浮世絵に描かれたカメラの世界@日本カメラ博物館(JCIIフォトサロン)
こんにちは、ちあきんぎょです。
東京・半蔵門にある日本カメラ博物館(JCIIフォトサロン)で開催中の「幕末・明治 描かれた古写真の世界」展へ行ってきました。
日本カメラ博物館は、カメラの品質と信頼性向上の目的で、衆議院議員の森山欽司氏が設立した博物館だそう。
歴史的なカメラがずらり、解体され無数のパーツが並べられた様は、くらっとするほどの精巧さでした。
ただ、わたしはカメラへの関心はなく、一番の目的は併催されている上記の展覧会でした。
日本カメラ博物館の隣にあるJCIIフォトサロンにて小ぶりに開催。
入場無料でした。
浮世絵とカメラ
カメラと浮世絵が同じ空間にある印象って、あまりないですよね。
19世紀ごろ、輸入されたカメラがあるのは不思議ではありません。
しかし、浮世絵の雰囲気の中にカメラ機器があると、なんだかオーバーテクノロジーのような感覚がありました。
わたしが個人的に目を惹いた浮世絵をご紹介させてください。
開花人情鏡 寫眞
女性写真師の姿が描かれています。
女性が手に職を持って働く姿、素晴らしいですね。
その表情からは、画中の女性の聡明さと好奇心が見えてくる気がします。
わたしは群馬県の出身なので、女性が働く姿を見ると富岡製糸場が頭に浮かびます。
群馬の女性がかかあ天下と呼ばれる由縁は、女性が自ら稼ぐ力を身につけたことで家の中での発言権が高まったからだと言われています。
俳優寫眞競 市川團十郎
画面上部には、九代目市川團十郎氏の写真がそのまま貼られています。
なるほど、写真館だけあって、カメラの機器が描かれた浮世絵だけではないんですね。
写真を貼り付けた浮世絵。図画工作のよう。笑
下部の文章は市川團十郎氏の台詞だそうです。
周囲の糸瓜は、末広がりの縁起物としてでしょうか。
無題 写真機を持ち佇む女性
女性の後れ毛がなんとも艶やか。日本人の美は後れ毛にあり!と言いたくなる、哀愁のある浮世絵だなと思いました。
女性が手に持つカメラは邪腹式カメラと言うそうです。
余談ですが、この形のカメラを見ると、コーエーテクモゲームスのホラーゲーム「零シリーズ」が思い浮かびます。
さらに余談ですが、わたしは三作目の「零 刺青ノ聲」が好きです。笑
恐怖と涙の入り交じる日本風ホラー、おすすめです。
無題 洋行を見送る女性を双眼鏡から見つめる男性
現在の漫画に通ずる、船と陸地の距離感の表現方法だなと思いました。
双眼鏡で見つめるほどの距離を遠近法だけで表現しようとしたら、どうなるのだろう・・・
距離の分だけキャンバスを大きくするか、人を小さくするかになりそうです。
2つの吹き出しの中に人物を描くことで、絵を見る側からも女性と男性を双眼鏡で覗いているようにも感じてきます。
女性の顔が浮世絵テイスト、男性の顔は現代テイストで描かれているのも面白いなと思いました。
最後に。
さらっと見てしまえば、5分とかからず見終えてしまえるほど小さな展示でした。
わたしがお邪魔したのは平日だったので、とても静かにゆっくりと見ることができました。
大きな美術展と違い、短時間で気楽に訪れることができます。
ちょっとした息抜きに、「なんだか絵が見たいな」と思ったときなど、ふらりと立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
本展示はもう終わってしまいましたが、定期的にさまざまな展示が催されているようです。 ぜひぜひ。
参考、写真引用
『幕末・明治 描かれた古写真の世界』著者:井桜直美
発行所:JCIIフォトサロン 発行日:2022年2月1日
東京都千代田区一番町25 JCIIビル 03-3261-0300
リンク集
最後までご覧くださりありがとうございます。
春の訪れを感じられるような陽気になってきましたね。
コロナウイルスが落ち着いて、のびのびと外出できる日が一日でも早く来ますように。