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遠出しなくても、旅はできるものだ

 2020年度から2021年度は、世界中の人たちにとって、文字通り「我慢」「試練」の時だったという人が大半だったかと思います。みんなを苦しめているコロナ禍がいまだに猛威をふるい続けています。

 私の趣味は、鉄道などを利用しての「旅行」。遠くに行ってまだ知らない場所で新たな発見をしたり、その土地の名所を見たり、美味しいものを食べたりして、普段の慌ただしい日常生活からも解放されることが楽しみでした。長期休暇などで、遠出していつもと違った環境に浸ることが、至福の時だと感じていましたが・・。ここしばらくは、自由に遠くに行き来することが難しい時期になってしまったと感じました。

2019年11月に訪れた、旅の一コマ(長崎県・五島列島の野崎島・旧野首教会)

 迎えた長期休暇。遠出ができないから・・、と思ってしまうと、何だか我慢を強いられているような気がして、色々な意味で気持ちが後ろ向きになってしまいそうになっていましたが、そこで考えたことは、

「遠くに行かなくとも、地元を歩き回って新しいことを発見しよう」

ということでした。どうせなら地元の良さをじっくり歩いて感じて、それを伝えていくことをしたいと思うようになりました。そんな背景から今年3月末に始めたのが、このnoteです。

長池公園から見た、長池見附橋

 多摩ニュータウン・南大沢とその周辺は、実に多彩な橋やトンネル、公園などの素晴らしい土木構造物があります。それも有名な構造物だけでなく、あまり知られていない構造物も、何だかすごく美しいものが少なくない気がしています。ただ、そんなに名の知れていない構造物などは、あまり情報が多くないので、そういう構造物を見て調べることが大事と考え、その情報を得たいと考え、詳しく取り上げていくこととしました。記事をまとめたマガジンは、こちらです。

 記事を書くために、わが街とその周辺を歩き回っていると、実に様々な発見がありました。ごく一部ですが、紹介したいと思います。

■1 橋の名前にまつわるエピソード

 この地区は、ニュータウンが造成されるにあたって、昔ながらの営みが消えてしまったところが少なくありませんが、橋の名前には昔ながらの地名が使われていることも少なくありません。

南大沢地区にある、「九反甫歩道橋」
上柚木地区にある、「湯沢歩道橋」

 九反甫谷戸や、湯沢という、地元の人たちにしか知られていなかった地名が、歩道橋に残されています。

 また、今年出来上がった、鑓水地区に架かる「通学橋」。小川のような大栗川に架かる小さな橋の親柱が残されていて、新しい橋に埋め込まれました。「通学橋」という名前は、近くにあった小学校の分教場に通うための通学路としてできた橋であるようです。

鑓水地区の通学橋と、古い親柱。

■2 昔の残影が垣間見られる場所

 新しい街である、多摩ニュータウンとはいえ、昔ながらの多摩丘陵の名残であったり、大規模開発の途中段階の遺物のようなものが残されている場所があります。例えば、小山内裏公園の尾根緑道の遊歩道に残された、「30」の路面標示。旧日本軍の戦車テストコースを流用した公園の遊歩道が、一時的に車道として使われていた頃の名残です。

公園の遊歩道に現れる、「30」の規制標識

 また、この地区は八王子から横浜につながる、幕末以降の絹を輸出するための「絹の道」のルートとして栄えた場所であり、ニュータウンの中にもそれを意識した場所があります。

 さらには、この絹の道ができることによって栄えた「鑓水商人」が、鉄道を敷設しようとした夢の跡についても、探索することができました。

 このように、この地区は歴史が浅いから、古いものを調べても何も出てこないと思っていた予想は覆され、探索するととても楽しい歴史散歩ができる場所であることを発見しました。

■3 縁の下の力持ちのインフラ施設

 南大沢には、縁の下の力持ちと言えるインフラ施設があります。駅の近くにひっそりとたたずむ、うさぎの銅像。実はこれが地域冷暖房施設の一部であることを知ることは、非常に興味深いものです。

 意外と奥深いのが、下水道施設などのマンホールを探索すること。そこからはじまった、下水道の流れる先を辿るプチ旅に出かけました。

 また、マンホールの「雨」と「汚」という感じを巡るだけでも、とてもマニアックながら楽しい旅ができるのではないでしょうか。

 インフラ施設を巡ることから始まる新たな発見。まだまだ知らないことがたくさんあり、探索することはとても楽しいです。

■4 アートな街を眺める

 街歩きをしていると、この街にはアートな空間がたくさんあることに気づかされます。団地の中にあるコンクリートでできた樹のオブジェは、すごい技術を使ったアート作品。団地の住民も気づかず通り過ぎることが多そうですが、再発見するとすごい作品だと思います。

 町中にある、アートな風景を集めると、実に個性的な街であることを再発見できます。アート作品の作者や、作品名を知ると、また新しい発見の連続です。

【終わりに】

 遠出できないので近場を歩く、というきっかけで始めた地元を歩く探索、実に奥深い探索を繰り返しているうちに、「旅は遠くに行かなくてもできるのだ」ということを実感し、それを満喫しています。

 地域の旅日記のようなnoteを公開したことがきっかけで、地元の方々とたくさんつながることができました。地元の方々の話を聞くことにより、さらに地元の理解が深まり、歩いてみたいと思う場所が増えています。今後も探索を続けていきたいと思います。

 最近では、地元の街歩きを、仲間と一緒にする楽しみも実践し始めています。先日は、土木を志す大学生5名に南大沢の魅力を紹介しつつ、一緒に街を歩きました。写真は、逆さ富士ならぬ、水面に映る長池見附橋を撮影しようと、学生の皆さんが奮闘する様子です(笑)。学生の皆さんと一緒に歩くのは、とても楽しい経験でした。

南大沢の街を一緒に歩いた、土木を志す大学生たちとのひととき

 地元密着の街歩き。いつでも気軽に楽しめる趣味を見つけたような気がします。歩き続けていますが、まだまだ気になるものがたくさんあるので、これからもそれらを探索し、取り上げていきたいと思います。

#我慢に代わる私の選択肢


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