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あやべ温泉巨大迷路デザインプロジェクトを立ち上げました。

 みなさんこんにちは。はっとりです。
 今日はずっと自分の中で温め続けていた思い出を記録に残そうと思って、この文章を書きはじめています。前置きや脱線が多い文章になると思います。色々思い出しながら書くのでとてつもなく長いです。多分。気が向いたらお付き合いください。
一気に最後まで書けるかな。

 大学生という存在はこの世界で1番自由な存在なんじゃないかとよく思います。実際のところどうなのかは知りませんが、僕の経験上、やりたいと思ったことに割くことができる「時間」と「労力」の自由度が半端じゃないです。特に大学の単位をある程度取って、授業数が少なくなると尚更です。

 そんな有り余る時間を世の中の大学生は様々なことに使って過ごしています。サークル活動に取り組む人、バイトをしまくって稼いだお金でたくさんあそぶ人、語学留学をする人、資格の勉強をして将来設計をする人、趣味に没頭する人、課外活動に取り組む人。さすが自由な時間が多いだけあってパッと思いつくだけでもこんなに出てきました。どれも自分という人格形成においてかなり重要な要素になりそうだなと思いつつ、僕の大学生活を振り返ってみると(いま大学4年の12月です)チームプロジェクトと呼ばれるような課外活動にものすごく時間をかけたような気がします。

 というのも、僕は大学で地域創生をテーマとした、課題解決型のプログラムに取り組む学科に所属しており、大学の授業の中でグループワークや地域の課題解決案の提案というものをたくさんしてきました。地元の企業と一緒に社内環境をよくするための実証実験をしたり、伝統産業の在り方についてフィールドワークで学んだり、3年生になってからは同じ学科の後輩のグループワークのアドバイザーとしてアドバイスをする立場になったりもしました。

 こういう複数人で取り組む課題やプロジェクトは、役割分担がとっても大事です。連絡係や進行係、スケジュール管理係などそれぞれ役割を決めておくとスムーズに事が進みます。僕は同期の中でのキャラなどもあり、まとめ役や進行役をよく任されていました。といっても、授業での4.5人のグループでの役割なんてあってないようなものなので、友達と話すような感覚でいろんなプロジェクトに取り組みました。なのでその時は肌感として、何かが身についているとか、まとめ役が向いているかとか、何が自分に足りないかとか、特に感じることもなく授業をこなしていました。ただ、色んなプロジェクトに取り組む中で、学務課の方や、教授、大人方からは「よく喋る声の大きな学生」として、段々認知されるようになりました。

 そんな授業メインの生活を続けて気がつくと僕は3年生になっていました。その頃になると地元の企業の方や大学の教授、事務の方との交流も増え、色々なお話をいただくようになりました。
 青年会議所の方から小学生向けのボードゲームを作らないか?と誘っていただいたり、ゴルフ協会のロゴのデザインをしてみないか?と声をかけていただいたり、大学の公式グッズの制作を依頼していただいたり。こうやっていろんなお話をいただくようになった時に、「あ、自分が大学でやってきたことってこういうことなのかな」となんとなく気がつくきっかけになりました。それまではバイトも特にしてないし、サークルにも入ってなくて自分は何もしてない、自由な時間を上手く使えていない大学生だと思っていました。でもこうしていろんな方から色々やらないかと誘ってもらえるようになったのは、これまでの活動があってこそだと思って、本当に今の環境に感謝しました。それが大学3年生の夏です。

 そんな大学3年の9月にインターンシップの視察で学科のみんなで綾部市に伺いました。学科合同の企業訪問です。たくさんの企業にご挨拶に伺ったあとに、綾部市にあるあやべ温泉に宿泊しました。あやべ温泉は宿泊施設やキャンプサイト、そして巨大迷路などが併設されている複合施設になっており、その日は夕方に巨大迷路を楽しんで宿泊しました。

 次の日の出発前に、あやべ温泉の社長が声をかけてくださいました。

「巨大迷路の壁面のデザインをしてくれる人を探してるんやけど君らやらんか?」

この一言が僕の大学生活の中で1番大きなプロジェクトが動き出した瞬間です。
 社長のお話で、その1300㎡にもなる巨大迷路は地元の方からの寄付とボランティアによって作られたこと、完成から時間が経ち木材が少しずつ経年劣化していること、一目で楽しそうと思える見た目にアップデートしたいと思っていることをお聞きしました。

↓これがその巨大迷路です。

あやべ温泉 迷宮二王門迷路

 あやべ温泉と社長と地元の方の熱い思いのこもった迷路に実際にデザインさせていただけるという、大変光栄なチャンスをいただき、二つ返事でやらせてくださいとお願いしました。
 最初は僕を含めて4人の同期のデザイン学生が手を挙げ、プロジェクトの企画や、デザインコンセプトの立案などに着手しました。その様子を見て、自分もやりたいと建築学科の学生や、機械工学学科の学生も参加してくれて11月には8人によるプロジェクトになっていました。また、その活動を見てくれていた大学の教授が、このプロジェクトを授業として開講し、大学バックアップのもとで後輩に参加募集をしたところ、1年生から3年生まで9人の学生がプロジェクトに加わってくれ、全員で17人の大きなチームになりました。
そんなチームのリーダーを僕は任されました。

