『黄色い薔薇の孤独』 / 村田は綴る✍🏻
『黄色い薔薇の孤独』
あなたと出逢った頃は互いに若さあふれ、魚が跳ねるようなピチピチと瑞々しい美しさに恵まれている時でした。
わたし達は友情を重ねるつれ、親愛なる友として互いを必要とし合い、苦労を重ね大変な日々も献身的に支え合いながら、その時代を平和に過ごしてきました。
そんなある日、あなたは、
「好きな人ができた、一目惚れをした人がいる」
と、わたしにとっては思いもよらぬ、絶望的な報告をしました。
もちろん、わたし達は友愛に成り立っている関係です。あなたが誰を愛そうとかまう事ではありません。むしろ喜ぶべき友の幸せです。ですが、わたしはとても淋しい気持ちになり、心弾むあなたの姿に嫉妬心を抱くようになってしまいました。
あなたのわたしへの愛が薄らいでいくように感じたのです。
わたしはこの友情が一生続くのだと思っていました。けれど、ふと気づけば、わたしの友愛は恋に変わり、他の誰でもなくあなたしかいなかったのです。
もっと早くに"友愛"ではない"愛情"に気づいていれば、違うふたりの未来があったのでしょうか。あれは早過ぎた、若過ぎた出逢いだったのでしょうか。
もしもわたしが、あなたが誰かを愛するよりも早く、あなたに愛を囁けば、あなたはわたしの愛に応えてくれたでしょうか。...今となってはもう遅過ぎたこと。
庭にはあなたが植えた黄色い薔薇が今年も美しく蕾をひらいています。わたしの愛の証明に、この薔薇を余すことなく根ごと引き千切り、針の様に刺す棘さえもわたしが全て食べ尽くし、わたしの口元から垂れた傷みの鮮血が大地に滴り、いずれ真紅の薔薇を咲かせるでしょう。
その時こそ、ようやくあなたもわたしの愛と美に気づかずにはいられず、わたしだけを愛するでしょう。
ギリシャ神話では、ヴィーナス、アフロディーテがある時、薔薇を踏んだ事から赤い薔薇が生まれたとかなんとか。
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