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【子ども発達センター】保育園とさくらキッズ利用者が協力し、他の保護者達に発達支援の意義と利用の促進を伝えた事例

 千代田区のある保育園で実際にあった事例です。
 この保育園に通っていたDさんは千代田区の子ども発達センター「さくらキッズ」に通っていました。
 しかしDさんの集団内での困りごとは実はその2年も前から始まっていたため、支援に繋がるまでの長い間、Dさんも保護者も先生方もしばらく大変な日が続いていました。
 実はDさんは家では指示が通り困りごとがなかったうえに、保護者は子ども発達センターや療育そのものを知らなかったのです。このため保護者は保育園からDさんの問題行動を指摘されても何をすればいいのか全くわからず、不安だけが募る状態が続いていました。
 そんななか、Dさんの保護者は知人がお子さんをさくらキッズに通わせているという話を聞きました。そこで自分もさくらキッズで話を聞いてみたいと保育園に話を切り出したところ、とんとん拍子でさくらキッズに通うこととなり無事に保育園とさくらキッズと保護者との支援の連携が取れるようになりました。

■Ⅾさんの保護者から保育園への要望

 その後、Dさんの保護者は保育園に以下のような要望をあげました。
・支援そのものを知らない保護者は多い支援の存在を知らない状態で子供の問題を指摘されても保護者は不安になるだけで何もできない。(特に家では問題が見られず、集団内でのみ問題が見られる場合は親が問題を把握できない)
保育者が子供に対し発達への懸念や支援の必要性を感じたら、保護者へ支援の存在とともに教えてほしい。そうすれば何をすればいいのか明確になるし、保護者と保育園と支援センターとで協力体制を作ることができる。

■保育園の回答

・確かにそれは理想的だが、どうしてもセンシティブな話になるので受け入れられない保護者さんもいる
・このため保育園としては保護者へ発達や検査について伝えることが難しいというのが現状
・だが、保育園としては保護者と協力して子供が過ごしやすい環境を作っていきたいという強い気持ちがある

■保育園の新たな取り組みとその結果

 この話を受けて、保育園はさくらキッズを利用する子の保護者に対しある協力を依頼しました。それは、さくらキッズの利用に関するアンケートを保育園が作成しその結果を他の保護者にお知らせの形で共有するので、答えられる限りで回答してほしいとのことでした。

【アンケートの項目の一部抜粋】
・さくらキッズを利用することになったきっかけ
・それまでの困りごとや指摘事項
・さくらキッズに通ってよかったこと
・その後、現在の状況について

 この話を受けて、さくらキッズを利用する子の保護者達は以下のような回答をあげました。

【回答の一部抜粋】
・さくらキッズに通うことでさくらキッズと保育園と親とで協力することが可能となったため、子供が過ごしやすくするための環境整備を実現することができた。さくらキッズに通う一番の目的は、子供を囲む人たちによって子供が過ごしやすい環境の整備を実現することだと思う。
・発達検査などにより子供の得意不得意を把握することでどのように子供に声掛けすればいいかなどを皆が理解し、工夫していくことができた
・環境整備により子供の困りごとが少しずつ減っていき、自己肯定感も少しずつ育っていった。
・さくらキッズに通っていたことで小学校でも引き続き支援体制を作ることができ、穏やかに小学校生活を送ることができている。
・保育園で子供の特性を理解してくれたうえでの自己肯定感を上げるような声掛けを続けてくれたことにより、得意な分野で力を発揮し自信を身につけることができた。

 そしてこのお知らせを保護者達に配布した結果、保護者の方から保育園にお子さんの発達の相談やさくらキッズの利用に関する相談が上がるようになったそうです。

■保護者としての所感

 保護者によって、子供の発達に関する話は早く知りたかった(できるだけ早期に対処を始めるため)という人と、様子見したい人と両方いるのは当然のことだと思います。このため、保育園が保護者に対して話をすることに慎重となるのは仕方のないことだと感じました。また、保育園側が勇気を出して保護者に話を切り出しても反応がないこともあるそうなので、保育園側も話をすることに躊躇しやすくなるのは当然だと思います。
 このため、今回保育園が「実は何も心配事がなさそうな身近な子も発達の支援を受けている例があること」や「さくらキッズは身近な相談先であること」、「支援により保護者と保育園とが協力し合えること」を保護者達へ発信してくれたことは、保育園と保護者双方の意識を合わせてくれる非常に効果的な試みであったと思います
 こういった試みが継続的に、かつ他の園でも行われていくことで支援に繋がれる子供や保護者が少しでも増えて行ってほしいと思います。