はっとり

日常の由無し事を時々言語化する人です。 文を書く練習してます。

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ロンリープラネット

目の前で京都市営地下鉄の扉が閉まり、ゆっくりと発車していった。今日のダイヤは目の前を走り去ったあの電車で終わりだったので、僕はなくなく今降りてきた階段を登り、四条駅を後にする。階段を登り切ると後ろでガラガラガラと地下鉄の入り口が閉鎖される音が聞こえた。 2月の寒空は容赦なく僕の体から体温を奪っていく。 「また間に合わなかったか…」 僕はふと心の声を白い息と共に吐き出してみる。何も変わらない。 残ったのは終電を逃したという焦りの気持ちと、いつもギリギリで間に合わないこと

    • ひと休みエッセイ① 〜おとなのあかちゃん〜

       大学生というのはとても中途半端な存在である。年齢的には成人を超えているのに、社会人ではないという、大人でありながら子供という、曖昧な時期を過ごさなくてはならない。大学では課題を課され、講義への出席を求められる。大学は自由であるとは言うが、その生活に能動性を見出すことは難しい。一方で大学から一歩外の世界に出ると、成人としての振る舞いを求められる。それは当然のことでありながら、一種の矛盾を感じる。そしてその矛盾は、往々にして多くの大学生を混乱させているように感じる。  そもそ

      • あやべ温泉巨大迷路デザインプロジェクトを立ち上げました。

         みなさんこんにちは。はっとりです。  今日はずっと自分の中で温め続けていた思い出を記録に残そうと思って、この文章を書きはじめています。前置きや脱線が多い文章になると思います。色々思い出しながら書くのでとてつもなく長いです。多分。気が向いたらお付き合いください。 一気に最後まで書けるかな。  大学生という存在はこの世界で1番自由な存在なんじゃないかとよく思います。実際のところどうなのかは知りませんが、僕の経験上、やりたいと思ったことに割くことができる「時間」と「労力」の自由

        • だから僕は音楽をやめた

          ジャンカラ三条河原町店の4階でしたあの時のオールカラオケの音。 大学に馴染めるか不安で、やるべきことも分からないで右往左往してた18の僕が見ていた製図室の景色。 ずっと好きだったあの人に彼氏ができたと聞いた帰り道の悔しさ。 スタップの講義で話が分からずGoogle翻訳と横の友だちと仲良くなった土砂降りの2号館1階。 大学生っぽいことをしたくて意味もなく夜を明かした次の日の倦怠感。 全部過ぎ去った過去だけど、間違いなく僕の中にある。 この曲を聴くと、メロディに乗せて、

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        ロンリープラネット

          CHANELの香水に見る景色

          人間の五感は自分が知覚しているよりもはるか昔のことも記憶していることがあります。小さいころ聞いていたCMソングをたまたま聴くとその当時の記憶が呼び起こされるし、アルバムをめくると写真の中の僕が見ていた景色が目の前に広がったりします。 僕はこの感覚がとても好きで、昔の記憶を辿れるように、その時その時にハマっていた音楽や映画、小説を記録に残すようにしています。これを「記憶のしおり」と自分で名づけて呼んだりしてます。 (ちなみに今の僕を何年か先の僕が思い出す時のしおりになるのはお

          CHANELの香水に見る景色

          新、足跡 ①

          小学校の卒業式で「環境は人を変える。」と校長先生が言っていた。そんな簡単に人は変わらないだろうと12歳の僕はパイプ椅子の上でその言葉を聞き流していた。 僕、今年22歳。「環境は人を変える」の真っ只中にいる気がする。 この春大学を卒業して就職した僕は、生まれてからずっと住んでいた京都を離れ、片道車で10時間かかる街で一人暮らしを始めた。大学生は人生の夏休みと言うように、大学最後の1年はバイトもせず授業もほとんどなく、やりたいことをやりたい時にやりたいだけする生活を続けていた

          新、足跡 ①

          暇な夜に考える。

          「君のnote、毎回読みたいと思うけど感銘を受けそうだから読まないようにしてる。」 初めて一緒にご飯に行った大学の友達にこんなことを言われた。最初は褒められてるのか、嫌われてるのかよく分からなかった。 その友達とは半年に1回くらいの頻度で会うようになったんだけど、割と毎回この表明をしてくるのでどういうことか聞くと、noteを書くような人は何かしらの共通点とか想いがあるから、偏った考えとか、一個人の意見に影響を受けたくないから読まないようにしているらしい。なるほど、分かるよう

          暇な夜に考える。

          しあわせの、しわよせ

          去年の今頃は鴨川のほとりでピクニックができるくらいの陽気だったのに、何だか今年は寒々としてます。 雪の多い年は楽しいって思う瞬間と、うんざりっていう気持ちが混在して変な気持ちになります。 子供と大人の中間地点にいるってことなんでしょうか。こんなことを思ってる時点でまだまだ子供なのかも。。 地元に帰ると高校の時の友達とかと会う機会が増えます。僕は地元からそんなに遠くない場所で一人暮らしをしているので、割と周りに地元の友達が多いんですけど、高校からの友達も、大学からの友達も、み

