#9 僕がコーヒーを好きになった理由
※2015年5月21日に書いたブログを転載しています。
5月19日
未だシベリア鉄道に揺られています。
一言で言うとシベリア鉄道は辛いです。
目の前に寝ているおばさんと殆ど会話しないままシベリア鉄道最終日を迎えた。
今日の夜中モスクワに到着する。
俺はこのおばさんの事が好きになれなかった。
同じ部屋におばさんが乗り込んで来てから約3日間、殆ど会話をしていない。
俺の印象は愛想の悪いおばさんだ。
そんなおばさんが今日急に声を掛けて来た。
横になっていた俺はびっくりした。
なに?なに?
おばさんはパンとサラミとコーヒーを出し、好きなだけ食べなさいと言い照れく臭そうにニコッと笑った。
なんで…?なんで…?
いくら言葉が通じなくても態度には出てしまっていたはずだ。
このおばさん好きじゃないと。
そんな俺になんで…?と思った。
またまた自分への恥じらいが出てくる。
そしてまた泣きそうになっている。
俺は目の前のパンとサラミにがっついた。
そんな俺をニコニコと見ている。
俺は「スパシーバ!スパシーバ!」と言った。
おばさんは「良いのよ」っとニコッと笑う。
俺は何も返せない。何も持っていない。
おばさんが差し伸べてくれた優しさを受け取る事しか出来ない。
だからこそ俺は遠慮なく頂いた。
おばさんはそんな俺をニコニコしながら見ては、更にあれもこれもと次々に食べ物を出してくれた。
おばさんに「写真いいですか?」と言うとおばさんは恥ずかしそうに「ダメよ」と言った。
おばさんが下車する時間がやって来た。
おばさんは荷物が多かったので泣きそうになりながら荷下ろしを手伝った。
おばさんは照れ臭そうに「ありがとう」と言い、コーヒーと砂糖の瓶を俺に渡してくれた。
俺は申し訳ない気持ちと感謝の気持ちが入り混じった。
おばさんに「スパシーバ!!」と言うと最後にまた、恥ずかしそうにニコッと笑い手を振った。
おばさんは只の照れ屋さん。そんなおばさんに俺は愛想の悪いおばさんとレッテルを貼った。
ちっっっちゃいな~~~おれ。
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