#Poetry
わたしは答えない with いとうせいこう is the poet
2019/07/13 LIVE DUB JAM Vol.2 with 胎動LABEL@下北沢ERA
いとうせいこう is the poet による演奏とダブ処理によって一回限りのリーディングを作り出す、一般公募オープンマイクでの即興セッションライブ。元テキストは、既出の拙作「わたしは答えない」ですが、その場で内容を大きく変更しています。
撮影:伊藤晋毅
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キッチンで物語を聞かせて
キッチンで物語を聞かせて。
逆立ちをして話を聞かせて。ケチャップもマヨネーズも、わさびのチューブも、みんなさかさまになってきみの話を待っている。
キッチンで物語を聞かせて。
頭をしめつける悩みをゆるめて。ジャムの瓶も佃煮の瓶も、お湯につければ蓋がやさしく開いてくれる。
ひかる
ひやす
みがく
みたす
きざむ
ひたす
にがす
ゆげのゆらりゆくえ
光るフォーク
冷やすミルク
みがくシンク
満
鱗(2018 On-beat ver.)
瞳の表面で強い風を受け止める
透きとおるまで磨かれた大気に歩みを浸しながら
石畳に刻みつけるようにかかとをわざと高く打ち鳴らす
今日も身体は鼻先と耳の縁から冷えていくらしい
輪を描いてめぐるものは等しく時を刻み
青空に高くそびえる時計台は
真昼間の学舎の円居の真中
定まらぬ足取りは戸惑いの最中
人の名前は呼ぶほどに遠ざかり
表情は思い出すほどに薄らぐ
またすぐにめぐってくるはずの
菜の花の