          しあわせの、しわよせ

          記憶、追憶、ハイオク満タン

          大学3年生が終わった。日を跨いでいるので昨日のことだ。こうしてnoteに文字を打ち込んでいるのも、春休みになってだいぶ心にゆとりがあるからだ。 よく考えてみたら大学3年後期は授業を2個しか取っていなかったのに人生で1番色んなことが起こった6ヶ月だったと思う。インターンに行ったり、サークルを立ち上げたり、大切なものを失ったり。いいことも悪いことも瞬く間に過ぎていった。どうやら人間は考えることが増えると過ぎる時間の体感速度が上がるように出来ているみたいだ。 今年のお正月は家族

          記憶、追憶、ハイオク満タン

          バイバイする時は「気をつけて」って言う話

          こんばんは。急に寒波がやってきて、駆け足で冬がやってきたような感じがします。 さて、今日は僕が最近心がけていることについて話したいと思います。 みなさんは、友達や恋人、家族や知人と解散して帰る時なんて言いますか? 「ばいばい!」 「また今度!」 「お疲れ様です。」 関係性によって、その時のシチュエーションによって様々な言葉をかけると思いますが、僕は必ず最後に「気をつけて」って言うようにしています。ただそれだけのことを、意識しています。 僕は常々言葉の力というのはとても大

          バイバイする時は「気をつけて」って言う話

          「彼」

          「彼」はいつも僕の前を走っていた。僕は無意識に「彼」を追いかけていた。好きな曲も勉強方法も料理の味付けまで、真似をしていた。「彼」への憧れの気持ちを、好意と間違えたこともある。 「彼」は、よく僕におすすめの曲を教えてくれた。「彼」は軽音楽部に所属していたこともあり、今まで聞いたこともないような歌手の聞いたこともない曲ばかり勧めてきたが、それらはどれも、僕の大好きな曲になった。そして、その多くの曲は、半年後くらいに世間を賑わすヒットソングになった。不思議な話だ。 たまに、先見

          SNS至上時代

          令和の3年目が終わろうとしています。時の流れは早いですね。 ここ最近のトレンドはやっぱりずっとSNSだとおもいます。多くの人がTwitterやInstagramなどを利用しているし、最近では、芸能人や企業などが宣伝に使ったりすることも多くなりました。少し前までは、SNSは個人のつぶやきをネット世界に投下するだけのツールでしたが、今やその影響力はテレビや新聞よりも大きいのではないかと言われています。 そんなSNS至上時代とも言える今。良くも悪くも僕たちは自分の意見を発信しやす

          SNS至上時代

          姉が大人になった話

           僕には2歳年上の、この春から社会人として働き始めた姉がいます。明るい性格で僕から見たらかなり破天荒な人間なのですが、この間ひさしぶりに再会したときに、なんとなく違和感というか、性格変わった?と聞きたくなるような感覚に襲われました。  昔(高校生くらいまで)の姉は、僕と仲が悪かったわけではないですが、僕が話しかけても空返事をしたり、軽くあしらわれるような扱いをされることが多かったです。特に重要な話を普段からしているわけではないので、そんなに問題は無かったのですが、そんな対応

          姉が大人になった話

          「エモい」で片付けられる感情を。

          なんだか最近のインスタを見ていると、レトロな喫茶店とかフィルムカメラ風の加工が流行っていて、流行は繰り返すって言うけどこういうことか!と感じる今日この頃です。 さて、今もちょっと触れましたが、古っぽい雰囲気とか、レトロな空間とか、ちょっと感傷に浸るような空気のことを「エモい」と表現する人がとても増えたと思います。2年前くらいに突如現れた「エモい」という言葉は、その汎用性の高さから多くの人に多用される若者言葉の代表のような言葉になり、最近では息をするようにエモいエモいと言って

          「エモい」で片付けられる感情を。

          僕の悪い癖

          今日は気温も低くて用事もあったのでひさしぶりに外を散歩しました。散歩をするときは、いつもイヤホンで音楽をシャッフル再生しながら聴いてるんですが、今日は My Hair is Bad の「悪い癖」という曲が流れてきました。最近聴き始めた曲なんですけど、歩いていると歌詞がよく耳に入ってくるんですよね。それで自分の悪い癖は何なんだろうって考えてみることにしました。 ひとつ思いついたのは、自分のことをけなすしゃべり方が多いということです。僕は自己肯定感が低めの人間なので、他の人から

          僕の悪い癖

          どっちでもいいよは大罪

          「どっちでもいいよ」ってめっちゃ便利な言葉じゃないですか。実際ぼくもしょっちゅう使っちゃってるんですけど、この言葉って相手のことを思いやってるようで、実は負担を押しつけてるだけな気がするんですよね。 こんなことを唐突に思わせてくるシチュエーションが昨日ありまして。 友達とLINEしてたんですけど、あの、リアルタイムでめっちゃテンポいいタイプのあれです。あのタイプのLINEしてたら僕は不意に、え、電話でよくねって思う時があって、昨日はそのテンションだったので「電話にする?」

          どっちでもいいよは大罪