17人のチームでのプロジェクトなどもちろんやったことはなく、しかも、今までと違って提案で終わらずに実際の施設に作品として残るとものを作るということで、かなりのプレッシャーと不安を抱えながらプロジェクトをスタートしました。

 まずは17人全員の向く方向を1つにするためにゴールを決めること、実際の作品として残っていくものを作る上で絶対妥協しないこと、そして何よりみんなが楽しく作業できることを僕のミッションとして決めてチームビルディングを始めました。
 今回デザインするキャンバスは、凸凹だらけの超横長な形の、いろんな角度から見られる木の壁ということで、どんなデザインにすれば1番魅力的になるかという議論が3ヶ月にも及びました。斜めから見ると段差の部分が連続的に見えなくなってしまう問題や、横長な場所に描くことになるためインパクトのあるものを描きにくい問題などに直面し、今まで自由な条件でデザインをしていた僕たちは頭を悩ませました。
メンバーが多いことのメリットのひとつに、アイデアの数が段違いに上がることがあると思います。このどういうデザインにするかという議論でも本当にいろんなアイデアが出て、それをみんなでいい方向に持っていくというプロセスを何度も繰り返すことで全員が納得いくデザインを立案することが出来ました。☟これです


この議論の中で、大人数になるとアイデアはたくさん出る分、コンセプトの共有や全員一致の結論を出す難しさを改めて感じました。

デザインが決まれば、このデザインを「誰が」「何で」「どのように」塗るのかを決めて、上手くいくかを繰り返し検証する作業です。油性ペンキを調色しながら、綺麗なグラデーションになるように17色の色を調合しました。
すごく骨の折れる作業でしたが、みんなで取り組むことでなんとかイメージ通りの色を作ることが出来ました。こうした小さな成功体験と達成感を感じながらプロジェクトを進められたことがすごくよかったなと振り返って思います。

その後も、必要資材の調達、作業日程のすり合わせ、メンバーの塗り作業講習など盛りだくさんのやることリストを、なんとかクリアして本番の現地作業を迎えることが出来ました。今思うと、ここまで学生に決定権と時間をくれたあやべ温泉と大学には本当に感謝しないとと感じます。

そして現地での作業。メンバー15人プラス高校生ボランティアの方にも10名近く来ていただき、大所帯での作業となりました。頂いた時間は3日間。絶対に完成させないといけないというプレッシャーを感じながら、スケジュールを組んで臨みましたが、計画通りことが進むほど甘くありませんでした。1日目から豪雨に見舞われ作業がほとんど出来ず、準備していたペンキは全然足りず、最終日はありえない猛暑。トラブルとハプニングだらけの3日間でした。
それでもメンバーみんな、最後まで塗り切るぞという思いで毎日暗くなるまで手を動かしてくれました。本当にありがたかったし、自分と同じ志で取り組む仲間がいることの喜びをこの時ほど感じたことはありません。最終日の最後のミーティングで、みんなのプロジェクトへの想いや、作業の感想を聞いていると思わず涙がこぼれる気持ちでした。こんな気持ちにさせてくれてる、こんな経験をみんなとできて僕は本当に幸せだなと思います
(作業のことを話し始めるとキリがないので下の動画にまとめました。よければ見てください)



こんな素敵なプロジェクトに関われて本当に幸せでしたし、数え切れないほどの学びを得ることが出来ました。
計画をより具体で立てることの大切さ。スケジュールや必要資材の見積もりは多めにする。メンバー全員とコミュニケーションを取りみんなでモチベーションを高める。作業進捗は必ず共有する。
文字にすると当たり前のことも、実際に自分ごととして経験することで身につくスピードが大きく変わると思います。このことに気がつけただけでも自分は少し成長できたんじゃないかなと思います。

そしてこの迷路デザインプロジェクトは、ありがたいことに今後も継続していくようであと3年で完成を迎えることになっています。自分が四年生だった時に助けてくれた後輩がリーダーになって活躍している話を聞くだけで嬉しくなるし、応援したくなります。ぜひ今年以降も頑張ってください。そして素晴らしい作品にしましょう。

長々と僕の思い出を話してしまいました。これでもまだ書ききれない部分が本当にたくさんあります。それでもこうしてひとつのnoteとして今の気持ちを綴っておきたかったです。
コロナ禍で大学生のやりたいことがなかなか出来ないと言われていたこの時期に、自分の時間を、大学の自由な時間をここに使えて本当に良かったです。いつか、この経験と学びが自分の人生のどこかで活きてくれると信じて、これからも毎日を過ごしたいと思います。

最後までお付き合いいただきありがとうございます。 2022/10/30

to be continued


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