着物から。

見た瞬間になぜか、涙があふれそうになったのが最高賞(日本工芸会総裁賞)を得たこの作品。

20210925青海全体 (2)

小林佐智子さんの、染織 風通織木綿着物ふうつうおりもめんきもの「青海」。

10色の糸を縦と横にそれぞれ使うので、100色のグラデーションとなる。

「日本海の深い青に、岩に打ち砕かれてきらめく白い波。」(説明より一部抜粋)

20210925青海袖 (2)

着物で
工芸品で
絵画で。

石のモザイクで
タピストリーで
風景。

緻密で恐ろしく細かいのに、ゆらり揺れるおおらかさもある。

奥行きがあって、どこか違う世界に連れて行ってくれる。

番組である方の語った言葉(記憶を頼りなので間違いお許しください)。
「自分は何をしているのか、こんなことをしていていいのか、悩んでいたのが去年。
今年は、これしかない、という力強い作品になっている」


光が、私の中にも射した。

海のきらめきと、波のしぶきと。

ドン、と胸に迫ってきた。



素晴らしい作品がまだまだ連なっていた。

20210925森の光雨音

20210925森の光雨音アップ

こちらは「久留米絣くるめがすり着物 森の光・雨音」(松枝崇弘さん)

ツーッとたどるように落ちる雫の光。
白とレモンイエローが、藍の中に浮かび上がる。

雫が私の胸の中に、まっすぐに落ちていく。


20210925湖面にさざ波 (3)

こちらは帯。

葛布くずふ帯 湖面にさざ波」(西岡香織さん)

涼しげに透ける布に、湖の柔らかな小さな波が立っている。

やさしく、透明で、心地いい。



私が惹かれたのは、水を表した布ばかり。

揺らめき、流れ、光を反射し、広がっている。

変幻自在に動き、反射し、流れ、またとどまる。


着物や帯なのだけど、自らがまといたいというよりも、見つめたい。

まとったら見つめられない。

まっすぐに立って、見つめ続けたい。


最後に、愛らしい桜を。

20210925桜の季節

花織はなおり帯 桜の季節」(楠 光代さん)

心の中がほんわりとぬくもるような、桜色。

来年は、桜を晴れやかに見られますように。


伝統工芸展、東京は明日までです(ご紹介が遅く、すみません)。

全国を来年3月まで回ります。

作品などはこちらも見られます。

巡回スケジュールはこちらから。
名古屋、大阪、金沢、京都、岡山、高松、仙台、福岡、広島と回ります。

夜、知恵熱にかかったように夕飯の途中で寝落ち。
エネルギーが私の中を駆け巡ったようです。

来年からは毎年行きたい、そう心しました。


ありがとう森バージョン


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